第12話 義兄妹と遭遇

 俺達は赤龍山の中を様々な魔物と戦いなが炎耐石えんたいせきを求めて進んだ。


「あ、兄さんありましたよ!」


 月奈が『鑑定』のスキルを使って炎耐石を見つける。


「了解。えっとツルハシを……」


 俺は腕輪から町で買ったツルハシを取り出し、『身体能力強化』を使って炎耐石を収集する。


「よし。結構集まってきたな」


「そうですね。…ですけど、まだ依頼された数には足りませんね」


 炎耐石を探し始めてかれこれ約2時間が経った。

 時間もそうだが、慣れない暑さのせいで流石に疲れてきた。


「月奈、少し休憩にしよう」


「そうですね。ですけど流石に場所を変えましょう」


 炎耐石は熱い場所に存在する。つまりここは赤龍山内の中でも特に暑い場所になる。

 俺達は暑さが多少マシな場所まで戻り、休憩することにした。


「『クリエイトストーン』『ホーリーバリア』」


 月奈が土魔法の『クリエイトストーン』を使って椅子を作り、光魔法の『ホーリーバリア』を使って結界を張る。


「ありがと月奈。……はぁー、疲れたぁ」


「兄さん、これどうぞ」 


 月奈からポーションビンを二本受け取る。

 ポーションの種類は回復ポーションと魔力ポーションの二種類だ。


「ありがとな」


 まず回復ポーションから飲む。……なんだろうか?

 こう、例えるならエナジードリンクのような味がする。

 続いて魔力ポーションを飲む。こちらは回復ポーションとは違い、スポーツドリンクのような味がする。

 ポーションを飲み終えてひと息ついたところで、残りの炎耐石をどうするか相談する。


「さて、これからどうする?」


「そうですね。さっきも言った通りまだ数が足りませんから。場所を変えて探しましょうか」


「そうだな。けど場所を変えると言っても闇雲に探すのも辛いしな」


「兄さん。それならこの火山の中心部を回るように探すのはどうでしょうか?」


「そうだな、それでいくか」


 そして俺達は行動を再開した。




 ――――――――――――――――――――――


「よし。これで最後、っと」


 先の休憩場所から、しばらく歩き。複数の炎耐石のある場所を見つけては採取をするのを繰り返し、今ようやく指定された数が揃った。


「よし。月奈、一応数の確認を頼む」


「はい!了解です」


 月奈が依頼書を片手に数を確認し始めたので俺は少し休憩する。

 少し経って月奈が依頼書から目を離しこちらを向く。


「どうだ?足りてたか?」


「はい、ちゃんと指定された数ありました。むしろ少し多いくらいです」


「そっか。じゃあ帰ろうか」


「そうですね、もうクタクタですし早く帰りましょう」


 俺と月奈はその場を立ち元来た道まで帰る途中、横穴を見つけた。


「あれ、こんな道あったか?」


「どうでしょう?気づきませんでしたね」


 俺達は興味本意でその道を行くと、空の見える広い場所に出た。


「すごいな、空が見える」


「そうですね。周りは壁で覆われているのに上だけ空いてますね。それに……」


 月奈が前を歩く。


「とっても広いです。さっきまで火山の中を洞窟みたい進んでたのに」


 楽しそうに、歩く月奈を横目に俺は空を見上げる。

 まだ日が高い位置にあるのでいまは、昼過ぎくらいだろうか。 


 雲一つない青空に疲労で疲れた心を奪われていると、不意に気配感知と魔力感知に巨体な物が引っかかった。

 その巨大な物は、ゆっくりとこの赤龍山に、近づいてくる。

 やがて巨大な物は動きを止めると、急速に俺達のいる場所に近づいてくる。


「月奈!」


「どうしましたか?兄さ……」


 俺は月奈が反応するより速く、月奈を抱えてその場から退く。

 それから数秒もせずに巨大な物は、空から来た。


 ドーン!


 と、まるで隕石でも落ちてきたかのような効果音と共に、巨大な物は姿を現す。

 それは、圧倒的な威圧感、膨大な魔力の塊。

 ファンタジーの代名詞とも言える存在。


「ギャオアァァァ」


 俺達はドラゴンと遭遇した。





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