第4話『始まるデスゲーム』

「俺はまだお前を認めてへんからな!」

「別に認めてもらわなくていいよ、勝ってくれれば」

「もうー、なんでそんなに仲悪いの!もうゲーム始まるんだから仲良くしてよ!」

「「いやむり」」

 当たり前だろ。人を勝手に人殺しと決めつけて殺そうとしてくる奴らの一人だぞ。それでもし俺を殺したとしたらお前ら俺と同じじゃないか、それをわかってやってんのかよ。

「はぁ、大丈夫かなぁ次のゲーム。心配だなぁ」

「大丈夫だろ、勝てばいいんだ」

「はっ!余裕じゃ余裕!」

「「ちっ」」

「もお!次のゲームはチーム戦だよ!?」


 ***


「さぁ、次のゲームをはじめよっかー!」

「次の、ゲーム?ふざけないで!この状況を見て言ってるの!?」

「見てるよ見てるよー、面白いことしてるねー殺し合いだなんてー……。でもさ、私達が決めたゲーム以外で殺し合うのは辞めてくれないかな。全然面白くないよ」

 笑うような声色から急に冷たい声色へと変えた。

 その瞬間その場にいた全員が感じた。どこにいるかも分からぬピエロから発せられる殺気は俺達全員を震えさせた。

「もういい?じゃあ次のゲームの説明するねー!だーいにらーぅんど!仲間と一緒に戦おー!って言うゲームだよぉー!私が適当にポチポチってしたチームでチーム戦!詳しい説明は会場で説明するからはい!勝手に転送されるから。じゃ、頑張ってねぇー!」

 チーム戦!?この状況で!?俺完全にチームメイトに殺されるじゃん!仲間割れがはやすぎる!

 異議立てすることも出来ず俺達は次のゲームへと転送された。

 しかし、運良く志賀さんと同じチームになり、俺は首の皮一枚繋がった。

 そして、俺達が他の囚人が追われる中開催された第二のゲーム。三対三のチーム戦。一斉に、ではなく一体一での勝負。

 今回はBO3ではなく一本のみ。となると、相手の能力を見極めて行かないと即死コースだな。

「ではでは会場飲みんなぁー!準備はいいかぁぁあい!対戦表は各会場のモニターに出されてるから各自確認してねー、じゃあ第一らうんどぅ!かいしぃ!」

 はや!まだ誰もリングに乗ってない!

「あーあー!最初は俺かぁ!まかせとけや!お前はここで死ねばいいがな」

「うるさいよ、二敗したら必ずペナルティがある。勝てよ」

「うっさいわ!お前に言われんでもわぁっとるわ!」

「はぁ……」

 対戦相手は、二十代後半くらいの女性か。能力が分からないから慎重に行ってくれればいいが……。

「はぁー!先手必勝俺の勝ちじゃぁあ!」

 終わったー。

 一番あって欲しくなかったのに一番最初に来てしまったか。

 でも、あそこまで一直線に行けるってことはそこそこ強い能力なのか……?ち、全員の能力は確認しておくべきだった。

 こっちの仲間は相手に一直線なのにあっちはあくびとかしてる。大丈夫なのか……てかそれもまた余裕ってことなのか、分からん。

「おっらぁ!」

 腕を振り上げる動作をするがまだ相手は動ここうとしない。てか普通に殴りに行っただけじゃねぇか!勝てないだろそれじゃあ!

 そう、思った瞬間。

「私の負け。私の能力じゃどう足掻いても彼には勝てないわ」

「あ!?」

「は?」

「うっそぉ」

 やったぁ。思わぬ形で一勝、これは意外と全勝とかできるんじゃないか?

 まあ相手の仲間は穏やかじゃないだろうけど

「はぁ!?ふざけんな!やってみねぇとわかんねぇだろぉがァ!」

「何かペナルティがあるかもしれないんだよ」

 まあ、そうなるよな。俺だってそうなる。

 だが責められてもうろたえる様子はなくたんたんとしている。

「じゃああなた達が勝てばいいじゃない。私の分まで。ね?」

「ちっ!元よりそのつもりだよ!」

「ならよかった」

 ふぅ、まあとにかく一勝。あと一勝でこのゲームは終わる。頼むぞ、志賀さん。

「次は、私ね」

「頼んだぞぉ!俺は勝ったァ!あと一勝やぁ!」

「うるさいな、志賀さん、頼んだよ」

「お、おう!ばっちこいやだよ!」

 うーん、絶妙に可愛い。

 と、相手は……見た目は、三十代くらい。なんて言うか、目が怖い。

 二人共がリングに昇ったところでモニターに「FIGHT!」のもじがうつしだされた。

「ふう、よし!」

「ふふ、お嬢さん真剣だね。今から死ぬかもしれないからかな。へへ」

「それもあるけど、あと一勝で終わるなら早く終わらせたいんだよ」

「ふふふ、はぁー。こんな少女を殺してしまう事を許してくれるこの場所は私にとって聖地だァ」

 な、殺す?何を、言ってるんだ?

 そのセリフとともに男は手を突き出し、志賀さんへ向けられる。

「っ!」

 それを受け攻撃を回避するため志賀さんは能力を使用し、防御フィールドを自身の周りに貼った。

 が、そんなものはなかったかのように、フィールド内に大きな槍が志賀さんの胴をえぐった。

「え……」

「ひゃはぁ!」

「なっ!」

 本当に致命傷を与えた、だと!?それもそうだがなんだあの能力!防御なんか無視して急に大槍が現れたぞ、馬鹿な。

 でも、そんなことなんかよりも

「志賀さん!」

 俺はリングに飛び乗り、志賀さんの元へと駆け寄った。

「志賀さん!しっかりしてくれ!頼む!さっき助けてくれたお礼が何も出来てない!」

「あぁ、ゲホッ、別に、助けたわけじゃない、て言った。それ、よりさ、勝てなくて、ごめん、ね」

「いいよ、いいよそんなの!俺が勝つから!終わらせるから!」

「はは、そっか。じゃあ、よろしく……」

「志賀さん!」

「ははは、悲しい気持ちになってるところ悪いけどさ君、さっきは殺したからレベル1って言われてたよね」

「……」

「返事なしかぁ!きつい!まあいいや。見てみ、僕のレベルは3。殺してもレベルは上がるよ。じゃ、あと一戦頑張ってねぇ~」

 レベルとかそんなの、どうでもいいよ。

 そして、そんな時に、いや、そんな時だからこそやってくる。

「あっれぇ~!死んじゃった?もしかして死んじゃった!?」

 ピエロが……!!!

「……あぅ」

「あ、良かった良かったまだ生きてるねぇ~!じゃあこれから君に関する情報を言うよォ~覚悟してねぇ志賀ちゃん!」

「!?」

「えーと、どこだったかな」

「やめろ、やめろやめろぉ!」

 俺は叫ぶ。第一ゲームと一緒だ。死にそうな人は、

「佐々木 ささきまいちゃん!」

「やめろぉぉぉお!」

 パァン。

 俺の腕に抱かれていた志賀さんの体は弾け飛び、俺には志賀さんの血が全身に飛び散った。

「ひゃっはー!飛んだねぇ!」

「なんや、今の……なんやねん今のはァ!」

 なんか言ってるな、ちゃんと聞こえない。

 こんな、こんなゲームあっちゃダメだ。これはゲームじゃない。ただの殺人だ。死んだ人間をもう一度殺すだけの、俺達は言葉通りアイツらの玩具なんだ。

 許せない。

 終わらせないと。

 俺は立ち上がった。

「第3ラウンドだ。早くやるぞ……」

「おまえっ!ふざけとんのかァ!この状況でどう試合せいゆうねん!」

「あ?知らねーよそんなの。ただ、俺は志賀さんの言ってたようにこのふざけた殺戮ショーを終わらせる。そのために戦うんだよ。早く始めるぞ……」

 その時、俺には見えていなかったが、俺の左手首に刻まれた数字は、1から2になっていた。

 そう、俺のレベルは……

 第3ラウンドの鐘が鳴る。

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