12: rapid or local

「もしもし?」

「あ、新介?」

「ああ、浅彦か。おまえなんで死んだんだよ」

「え、なんかここに居てもしょうがないような気がしてさ」

「なにそれ」

「つーか飽きた?」

「俺に聞くなよ」

「んーなんでだろ。各駅停車に聞いてくれる?」

 目が覚めた。汗びっしょり。やばい。 ケイタイ見る。午前四時。今日学校ない。最悪。時計の音が妙に耳障りだ。頭刻まれそう。部屋は薄暗い。カーテンを開ける。外はもう明るい。新聞配達のバイクの音がする。

 あいつが死ぬちょっと前から、掛川さんはあいつの異変を感じていたそうだ。 俺は全然気づかなかったと言うと、あの人はまたにっこり笑って、ただ僕がそう思っただけだから、と言った。

 確かに俺はあいつとツルんでたけど、もし誰かに巽浅彦がどんな奴かって聞かれたら、俺は答えられるだろうか。

 星野のおばちゃんは、あいつのことを忘れるなって言ってた。でもどんな人間だったか知りもしないのに、どうやって覚えてろってんだ?

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