第40話 練習期間終了!!
呼んですぐに応じてくれたのは正直有難いので、話を進める事にした。
「聞いてたでしょうから説明は不要ですよね?」
「えぇ。大丈夫よ~?救済措置についての適用も何も問題無いわね~。私が問題にしたいのはフェデラー君の処遇かしら~?この学校で前代未聞の大事件だもの~」
頬に手を当てて眉を寄せるニーアさん、けどそのニコニコ顔のせいで真剣に困ってるようには見えない。
デラの処遇ねぇ……………モアの気持ちを考えると、正直このまま通い続けるのだけは無いな。
「因みに今はどのようなものを考えているのであるか?」
オーズさんがニーアさんに問う、どうせニーアさんの事だから何も考えてないって事は無いはずだ。
その処罰が軽いか、重いか判定――――って言うと大げさだな、個人的に意見を述べるくらいならできるだろう。
「そうねぇ…………フェデラー君には一人で校庭の草むしりをしてもらおうと思ってるの」
校庭の草むしり?何か軽い罰だな?と一瞬思った。
けどすぐに考えを改めた、だってこのだだっ広い学校の敷地の草むしりだろ?
それをデラ一人でやったとして何十年かかるんだ?そもそも終わるのか?
これは無期懲役って事か?デラは一生卒業できずに初等部で強制労働すんの?
「却下であるな、軽過ぎるのである」
「えぇ、そうですね。私も軽いと思います」
これで軽いのか!?
オーズさんもファナル先生も鬼か何かか!?
俺がアルフォンス沈めた時はもうちょっと軽かったのに、どうして此処迄重くなるんだ?
モアもマリーも当然みたいな顔して何も言わないから、二人の判断はこの世界では妥当なのか?こんなところで
「全校生徒からビンタされても文句は言えぬのである」
オーズさんッ!?全校生徒にビンタ!?
顔パンパンになるわ!!
「えぇそうですね。私は地面に顔だけ出した状態で埋めて、全校生徒で石を投げるのが良いと思います」
ファナル先生!?アンタもか!?
それ確か俺の元居た世界でもあった処刑か何かだったと思うぞ?
とうとう命獲りに来てるじゃねーか。
「ルシードはどう思う?」
そして、ここで俺に振るのかマリー!?
一斉に注目を集めてしまった、此処で何も言わないって選択肢は無いんだろうな。
俺が元居た世界で通っていた高校で受けた罰を言ってみる事にした。
「えーっと…………寮に謹慎させて反省文とか?」
「温い!!温すぎるのである!!」
「そうですよ?ルシード君が幾ら天使だからって女性に暴力振るった者にまで慈悲を与える必要無いのよ?」
結果、オーズさんには酷評され。
ファナル先生には意味不明に優しく(たぶん)諭された。
どうやらこの異世界は女性への暴行の罪の度合いがかなり重いらしい。
ガキだし喧嘩する事もあるだろうに、此処迄厳罰化するか?
そういえばすっかり忘れてたが、この世界は超筋肉論に支配されてるんだった。
「言い方が悪くなってしまうけれどモアちゃんに暴行しただけであれば、モアちゃんには申し訳ないけれど初犯って事でそれくらいで済んだけどね~?フェデラー君は勝手に獣化の戒めも解いてしまったから、そっちの方が大問題なのよ~」
どうやら罪が重いのはモアへの暴行よりも、獣化した事にあるらしい。
そっちが前代未聞の大事件かよ?知らんし。
「あのね?獣化の戒めっていうのは獣人族に生まれた時に施される魔法の事で、これが在るおかげで私もこうして人族のように擬態できているの。それを成人するまで勝手に解くことは禁止されてて、理由は……………血に目覚めちゃうからだって」
「血に目覚める?戻れなくなるって事?」
俺の質問にモアは静かに頭を振る。
「血の味に目覚めちゃうんだって、それでどんどん血を、戦いを求めて暴れ続けて最期には
変身見た時はカッコいいとか思ったけど、かなりのリスク背負ってるな?
冗談でもモアに変身見せてとか言えねーわ。
気分が落ち込んだ俺を見て、モアが努めて明るく振舞って、
「でも成人してからなら不思議と大丈夫みたいだよ?私のお父さんもお母さんも血なんて口にしようとも思わないって言ってたから」
「そっか、じゃあモアには成人してから変身した姿を見せてもらおうかな?」
「え………………?」
「え?」
モアに気遣われたのが申し訳なくて、同じように軽い感じで俺が何気なく言った言葉に、モアは顔を真っ赤にしてもじもじし始めた。
そこにすかさずオーズさんが俺に耳打ちして来て、
「獣人族に異性に本来の姿を見たいと言うのは、”貴女の全てを受け入れる”という意味のプロポーズである」
もう少し早く言ってくれ!!
「ごめん!!モア!!俺はそういう意味があるって知らなくて!!」
「あぁ、うん。そうだよね?じゃあもう一回言って?」
耳の裏に手を当てて”いつでも言って良いよ?”って態度のモア、もう一回言ってって言われてもな?――――――……って痛ぇ!!
突然ケツを襲った痛みに、見るとマリーが俺のケツをつねっていた。
その顔は頬を膨らませて何やら不満な様子、何ソレ?可愛いだけなんだけど?
「ルシードきゅんったら、ウチのマリーという素晴らしい娘が在りながらそれだけじゃ満足できないなんてッ!!色々持て余しているのねッ!!」
ニーアさんが自分自身の身体を抱きしめてクネクネしだした。
俺はアンタという
結局デラの処罰は追々決めるって事でこの騒動は幕を閉じた。
それから俺たちは、
「ルシード、此処間違ってる」
「え?何処?」
「ここ」
「あ、ホントだ。ありがとうマリー」
「も~ルシードくんてば間違い過ぎだよ?」
「モアも、そこ間違ってる」
「えぇっ!?」
模擬戦闘試験練習期間の間、モアも加えた三人でずーっと勉強していた。
主にマリーが先生で俺とモアが生徒って感じだったけどな?
俺もモアもマリーにはもう頭が上がらねーわ。
こうして練習期間が終わり、いよいよ大会出場者を決める為の予選が始まる。
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