第1340話 気が合う
肉体的には男だけど、魂は女…男の娘? ニューハーフ?
「んじゃ、お前の前世ってホモなのか!?」
「だうだうだうだうだう!!」
あれ、何かエド君怒ってる様だけど…。
「マスター、先程の発言は社会規範的に問題が有るかと思います。彼が怒っているのは、そこについてでは無いかと思います」
「だーう!」
え、そうなの?
「えっと…ちなみに、どの辺が問題なんでしょか?」
「だうだうだう!」
あ、なんかすっげぇ俺を馬鹿にするような目で見てる…。
「それは、ホモなのか? っという発言です。ホモというのは、単なる同性愛者の事を指すのであって、それが必ずしも肉体が男性であり魂が女性の方に当てはまるとは限りません」
「え…そうなの!? そ、それは申し訳ない」
ナディアの説明を聞き、即座に俺はエド君に頭を下げた。
「だーう」
許してくれたのかな?
「つまり、エド君は前世では…性同一性障害だったって事?」
「だう…」
そうか、それは前世ではかなり苦労したんだろう。
俺も最低限の性的マイノリティーに関しての知識はある。
っと言うのは、実は俺の通っていた空手道場でも、そういう人がいたからだ。
エド君とは反対で、肉体的には女性だったが、心は男性。
彼女と出会ったのは、確か俺が高校生で彼女が中学生の時だったと思う。
見た目にはそ女性らしい体型になりつつある、まだ成長途中の何処にでいそうな女子中学生だった。
だけど、彼女の心は明らかに男性だった。
どこかの歌劇団の様な男装の麗人とは、根本的に違っていた。
そんな彼女と、たまたま練習後に2人きりで話をした事があったのだが、彼女の初恋の相手は女性…幼稚園の女の先生だったらしい。
その頃から、自分は周りの皆とは何かが違うと、ずっと思っていたそうだ。
初恋の後も、好きになるのは女性ばかり。
校則で仕方なくスカートを着用しているが、それもかなり嫌なんだとか。
でも学校では絶対に打ち明けられないとも言っていた。
何故ならば、その頃はまだ性同一性障害なんて言葉は、社会一般的に広まっていなかったからだ。
そもそも、俺が前世で死ぬ10年かそこら前ぐらいになって、やっとその言葉が社会に広がったって程度で、まだ性同一性障害に関しての正しい知識なんてほとんどの人が知らなかっただろう。
性同一性障害の人は、世間一般的には、同性愛者(ホモセクシャル)と同じだと思われている事が多い。
だが、それは心の性別からみると異性愛者(ヘテロセクシュアル)なんだ。
それに、中には無性愛者(アセクシャル)や両性愛者(バイセクシャル)の場合だってあるらしい。
だから、俺が不用意にホモだと決めつけた様に言ってしまったのは、彼を差別した事と変わりない事なのだから、頭を下げて謝罪するのは当たり前だ。
性的マイノリティに関する問題が、まさかこの世界に転生してまで…。
そういや、ナディアは俺よりも早く気付いてた気が…。
「ん? だけど、よくナディアは気付いたな?」
俺がそう訊ねると、
「はい、この邸にも数名おられますので」
「えっ!?」「だう!?」
俺とエド君が、ほぼ同時にナディアの言葉に驚く。
「って、エド君はこの邸に居たんだから、知ってんじゃ無いのか?」
「だうだう!」
あ、知らんかったって事でいいのかな?
「執事の何人かは、実は女性です」
「マジで!? え、誰だ誰だ!?」「だ、だう!?」
そう言えば、初めてこの邸に来た時に出迎えてくれた執事さんの中で、めっちゃ若くて可愛い人が居たけど…まさか、あの人なのか?
「お2人にお名前をお教えするのは簡単ですが…、今は秘密です」
「何でだよー!」「だーーーううう!」
何だろう…エド君とは気が合う気がしてきた…。
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