第1300話 困るんだけど…
何だかメリルに裏切られた気がするが、実はそうでは無かったらしい。
俺が爵位返上をすると、この俺の領地が俺の物じゃなくなる…と思っていたら、実はコルネちゃんかユリアちゃんに爵位を取ってもらい、俺を代官的な立場でこの地に留めればいいのではないかという考えだとか。
領地の経営を妹達に任せ、心置きなく局長と戦えばいいんじゃね? って事らしい。
実家は末っ子エド君が成長するまで父さんに頑張ってもらうという案を提示。
いやいや、もしも総力戦となったら、俺だけじゃなくて嫁ーず(近々の決戦だと妊娠中のメリルとミルシェは除くけど)、サラとリリアさん、父さん母さんもコルネちゃんもユリアちゃんも任意で参戦してもらう必要がある。
多分、全員が戦ってくれると信じている…ユズノちゃんがいるから、ユズカは拒否するかな?
いや、この星…次元世界のどこに居たって危険なのか変わりないんだから、ユズノちゃんを誰かに預けて戦うかも?
ちなみに、ダンジョンマスター達とミヤヒナは強制参加だ。
う~~ん、この問題って結構難しいなぁ…。
そう考えたら、ラノベとか漫画とかの異世界勇者って、自分勝手に敵と戦ってるよなぁ。
爵位とか領地を貰ってるくせに、魔王と戦いにいったりしてるけど、そんな事してる時でも領地の民って普通に生活してるんだよね? 領地の経営って、どうやって回してるんだろうか?
是非ともご教授頂きたいものだ。
って、違う違う!
「メリルの話からすると、コルネちゃんかユリアちゃんが、俺の領地を引き継ぐって事なのか?」
俺の領地って言うより、最近は父さんの領地も含めたアルテアン領の全ての経営をしてるんだけど?
「ええ、そうですよ? コルネリアさんは、かなり頭のいい方ですから、女性であっても確実に爵位を賜る事が出来ると思います」
まあ、この世界ってまだまだ男女格差は大きいから、なかなか女性が爵位を賜る事って少ないはず…。
「まあ、時が来たら私がお父様に言って、爵位ぐらい何とでもなりますけど」
「おい!」
そんな事で王権使うな!
「反対ですか?」
「ですか…って、そりゃ反対するだろう!? 無理やり爵位を賜ったところで、絶対に他の貴族とかが反発するぞ? そん時、どう言い訳すんだよ!」
国王が強権発動してコルネちゃんに伯爵位? 絶対にもめごと必至だよ。
「いえ、コルネリアさんもユリアーネさんも、女神ネス様の巫女なんですから、別に誰からも不満は出ないと思いますよ?」
「…………」
そうだった、忘れてた…。
2人は女神ネスの巫女として指名されたんだった…いや、俺がしたんだけど。
国王陛下以下、この国の重鎮は全員熱心なネス教の信徒だったりするんだから、その巫女に爵位を与えたところで、文句など出るわけない。
しかも収めるのが俺(女神ネスの眷属にして使途)の領地であり、ネス教の聖地でもあるここなんだったら、確かに文句なんて付けようも無いな。
ってことは、爵位の余った俺が、父さんのポジションにスライドして昇爵ってのも極普通の流れか?
あ、もしかしてメリルはそこまで考えて『お義父さまの爵位継承を目指されるのですか…』なんて話をしたのか?
いやいや、確かメリルは、コルネちゃんの婿(実に不愉快だ)が、侯爵位をとか言ってなかったか?
「ちょい待って。んじゃエド君はどうなんの?」
父さんの爵位をコルネちゃんの婿(俺を倒してからな?)が目指す可能性って言うなら、エド君は?
「ああ、エドワード君は、そもそも王家に婿入りが決まってますから、最低でも公爵位になるでしょうね」
「なんですとーー!?」
まだ生まれて間もないエド君の将来って、すでに王家に婿入りが決まってんの!?
「え、驚く事ですか?」
「いや、驚くだろう? だって、まだ生まれたばっかりなんだぞ?」
え、何でメリル不思議そうに俺を見んの? え、これが普通なの?
「一代で平民から公爵位まで上り詰めたお義父様。社交を難なくこなし、陰で侯爵を支えるお義母様。長男は女神ネス様の眷属であり、アルテアン商会の立役者。妹2人はネス様の巫女…。そんな一家の末の男児、取り合いになるに決まってますでしょう?」
「と、取り合い!? 誰が?」
「侯爵位以上の貴族と王族ですわよ?」
「いや、エド君はまだ生まれたばかりで…」
「優秀な一家の末の男児の将来性が低いはず有りません!」
断言された…。
「なので、お義母様が王都に戻られた時、近しい年齢の子を持つ名だたるいえいえが、お義父様のお邸に殺到しまして、婚約者の権利を王家で勝ち取ったのですわ」
「俺、全然知らんかった…」
我が家の末っ子エドワード君は、生後半年ほどで婚約者が決まったらしい…。
しかも、話の内容から推測すると、姉さん女房となる様だ。
いや姉さん女房が悪いって言ってるんじゃないよ? 俺だってマチルダとイネスは姉さん女房だ。
だけど、婚約したのってちゃんと自分で考えて(罠にはめられたのは別として)したんだよ?
親同氏が決めた婚約じゃないんだぞ?
でも、エド君は自分の知らないところで勝手に婚約が決まって…。
お兄ちゃんエド君に、おめでとうと言うべきなのか、それともご愁傷様と言うべきなのか、ものすご~くかける言葉に困るんだけど…。
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