第1287話 子供の頃に憧れた…
翌日の夕刻前。
リリアさんから昨日聞いていたように、ボーディを先頭に、モフリーナ、モフレンダ、もふりん、カジマギーと、ダンジョンマスター御一行様が揃って我が家にやって来た。
まあ、何のかんのと多方面で協力し世話になっている彼女達なので、我が家も勢ぞろいでお出迎えだ。
「妾達の出迎えなど不要じゃのに、申し訳ないのぉ…」
まさかのお出迎えに、ちょっと申し訳なさそうなボーディ。
確かにこの世界では貴族家が揃って出迎える様な相手など、そう多くはない。
恐縮する気持ちも分からなくもないが、これっていつもの事じゃん。
そもそも関係者以外、誰にも見られる事ない裏庭なんだから、気にする程じゃないぞ。
「別に手間ってわけじゃないから気にすんなよ。それより、何か重要な話でもあったんじゃないのか?」
サラから凡その事は聞いてはいるのだが、もう少しきちんと説明が欲しい。
「うむ。、お主の邸の地下には、巨大ロボットの発進施設があるとサラから聞いたのじゃが?」
やっぱそれか。
「ああ、ある。現状、全く使用していないただの洞窟になっているけどな」
ボーディの問いに、俺は正直に答えた。
そう、あれはまだ俺がこの邸をガチャ玉で創造する為に、色々とイメージしていた時の事。
邸自体は名作カリオ〇トロの城を小さくした感じにしようとすぐにイメージは固まった。
だが、俺が領地を持つという事を真剣に考えた時、やはり領民の安全を一番に考慮しなければと思ったので、シェルター的な施設も創ろうと思ったのだ。
シェルターは当然だが地下施設とする事は、一瞬で決めた。
ならば、出入口をどこにするか? まさか明らかにそれと分かるような扉を設置したくはない。
あくまでも緊急用なんだから、いざって時にだけ使えればいのであって、普段は隠したい。
ってことで、正面玄関前のロータリーの真ん中に設置されている噴水をその出入口としたんだ。
まあ、これのイメージは、ホグ〇ーツ魔法魔術学校のあの女子トイレにあったトンネルの入り口、そう…あの有名な洗面台がモデルなのだ! いや、威張るほどの事じゃないけどさ…。
んで、そこまで決まったんで、いよいよ創造だー! って思ったんだけど、ふと物足りなさを感じちゃったんだよね…今考えると、俺ってアホだよね…。
何がアホかって言うと、子供の頃に憧れたロボットの発進シーンを思い出しちゃったわけだ、これが。
んで、ついついシェルターよりも深い深い地下深くに25m級のロボット格納用の洞窟をイメージしちゃったんだよね。
それも、知っている人は知っている、グレートなマジンガーが収納されている光子〇研究所を。
アニメだったら、そこからぐるぐるとウオータースライダーみたいに曲がりくねったレーンをブレ〇ンコンドルが駆け抜けて海中の発射口から飛び出し、さらに海中からグレートな奴が飛び出してくるんだけど、それはちょっと非合理かなと。
だって、広い格納庫にロボットが格納されているのに、わざわざ別々に操縦席とメカが発進して、その後に合体するって、めっちゃ面倒くさくね?
なので、調子に乗った俺は、ロボット自体がグネグネコースを突き進んでネス湖の湖底から発射するようにイメージしたのだ!
いや、グネグネコース事態が、すでに非合理なんだけど…そこだけは男のロマンって事で自分で自分に許可を出したのだ!
結局、そんな大型ロボットを創る事もなく、完全にただの洞窟と化している邸の地下施設。
「サラもリリアも実際には見た事は無いと言っておったのじゃが、それを妾達に見せてはもらえんかのぉ」
どうやらボーディ達は、あの施設を見たいらしい…けど、
「別に構わないけど…あんな洞窟、どうする気なんだ?」
そう聞かずにはいられなかった。
「なに、簡単な事じゃよ。そこに納めるべきロボットを、妾達が建造したからじゃ」
ボーディが俺の心の奥深くに眠る男のロマンをくすぐる様に、ニヤリと笑いながらそう言った。
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