第1216話 カムヒアー!
白み始めた空が、星々を徐々に飲み込んでいく朝方。
ちょっと現状を誌的に表現してみたかっただけなんです。
決して虱じゃねーから、そこは絶対に間違えないように!
兎に角、まだ明けきらぬ早朝、俺達は手早く食事を摂り、出発の準備を整えた。
まずは真っ暗な森の中をエルフさんを先頭に、ワイバーンが巣食う崖を目指して進む。
行軍は昨日と同様だ。
そう離れた所で野営をしていたわけでもないので、半刻程で奴らを遠目に確認できるポイントに到着。
さあ、こっからはワイバーンとの真剣勝負だ!
いや、殲滅が正しいかな?
奴らの巣は、そこそこ流れの速い川を挟んだ対岸の崖の中腹の出っ張りに幾つも確認できた。
マチルダに頼み、彼女の特殊装備で上空から確認してもらった所、巣は合計22カ所で、ワイバーンの総数は47匹との事。
番いが巣食ってるにしては、数が合わない気がするが…まあ、それはどうでもいいか。
ワイバーンたちは、日光あたって体温を上げている最中らしく、まだすからは飛び立っていない。
今が総攻撃のチャンスであーる!
なので、全員に聞こえはするものの、奴らに気づかれない様に注意しながら指示を出す。
「よし、敵に動きはない。まず下流方面へはユズユズとエルフさん20人が向かってくれ。上流にはウルスラグナ2機とエルフさん20人。その中間であるこの場には、俺、イネス、ブレンダーにクイーン。攻撃開始のタイミングは、俺が一撃を与えるのを起点に、全武装を開放し、後先考えずに一斉攻撃を行う」
俺の言葉に、全員が黙って頷く。
「では、上流組、下流組には、蜂を1匹ずつ付ける。準備が完了したら、蜂達に合図してくれたら、俺に伝わるので、祖に合わせて攻撃開始するんで、全員ヨロシク! では、散会!」
俺の合図で、集まっていたエルフさん達は打ち合わせ通りの法陰とへ向かい、二手に分かれて上流と下流へ。
なんだかヤバそうな武器を全員担いでいるけど…まぁ、今回は見なかったことにしよう。
それでは、俺は俺でミヤを呼び出す。
相変わらず無表情で、どっちかというとぼへ~っとしているようにしか見えない、和服幼女。
だが、あの巨大なマスケット銃を最初から装備している所を見ると、もしかしてやる気なのかな?
どうやら勝手に待機次元を出入り出来るように、自ら進化したミヤとヒナなんで、こっちの事情とか知っていても、別段驚きはしないけどね。
ん? ミヤ、どうした。何か言いたい事あるのか?
「ヒナも…」 ほう、ヒナも呼べと言いたいのか?
いや、いやお前ら勝手に出て来れるんだろう? 「望まれるか勝手に来るかの違いは大きい…」 なるほど、一理ある。
んでは…『ダイタ〇ン カムヒアー!』なんて、お約束は叫ばない。
確かに波乱万丈な人生を送っているとは言っても、俺は破嵐○丈じゃないからな。
取りあえず、『ヒナ カモーン!』って、言う前からミヤの横に立ってるし!
何だよ、呼ぶ必要あるのかよ? え、呼ぶ気になってたのを察知したから来た?
………もう、何から突っ込めばいいのやら…。
おっと、そんな事をしている間に、全員所定の配置についたと? 伝言役ありがとう、クイーン。
では、一丁派手にやったりますか!
え、ヒナとミヤが初手でぶっ放したい?
まあ、俺のエネルギー必要なら…って、うぉーい!
もう2人の着物の帯が俺に巻きついてるじゃねーか!
ま、まぁ…2人共、超本気の顔してるから、御ふざけじゃないようだし、任せても大丈夫だろう!
んじゃ、2人に初手を任せるぞ! 派手にやったんさい!
この時の俺は、この2人が超本気になったら、どんな結果になるのかなど想像もつかなかったんだ。
そして俺はこの後、初手を2人に任せるべきでは無かったと、超絶後悔する事になろうなどと、これまた想像もしなかったのである…。
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