第1214話 撃ってもいいんだろうか?
昼なお暗い森の中を、俺達は無言で、一直線…は言い過ぎだけど、とにかく進んでいた。
この薄暗い森の中では、茂みの影などに息を潜めてこちらを窺う様な獣の姿を捉える事は困難だ。
どこぞの転生者の様に、探知スキルとか持っていれば問題など無いのだろうが、そんなチート能力が俺にあるわけ無い。
なので先頭で深い藪などお構いなしに突き進むのは、筋肉系狩猟民族のエルフさん達だ。
元より深い森の中で狩猟生活をしていた彼等なので、こんな紅軍は朝飯前だ。
おっと、今も鹿みたいな角を生やした兎…兎だよな? を、槍の一撃で倒している。
えっと…その背負ったコンパウンドボウは使わんの?
あ、矢の本数に限りあるから温存? これぐらいは素手でもいける? そですか…。
そんな下らない事を話したりしていると、不意に目の前の茂みがガサっと音を成し、そこから飛び出して来る人影が。
すわっ、敵襲か!? っとちょこっとビビりはしたが、エルフさん達が普通に接しているので、敵では無いと分った。
どうやら先行して偵察任務に就いていたエルフさんが、野営に適した場所を確保してくれたらしい。
なので、本隊はまずはそこを目指す事にした。
陽もとっぷりと暮れて、高い樹々の枝葉の間から、夜空に輝く星々が顔を見せる時刻、俺達は野営地にて最終作戦会議を行っていた。
っと言っても、ちょこっとだけ大きな焚火を囲み、皆で話をしているだけなんだけどね。
エルフさん曰く、ワイバーンは陽が沈むと巣に籠って動かないそうだ。
そして朝日が上がっても、すぐには動きださないと…これって普通にトカゲだよね?
変温動物だよね?
なので、明日の日の出とともに攻撃を解すすれば一網打尽に出来るんじゃないだろうか…との事。
あれ? そういえば、俺が子供の頃に戦ったワイバーン戦って…朝一だったっけ?
えっと…陽が昇ってから野営地点を出発して、ワイバーンが巣食ってる場所まで移動して…。
んんんん? そう言えば結構な時間移動してた気が…。
これってもしかしたら、ワイバーンの体温が上がっちゃてたんじゃね?
もしかして、だからあんなにワイバーンが抵抗して暴れたとか?
うっわーー! これ、完全に作戦ミスじゃん!
こ、これはお口にチャックが必要だな…うん。
今回はワイバーンをよく知る筋肉マッチョなエルフさん達がいてくれたおかげで、そう苦労もせずに倒せるかもって事で、許してちょんまげ。
さて、そんなエルフさん提案の作戦は実にシンプル。
夜明け前に野営地を出発し、事前の打ち合わせ通りに、日の出とともに総攻撃。
奴らが巣食っているのは、ホテル・ニュー大滝のすぐそばを流れる川の向こう側。
その切り立った崖が奴らの巣のありかだ。
川幅はそう広くはないものの、水量と水深が有る為、流れは速い。
つまり、川を渡っての攻撃は、ちょっと難しい。
なので、離れたところからの遠距離攻撃が主になるだろう。
かなりの数のワイバーンが生息しているとのころなので、万に一つの取りこぼしがあってはならない。
奴らの巣が見える場所まで異動したら、マチルダの変身時の特殊能力である、パープルライト・ドミネーターによって、上空から敵の数と座標をチェック。
その後、エルフさん達による遠距離攻撃…あの多連装のロケットランチャーとかRPG-7みたいなみたいなの…本当に撃ってもいいんだろうか? まぁ、こんな深い森の中には、誰も入り込んだりしないから、見られる事も無いか。
前回活躍したブレンダーは、今回はちょこっと待機。
今回はなにせワイバーンの数が多い。
しかも、かなり広い範囲に巣を作っている様なので、蜂達の数が圧倒的に足りないのだ。
キュピーン! って、ニュータ〇プが操るビットっぽい攻撃がしたかったけど、今回はお預けだな。
まあ、クイーンも蜂達もそれは良く分かっているので、数匹にちょっとしたお使いを頼んだ。
このままワイバーンを攻撃したら、上手く倒せたとしても、大半は川の中に落っこちちゃうからね。
だから、彼女達に回収役を頼もうかなぁ…って。
※ どうやらインフルエンザをもらっちゃったらしいです。もしかすると明日以降の更新が出来無いかも知れません。誠に申し訳ありません… (。´Д⊂)うぅ・・・。
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