第1213話 おトイレ事情
くっ…異世界ファンタジーの世界観なんて、これっぽっちも無かった!
その世界観をいの一番にぶち壊した俺が言うのもなんだけど…。
「伯爵様! 準備整いました!」
何故にユズキ君は、そんなどこぞの軍隊みたいな敬礼してるのかな?
『イケル、イツデモ、ジュンビ、オッケー!』
で、何故に筋肉エルフ達は、何故に良い笑顔で横ピース?
「うん、みんなばっちり決まってるよ~!」
これ教えたの、ユズカか…まあ、別に害は無いかけど…違和感バリバリだぞ…。
まあ、そんな事はどうでも良い。
見事にホテル前に整列したコマンド〇…ランボ〇…みたいな筋肉エルフの集団。
ミレーラとマチルダが登場済みの、巨大な剣と盾を装備したウルスラグナ。
変身を終えたイネスと、もうお馬さんモードに変身&変形済みのユズキにまたがる、これまた変身済みのユズカ。
戦闘モードにチェンジしたブレンダーと、その背に括り付けられた蜂達が待機しているファクトリー。
そして、俺の背中から頭へとよじよじ上って来るクイーン。
ごめ、そこにお前がいたら、変身できないんで、出来たら俺が変身してからにしてくれん?
いや、変身しないと、藪漕ぎしながらの森の中の行軍って大変じゃん?
あの筋肉エルフさん達はサバイバルとか慣れてるだろうけど、俺は慣れて無いんだよ。
変身してズバズバズババ―! って藪を切り裂きながら進みたいんよ。
まあ、ウルスラグナ2機が先行したらいいんだろうけど、あれって目立つだろ?
ワイバーンに警戒されても…ねぇ? 変身なんて一瞬の事だから、ちょこっと離れてね。
あ、ありがとね、クイーン。
よっし、変身完了! あ、クイーンはやっぱ頭の上がいいのね…
え~っと、もう準備はいいかな?
「んじゃ、しゅっぱーつ!」
ホテル前にズラリと並んだ凶悪な集団は、一糸乱れず半人半天馬のユズキに跨ったユズカの号令で森へと進んで行った。
そう、ユズカの号令で。
ユズカよ、それは俺が言おうとしてた号令だ! 出番を取るんじゃねーよ!
ワイバーンの巣の場所を知っているエルフさんを先頭に、筋肉エルフが俺とマチルダ、ユズユズにブレンダーを挟んで並ぶ。
最後尾にウルスラグナが1列になって後方と上空を警戒しながらゆっくりと進む。
あの巨人は、どうしても足音も大きくなってしまうし、歩く速度を考えないと前を進む俺達を踏み潰しちゃうからね。
とは言え、ミレーラとイネスは、時折操縦訓練してたらしいので、きちんとその辺は理解しているのか、少し離れて付いて来る。
ウルスラグナは、ただ頑丈で巨大なだけでは無い。
操縦者が被るヘッドギアが操縦者の思考を読み取り、それをトレースして動く。
操縦者は、実質自分の身体を動かす様に考えるだけで動かせるという優れもの。
まあ、ちょっと慣れは必要だけどね…母さんはすぐに乗りこなしてたけどね…。
まあ、人の関節の構造と違う面もあるため、多少の違和感はあるかも知れない。
が、ウルスラグナは、こういった軍事行動ではとても優れた機能を搭載している。
それが360°監視システムだ。
ウルスラグナの頭部はボディに固定されているのだが、両肩、両腰、背中そして頭頂部にカメラが付いている。
その映像は、ヘッドギアに付いているシールドに映し出される。
映像は各カメラごとに分割も出来るし、見たい部分をアップにもできる。
また、全画像を統合して肉眼で見る様な映像にも出来る。
前を進むミレーラには上方を、最後尾のマチルダには後方の監視をさせている。
この森の樹々は、非常にデカイので、早々上空から見られるとも思えないのだが、念には念を入れての事だ。
操縦者はコクピットで完全に身体が固定されているので肉体的疲労は少ないだろうが、ずっと映像を睨みっぱなしは疲れるかもしれない。
あと、実はおトイレにも行けない。
アニメとかのロボットのパイロットのおトイレ事情ってどうなってんだろう?
良く分からないから、完全なイメージが出来なかったんだよねぇ。
なので、2人がトイレに行きたくなったりする前に、小休止してあげないとね。
うむ、こういう小さな心配りが大事なのだ!
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