第1206話  そうかもね…

 さて、ダンジョンマスター達がサラとリリアさんをパンゲア大陸(だと思う)に連行し、当面の問題は俺の覚醒だけとなった。

 だが、覚醒への道は一日にしてならず! そう簡単に出来るはずもない。

 どこぞの活動限界を超えて再び動き始める神を模した人造の巨人じゃあるまいし、そう簡単に覚醒なんて出来るはずない。

 なので、それは日々の鍛錬の積み重ねでなんとかしようと考えている。

 んで、管理局長が何やらやっているらしいけど、それも俺が覚醒しなきゃ手立てがないとか言うんで、そっちも一旦お休み。

 となると、途端にやる事が無くなってしまう。

 だからと言って、嫁ーずとの夜の夫婦生活に力を入れるのも、なんか違う気がする。

 まあ、そこは週休2日? 5日? で妥協してくれた様なんで、いまは考えないでもいいらしい。

 って事になると、最近出番が少なくて暇そうにしている、くっそゲロ甘年中新婚ラブラブカップルのユズユズ夫妻の出番だよな?

 中卒でこの世界にシステムバグ(今となってはそれも怪しいが…)で転移して来た、幼馴染カップル(詳細は番外編見てね)は、唯一俺同様に漢字が使える。

 今までにもいくつもの呪法を用いた新製品の開発に携わって来た2人だが、さらなる新製品の開発に着手させたい。

 いや、あまりこの2人を自由にさせておくと、ドワーフ親方とおかしな兵器とか造りかねないからな…。

 コルネちゃんとかユリアちゃんの車を造らせたら、とんでもない武装アタッチメントとか考えやがったし…。


 って事で、執務室に場所を移して、只今ユズユズ夫妻と呪法具開発の協議の真っ最中。

「でもでも、やっぱ便利道具といったら、ドラ〇もんでしょう~?」

「だから、そっち方面は止めい!」

 お願いだから、ユズカの手綱をしっかり握っててくれよ、ユズキ…。

「いえ、ですが僕もその方面の案は面白いかと思います」

 お、お前もか…。

「いや、しかしなぁ…。そもそも実現不可能だろう? 俺としては、前世…お前達にとっては転移前の地球にあった家電製品とかの方が仕組みとかある程度理解出来る分、実現しやすいと思うんだよな…」

 ドラえ〇んの便利道具なんて、仕組みも何もあったもんじゃないし。

「伯爵様は重大な事実をお忘れになっております」

 何故か妙に鼻息荒いユズキがそんな事を言い出した。

「大事な事?」

 何か見落としてたっけ?

「ここは、剣と魔法の世界! そう、ここはファンタジー世界なのです!」 

 めっちゃ力説有難う。

「そりゃまぁ…そうだけど…」

「なので、地球では実現不可能だった物でも造り出せる可能性はある!」

 お、おう…めっちゃ力はいってるな、ユズキ…。

「原理は複雑に、構造は単純に。これが基本です!」「そうだそうだ!」

 まあ、確かにあのひみつ道具って、構造は簡単そうだよな。

 あと、ユズカは五月蠅いのでちょっと黙ろうか。抱っこしてるユズノちゃんが起きちゃうぞ?

「でもさ、その複雑な原理を、漢字で纏められるのか? そもそも、そんな難しい呪法を、魔石に込められるんだろうか?」

 どこ〇もドアーとか、絶対実現不可能だろ…。

「無論、実現不可能な物も数多くありますが、挑戦は無駄では無いと思います」

 ほう?

「例えば、他のアニメ作品にも出てくる類似効果のある物や、あの作品中にも効果が重複した…いえ、やはり類似した道具が登場する物もあるんです! 例えば、ビッ〇ライトとスモー〇ライトなんかは、ガリバ〇トンネルとほぼ同じ効果です! マ〇ロスでも、デカルチャーの巨人がマイ〇ローン化したりしますよね? あれって、結局同じような発想を別々の作者が考えてるって事です!」

「あ、ああ…うん、そうかもね…」

 ユズキって、俺が思ってたよりも、色々と詳しくね?

「つまり、発想自体はそう突飛でも無いって事です! ならば、きっと道はある!」

「流石、私の旦那様! 柚希、愛してる~!」

 以前の様に、色んなアイディアをレポートしてもらって、その中から今後の開発の糸口を探ろうとか考えてたんだけど…。

 この夫婦に呪法具の開発を任せて、本当に大丈夫なんだろうか?

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