第1197話 朝食は大事
朝の鍛錬は、なかなか熱が入ってたと思うんだ、うん。
自画自賛。
軽く汗を流した後は、一日を戦う戦士にとって、最も大切な朝食の時間。
朝食を摂らない人が、一体どれほどいるかご存知だろうか?
前世の日本での某新聞の調査によると、日本人の成人男女の年齢によっても数値の変動はあるものの、平均すると30%以上もの人が朝食を摂らないという。
起き抜けに食べたくないという人もいるだろう。
食事の時間すらも睡眠にあてたいという人も居るだろう。
また、ダイエットのために食事を抜くという人も居るかもしれない。
朝食を摂らない理由は、それこそその選択をした人の数だけあると思う。
だが、本当に朝食を摂らないでいいのか?
睡眠から目覚めたばかりの脳というのは、いきなり全開で働きだす事は無い。
何故ならば、エネルギーが不足しているからである。
脳のエネルギーとはブドウ糖。
よく、医療系のドラマなんかで耳にするだろうが、点滴なんかに入ってたりするアレだ。
実はこのブドウ糖、身体の中に大量に溜めておく事が難しい物質なんだ。
何故なら、睡眠中も身体に溜められているこのエネルギーがどんどん消費されていくから。
つまり、目覚めた時には、脳の活動に必要なエネルギーであるブドウ糖が枯渇している事があったりするのだ。
んじゃ、どうやってブドウ糖を補給すればいいのか?
答えは簡単、食事を摂ればいい。
まあ、必要以上にカロリーを摂取してしまうと、余剰分は脂肪になってしまうので、効率よくブドウ糖となる物質を必要量だけ食べるのが望ましいのだが…まぁ、それはちょいと難しいかも知れない。
あと、食べ過ぎたら眠くなったりしちゃうしね。
だから、腹八分目が望ましい。
あ、肉体労働の方々は、しっかりがっつり朝食を摂ってもらって大丈夫です。
んじゃ、お前の場合はどうなんだ? ってツッコミが入りそうな気がしないでもない。
だって、まだ脳も活性化しておらずエネルギーも不足している、寝起きの朝から激しい鍛錬を行ってるじゃねーか? って。
そんな事は十分に理解しておりますとも。
まあ、この程度で必要量のブドウ糖を補給できるとも思わないのだが、100%果汁のジュースを1杯飲んでいる。
早起きのドワーフメイドさんが、毎朝用意してくれているのだ。
それを頂いた後に、鍛錬してるってわけ。
鍛錬中の脳のエネルギーを補給する程度の量しかないんで、その後は午前中の活動に必要なエネルギー摂取の意味も込めて、しっかりと朝食は頂きます。
まだ貧乏領主だった頃から我が家に昔から使えてくれていたグラルさん(ミルシェのお父さん)一家では、朝と晩だけしか食事がなかったそうだ。
だが、これがこの世界の一般人の食事事情。
まあ、俺ん家も昔はそうだった。
今となれば、朝昼晩と、しっかりと食事を摂る事にしている。
あれ? 何の話だっけ? そうそう、朝食だ朝食!
皆さん、朝食はとても大事なのです!
朝から飯なんて食えるかよ、ぺっ! とか言ってるそのこ君!
君が学生であるならば、しっかりと朝食を摂っていれば午前中の授業なんて屁の河童だぞ!
テストだって、どーんとこいだ!
時間が無いのであれば、食パン1枚でもいいから、咥えて走り出せ!
さすれば、曲がり角で運命の出会いがあるかも知れない! いや、無いかも知れないけど…。
サラリーマン、ウーマンであれば、午前中の仕事がはかどり、昇進も夢では無いかも知れんぞ!
昇進できないと文句を言われましても、当方は一切関知いたしませんが…。
あ、そうそう! あと休日も大事だね。
この世界って、1週間は7日で地球と一緒だけど、もともと休日なんて月に1日あれば良い方だとか。
なので、我が領地だけでなく、隣領であるアルテアン侯爵領でも、週休二日制を強く推奨している。
制度を取り入れてくれている商家や工房には、些少ではあるが補助金も支給してるるのだ、我が領地では! あ、父さん所もね。
休日ならば、家族サービスするもよし、気分をリフレッシュしたり、身体を休めたり、趣味に興じるのも良いでしょう。
「そうですわね。確かに休日は大事です」
ん? メリル、いきなり何を言い出すんだい?
もしかして、俺の考えが全部口に出てたとか?
あれ、ここは何処だ!? お、応接室じゃないか!
しかも、この目の前のお茶は!?
いや、そもそも、どうやって俺はここまで来たんだ??
「何やら朝食は大事だと熱弁されてました。食事中も移動中も」
いや、聞こえてたんなら、止めようよミルシェ…。
ってか、歩きながらも熱弁してたの、俺?
「…聞き入ってました…」
ミレーラって、朝は食べなさそうだもんね…イメージ的に…。
「そこで我々から提案です!」
どうしたどうした、イネスや?
「トール様の朝の鍛錬も、週休二日にしましょう!」
マチルダが、とんでもない事を言い出した!
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