第1186話  その時のリリアさんは…

 服を脱げと言われたら、盛大にサラが駄々をこね始めた。

 床で大の字になって、じたばたと…お前は、子供か!?

 私たちが管理局となったのが、いったいどれほど昔なのか。

 その辺の記憶は、もう定かではありません。

 少なくとも、数百年…いや、数千年は昔の事でしょう。

 なので、絶対にこんな聞き分けの無い子供の様な姿を平気で人目に晒せる様な年齢では無いはずです。

 たかが服を脱ぐぐらいの事の、何がそんなに嫌なのか。

 サラを見ていると、ちょっとイラっと来るものがあります。

 なので、ここはもう強制的に剥いてやろうではないですか。

 私が先に検査を受ければ、サラも納得するのかもしれませんが…ムカつくから、こいつから先でお願いします。


「自分で脱ぐのが嫌だというのであれば、やはりここは…」

 そうダンジョンマスターの方々に告げ、私は床の上でのたうち回るサラの元へ。 

 サラと私が着用しているのは、伯爵家のメイド隊の制服であるメイド服。

 自分で毎日脱ぎ着しているのですから、サラの服を剥くぐらい簡単なものです。

 まずは体を捩った瞬間に、真っ白いエプロンの腰ひもの結び目を解き、さらに逆に捩った瞬間に剥ぎ取る!

 手をジタバタさせている間に、両手の袖のボタンを外す。

 続いて襟元から胸にかけてのボタンもささっと外しましょう。

 うがー! とか言って両手を万歳したので、ズボッとメイド服を頭からすっぽり抜き取ります。

 お次は…こいつ…何て物を着用しているのだ!?

 太ももまでの絹のストッキング(後ろに縫い目あり)を、ガーターベルトで留めてやがる!

 しかもパンティはスケスケのレースだと?

 何だそのシースルーのブラジャーは!? お前にそんな物は必要ないだろうが!

 精々、お子様パンツとスポーツブラで十分だ!

 腹が立ったので、両足をジタバタした瞬間に、両靴と靴下を剥ぎ取り、ストッキングを脱がせ、腰を浮かした瞬間にパンティもガーターベルトも取り去ってやりました。

 あとはブラですが…紐で結ぶタイプなので、これの撤去も一瞬です。

「え、ちょ、お、あ、えぇ!?」

 いつの間にやら、すっぽんぽんにされているのに気が付いたサラが何か叫びそうでしたが、これも丸っと無視です、無視!

 最後に、もういちど足首までの白いソックスを履かせ直して完了です。

 ふぅ…やり切りました。妙に達成感があります。


 え、何ですか、ボーディさん? 

 何故ソックスを履かせたのか…ですか?

 それは趣味です! 

 ホワイトブリムは外さないのか…ですか? 

 いい所に気づきましたね、モフリーナさん。

 それも趣味です!

 どうです、このツルペタ幼児体系の少女の裸に、白く短いソックスとホワイトブリムのコラボレーション!

 この組み合わせは、ある種の芸術だとは思いませんか? 

 あ、思いませんか…私の趣味はなかなか他人には理解されないものですから、これは仕方ありません。

 私などは、こんな劣情爆発しそうな姿を見ると、蝋燭と荒縄と鞭を手にしたくなりますけどねぇ。

 ああ、そんなことよりも、さっさと検査に移りましょう!

「さあ、今のうちです。検査装置へ」

 私の声で、どこか遠くに旅立っていたダンジョンマスターさん達の意識が戻ってきたようで、全員でサラを拘束して、ベッドへと力づくで寝かしました。


 ん? さっきまでこのベッドって、枕ぐらいしかなかったですよね?

 何ですか、この革のベルトは? なんと、拘束具ですと!?

 なるほど、これを使ってベッドにサラを完全に固定すると…ほう、良い趣味をしておりますねぇ。

 微妙に足が開いている所が、ぐーですよ。

 これを瞬時に用意したのはモフレンダさんですと!? 

 もしかすると、彼女はSの気に目覚められた…いえ、もともとSなのかも?

 もしや普段の深い闇を湛えた様なモフレンダさんは、このSの気を隠すためなのカムフラージュなのでしょうか?

 今度、じっくりねっとり、お話をしなければなりませんね。

 ええ、それはもう微に入り細に入り、とことん共通の趣味に関してのお話をしましょう…ね。


「こ、これはどう考えても事案です! R指定に引っ掛かる絵面です!」

 サラ、ちょっと五月蠅いですよ?

 今、良い所なんですから、少し静かにしててください。

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