システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

第1185話 ぽちっとな

　ごねた。

　それはもう盛大に、サラはごねた。

　リリアは、どこか達観した様な様相で、ただ中を見つめていた。

「はよう、脱ぐのじゃ！　嫌なら帰るのじゃ！」

　子供の様に床に大の字になってギャーギャーと駄々をこねるサラに向かってそうボーディが告げると、

「はぁ…仕方ありませんね。私が脱がしましょう。皆様、少々手伝って頂けませんか？」

　リリアがため息をつきつつ、そう宣言した。

「え、ちょ、なら先にリリアが脱げばいいじゃん！」

　サラがそう言うのも当然である。

「いえ、サラの方が色々と特殊ですから…先に見てもらった方がいいでしょう」

「私のどこが特殊なんじゃー－－－い！」

　そんなリリアの言葉に、顔を真っ赤にして怒るサラ。

　だが、リリアはまたしても平然と告げる。　

「いえ、だって…サラは幼児体系のボディにしか適合しないじゃないですか」

「むぐ…」

　確かに今まで様々なタイプの女性型のボディに入ろうと、サラは試してきた。

　特に、胸の大きなボディに入ろうと努力してきた。

　しかし、悉くボディにサラの精神は拒絶された。

「あなたが唯一適合できたのは、そのツルペタ幼児体系だけでしょう？　それが特殊でなければ、何が特殊に該当するんですか？」

　あくまでも無表情なリリアがそう言うと、サラはもう何も反論できなかった。

　何故なら、冷たい視線でそう言うリリアが、今まで様々なボディを使用してきているという事を、サラは何度も自分の目で直接見てきているからだ。

「自分で脱ぐのが嫌だというのであれば、やはりここは…」

　そう言うが早いか、リリアはまるで手品の様に、サラの服をどんどんはぎ取ってゆく。

「え、ちょ、お、あ、えぇ！？」

　サラが着用しているのは、トールヴァルド家においての制服である。

　ぶっちゃけ、クラシックなメイド服。

　長袖だし、スカートの裾も長いし、真っ白なエプロンを着けている。

　どこかのメイド喫茶やコスプレ衣装などとは違い、露出など皆無の非常にクラシックなタイプ。

　むろん、ファスナー等といった便利な留め具など無い。

　あらゆる場所に使用されている留め具は、もちろん木製のボタンである。

　ボーディ達も、見る間にひん剥かれてゆくサラを、そのリリアの手腕を、ただただ茫然と見ていた。

　いや、茫然としていたのは、サラも同様。

　あっという間にすっぽんぽんにひん剥かれ床に転がされたサラは、あまりの事に固まっていた。

「さあ、今のうちです。検査装置へ」

　リリアの声に、我に返ったダンジョンマスター達は、慌ててサラを検査装置のベッドへと運んだ。

　検査装置のベッドは、先ほどサラが見たときは、確かにただのベッドだった。

　決して拘束具など無かったはずだ。

　なのに、これはどういう状況だろうか。

　リリアとモフリーナとモフレンダによって、あれよあれよという間に検査装置のベッドに運ばれた、すっぽんぽんのサラ。

　横にされたと思ったら、額、首、両の二の腕と手首、腰、両の太ももと足首が、ベルトでがっちりとベッドの上に固定されている。

　ちょっと両足が開き加減なところが、エロティックだ。

「こ、これはどう考えても事案です！　R指定に引っ掛かる絵面です！」

　何やらサラが大声で抗議しているのだが、全員すっぱりとそんな物は無視。

　モフレンダが検査装置の横で、何やらごそごそと操作した後、ボーディにサムズアップ。　

　それを見たボーディは鷹揚に頷き。　

「それでは、検査開始じゃ」

　そう言って、検査機に付いている、押したら爆発しそうな髑髏マークのボタンを、

「ぽちっとな」

　っと、めちゃくちゃいい笑顔で押し込んだ。