第1182話  さっさとお家に帰ります

 え~っと、大変残念なお知らせです。

 王都への往復の旅は、皆様に報告すべきことは何もありませんでした…。


 だって、練兵場へとホワイト・オルター号を着陸させて、家族と騎士さんや兵士さん達と例の村人、そして一緒に運んで来た王城への納入品を降ろして、停泊。

 騎士さん兵士さんは父さんが一言二言話した後に、そのままいったん解散。

 父さんと副隊長のおじさん(失礼)が、ここまでに仕上げた調査報告書を王城に提出。


 カップルになった奴等は、騎士&兵士の退職と結婚の手続きに王城へ。

 どっちも書類だけだし、父さんが書類にサインするから、実に簡単。

 地球…日本みたいな、労働基準法も民法も無いから、退職の申し出は1カ月前までに…とか言われ無し、役所に婚姻届けを提出するのに本籍地の自事体に行けだの戸籍謄本が必要だの言われない。

 僕達(私達)結婚します! って届を役所に提出するだけのシンプルな物。

 今回は、王城の役人さんに提出だけど、基本的には自分が住んでる領にある役人に渡したら終わり。

 まあ、碌でもない領主だと、色々と難癖付けて税を取ろうとかするかもしれないけど…。

 まあ、初夜税とかかなり昔に絶滅したらしいから、そんなにひどい事はされないだろう。

 ってな事で、色々な手続きはあっと言う間に完了で、新婚の兵士や騎士の皆さんは、ダッシュで荷物をまとめ中。

 ホワイト・オルター号に積んでくれたら、運んであげるからねぇ~。


 俺とメリルと父さんは王家の皆様の所にご挨拶、その後、イネスは実家に顔出しするのに俺も同行。

 その後は、家族全員で王都の父さんの邸で宿泊。

 んで、帰りには家族とカップル11組を乗せて練兵場を出発…。

 ほら、特に報告する様な事なんて、何にも無いだろう?


 強いて報告するとすれば、ホワイト・オルター号が飛び立つ寸前まで、ナディア達がごねてたぐらいかな。

 まあ、それでもナディア達であれば、その気になれば平気で走って帰って来るし…息も切らす事無く平然と…。

 なんせ、過去にこの星を少なくとも半周走った奴らだからな…海の上まで…。

 そんな体力お化けのナディア達を瀕死の状態にまで追い込んだ、あの地にあるという巨大な魔法陣。

 それを護るひよこ達…。

 ダンジョンマスター達により、ひよこ達がどうやら敵では無く味方…それも、別次元に存在している元は俺と同じ存在? いや、俺もその存在から分かれた1人だから、この場合どう説明するのが正しいんだろう?

 兎に角、俺っぽい奴だってのが分かったけど、未だにあの魔法陣が何のための物なのかははっきりと明言はしてないらしい。

 とは言っても、守っているひよこ達が俺の異次元同位体ってのかな? であれば大凡の推測は出来るよ?

 俺と似た様な考えなんだったら、きっとこう考えての魔法陣だろう。

 すなわち、管理局長がこの地に送り込む悪意ある何か? を、どこかに飛ばすための物なんだろう。

 ダンジョンマスター達とも少しばかり話したのだが、あれは受動的な防衛システムなんじゃないだろうか。

 多分、過去にこのグーダイド王国を襲った羽のある怪物的な敵の軍団ってのは、局長が送り込んだ者達。

 そう言った者達が別次元から送り込まれてきた場合、元の次元に強制的に送り返すゲートになってると思われる。

 ナディア達が今回海の彼方に飛ばされたのは、この次元に存在する者だから、この次元内に飛ばされたんじゃないか?

 まあ、飛ばされる座標に関してはかなりランダムっぽく、この惑星の殆どが海だったため、ナディア達は海に放りだされたんだろう。

 設置されている場所が、あんな未踏の地の森の中ってのも、もしかしたら全力で魔法陣を起動した場合、この惑星上のどこに存在していても、魔法陣が吸い込む事が可能だからないかというのが、ボーディ達が色々な角度から考察した推考だ。

 ひよこ達が俺の異次元同位体であるのであれば、それらが集まればかなりのエネルギーを使う事が可能だかららしい。 

 つまり、あいつらは姿も魔法陣も隠して、この世界をどっか外の世界から監視している…のかな?

 それに、どうやら管理局長の様に、ある程度時間を超越してこの世界に干渉が出来そうであるとも言ってたなぁ、ボーディ…。

 ま、ひよこが本当の事を話さない限り、はっきりとした事は分からないけどね。

 そもそも、あいつらはすでに覚醒済みらしいし…。

 別次元の俺のくせに、俺より先に覚醒するとは生意気な!

 帰ったら、絶対に覚醒してみせるぞ!

 

 ってなわけで、さっさとお家に帰ります。

 まずは、見ているだけで激アマゲロゲロで、口から砂糖を吐きそうになる、11組のカップルを乗せて父さんの領地にある、例の地下集合住宅へと横づけ。

 さっさと荷物と新婚ホヤホヤ熱々カップルを放り出して、俺達は一路ネス湖へと、れっつらごー!

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