第1181話  カップル成立

 まあ、予定通りカップル成立だな。


 あの例の村で分かれた若い2人が、遠く離れたこんな場所で再開したら、そりゃぁ燃え上がるってなもんだろう。

 吊り橋効果っぽい気がしないでもないが、そこはまあ、この際気にしたら負けな気がする。

 こっそりと離れた所で成り行きを見守っていた、村の若人を連れて来たもふりんが、遠くかでぺこりと頭を下げていた。

 あれは、後はヨロシク! って事かな? 俺も小さく頷いておこう。

 結局この場にやって来たのは、村の若人男女合わせて11名。

 もちょっと居た気がしたんだが、そっちはパンゲア大陸で新しい出会いがあったのかな?

 泣き崩れている騎士とか兵士は、もしかしたら恋人(仮)に逃げられた人かも…南無南無…。 


 今回成立したカップルは、せっかくなので父さんと母さんが仲人をするって事で、きっと大きな問題も無く結婚できるだろう。

 何たって公爵夫妻が仲人だからね、反対する家族が居るならならそれ以上の爵位の奴を担ぎ出せって言えば良いだけ。

 あ、この世界の仲人ってのは、つまりは日本での婚姻届けに連名でサインする証人みたいなもの。

 保証人じゃないよ? 結婚をしたのを確認しましたっていう証人ね。

 色々と面倒な役柄が付きまとう日本の仲人とはちょっと違う。

 結婚の使者とか、両家の間を取り持つだとか、新郎新婦の後見人役とか、そんな事は一切しない。

 まあ、仲人結婚式には呼ばれるけれども、別に新郎新婦の横に座ったりはしない。

 精々、挨拶をするぐらい。

 だけど、結婚式で偉い立場の人が挨拶してくれて祝福してくれるってのは、とっても重要な事。

 公的には何の後ろ盾にもならないけれども、結婚する2人の周囲には、かなり強いバックが居るんだぞって見えるからね。

 そして、そんな立場になってあげると言われれば、結婚に障害がある若いお2人さんであっても、強力な援護射撃。

 多少の障害なんて、侯爵って爵位だけでぶっ壊せるってもんだ。

 しかも、ご祝儀として俺も女神ネス様からの祝福を届けるとか言ったもんだから、俄然結婚意欲が高まった。

 愛する人に再会とプラスして、侯爵&女神様っていう協力なバックが付いたんだから、もう何も躊躇う事は無い。

 まあ、武士の情けで、男性の騎士さん&兵士さんが、人魚さんに入れあげていた事は黙っておいてやろう。

 女性の騎士&兵士さんが、こっそり俺の街の筋肉エルフをうっとり眺めていた事も、合わせて秘密にしてあげるから、安心して。


 まあ、そんなこんなで、王都への帰路へは11人が増えたんだが、全然カーゴルームは余裕なので問題ない。

 増えた11人分の荷物? あの極貧の村から移住した人達に、手荷物以上の荷物なんてないよ。

 そもそも服だって擦り切れてる様な物を大切に着てたんだからさ。

 そんな服では可哀想なので、事前にもふりんにお願いして、パンゲア大陸で服と下着は数着ずつ手渡してもらっている。 

 なので、バッグ1つだけでの逃避行! って…駆け落ちみたいだけど、それだけ持って恋人について、王都に行く。

 ま、右も左も分からない初めての土地であっても、愛する人と一緒なら大丈夫だろう。


 そうそう、今回カップルになった11組に関しては、一旦王都には行くけれども、騎士さんや兵士さんは職を辞する事になった。

 結婚していきなり無職!? って分けは無い。

 さっきも言ったけど、父さんがバックにつくんだから、王都で色々な人へ結婚の報告をして、きちんと退職の手続きをした後、このアルテアン領に帰って来て、領軍の一員となる事が決まった。

 急だけど、ついさっき。

 侯爵領も大きくなってきたから、そろそろ領軍も増員したいと思ってたんだけど、なかなか即戦力ってのがこんな片田舎だと見つかりにくいから、これは双方にとって利しかないよね。

 新婚夫婦が住む家ぐらい、幾らでも建てる土地もあるし、それぐらいはサービスしちゃうよ。

 え、最初は節約したいから、ここで使ってた部屋を使いたい? それって、あの地下に造った蟻さんの巣みたいな集合住宅?

 確かにあそこには2LDKとかもあるし、無料で使い放題の水道もあるし、水洗トイレもあるけど…あそこでいいの?

 ああ、うん…あそこなら色んな音が漏れない防音設計だから…確かに若いお2人さんには良いかも…家賃もタダだし…。

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