第1109話  ちびりそう

「コルネちゃん、ユリアちゃん。あなた達の双子の妹よ」

 ミヤとヒナを見た母さんは、我が愛すべきエンジェル達にとんでもない事を言いやがった!

「違うからな! 絶対に違うからな!」

 母さんの『双子の妹』あたりの発言で、とっても嬉しそうにするユリアちゃんと、目茶苦茶微妙な顔になったコルネちゃん。

 俺が母さんの言葉を否定するような事を言うと、今度は逆にユリアちゃんがちょっと不機嫌に、コルネちゃんはほっとした顔に。

「なによ、トールちゃん。この子達をあなただけの物にしようっていうの?」

 だーかーらー! 母さんは何を言ってんだよ!

「それも違うからな! ダンジョンマスター達から預かって来た決戦用特殊武装だぞ? Mark.Ⅰがヒナで、Mark.Ⅱがミヤな?」

 嫁ーずも妖精達も、うんうんと頷いてくれてはいるが…、

「でも、あなたの趣味全開よね、その子達?」

「誰の趣味かーーーー!」

 母さんの俺弄りは止まらない。

「あんなこと言ってるけど、コルネちゃんとユリアちゃんの意見も聞きたいわ」

 いや、あのね母さん。2人に一体どんな意見を求めてる分け?

「やはりお兄さまは危険です」「おにいちゃんのしゅみ?」

 コルネちゃん、さっきちゃんと説明したよね? あと、ユリアちゃん…それは違うから忘れなさい!

「2人の容姿のデザインも性格付けも、全部丸っとダンジョンマスターの趣味だよ!」

「あら残念」

 俺が怒り心頭で叫ぶと、全然残念じゃ無さそうな顔で母さんが呟く。


「伯爵様、YES! ロリータ、NO!タッチの原則は、全時空全宇宙での絶対不変な真理です!」

 ユズキよ…お前はこの世界に何を広めようとしてるんだ?   

「BLの布教は完了してるけど、そっちは手付かずなのよねえ…伯爵様、やらないか?」

 ユズカよ、腐の世界はすでに布教済みなのか? ってか、そのやらないかって言い方のニュアンス変じゃないか?

 ってかさ、この話題をいつまで続けるつもりなの?

「ユズカ…伯爵様は、シスコンとロリコンを拗らせているにもかかわらず、全年齢層までカヴァーする真性の変態だよ?」

「そうね、すっかり忘れてたわ。だったら、あとはNTRも揃えれば、ラインナップは完成ね!」

 ユズキーーー! 誰が真性の変態かーーー!

 ってか、何のラインナップを揃える気だ、ユズカ―ーーー!

「あ、でも伯爵様、私は駄目ですよ? ユズキ一筋ですから」「ユズカ…」

 何を衆人環視のある応接室でいちゃついてるんだ? 子供まで生まれたっていうのに、この万年新婚夫婦は…。

「そうよ、トールちゃん。ユズカは駄目です。そうねぇ…人妻なら、王都の知り合いに丁度良い相手が何人か…」

 NTRの意味が、母さんにはわかるんかーーーい!

「母さんも何を言い出すんだよ! 俺は嫁さんだけで十分だ!」

 ってか、母さんの知り合いって、母さんと同世代とかじゃないのか?

 いやだよ、頼まれたってそんなおばさん…は…。

「トールちゃん、今か変な事を考えて無かったかしら?」

「ひぐっ!」

 さっきまで向かいのソファーに座ってたはずの母さんが、一瞬にして目の前に超ドアップになっていた。

「何を考えてたのかしら?」

  大事な事だから2回言ったってわけじゃないよ…ね? 

「い、いえ! 母さんほどの美人の知り合いならば、きっと皆さんも美人なんだろうなぁ‥って考えてました!」

 言えるか、本当の事なんて!

「あら、そう? まあ、それなら良いのよ、そ・れ・な・ら…ね?」

 母さんの笑顔が怖いです…ちびりそう…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る