第1107話 お戻りだべさ
「ただ~いまっと!」
邸の裏庭に堂々と設置されている、パンゲア大陸とアルテアン領を繋ぐ、見た目が完全に地獄門な扉を通り抜けて帰宅すると、辺りはすでに夜の帳が降りていた。
「「「「おかえりなさじょいせ」」」」
ちゃんと帰宅前に連絡を入れておいたので、ドワーフメイド衆がずらっと並んで待っていてくれた。
「奥様が応接室でお待ちだて」
ドワーフメイド衆の内の1人が、そう教えてくれた。
なるほど、母さんは応接室で待ってるのか…今日のドワーフさんの訛りは分り易いや。
ところで、今教えてくれたドワーフメイドさんのお名前は? え、内緒?
嫁ーずは名前を知っていると!? 何で俺には教えてくれないんだよ!
不公平だ! 差別だ!
ってか、絶対に君達って俺の知らない所で入れ替わってるよね? それも内緒?
女には秘密がつきもの? 何の話だよ! 俺にだけ内緒なんだろーが!
どうやら、ドワーフメイド衆の名前を俺が教えてもらえるのは、まだまだ先の事になりそうだ…。
そんな新喜劇の様なやり取りの後、俺達は揃って母さんの元へと向かった。
無論、帰還の挨拶のためだ…けど、よく考えたら、この邸の主って俺じゃね?
こういう時って、普通は母さんが邸の主である俺を出迎えるもんじゃないのかなぁ。
まあ、面と向かてそんな事は絶対に言えないけど…怖いから…。
ドワーフメイドさんが俺達を先導して廊下を歩いている間中、そんな馬鹿な事を俺は考えていた。
ちみっこメイドさんは、俺の視界の下の方に頭があるから、結構廊下の先が見通せるのがいけないんだ。
な~んて、意味不明な言訳が頭の中に浮かんだりしたけど、何に対して使ったらいい言い訳なのか不明だったりする。
きっと、俺…疲れてるんだなあ…精神的に。
さてさて俺の家は邸であって城では無いので、廊下が何百mも続くような広さは無い。
なので、歩いてもあっという間に母さんの待つ応接間の扉の前まで到着する。
「大奥様。お坊ちゃまがお戻りだべさ」
軽く扉をノックしたドワーフメイドさんが室内に声を掛けると、「入ってちょうだい」という、機嫌良さそうな母さんの声。
「んだば…」
そう言って、ドワーフさんがゆっくりと開けた扉の先には、ソファーに座ってエド君を抱っこする母さんと、コルネちゃんにユリアちゃん、そしてユズノちゃんを抱くユズカが座っていた。
ちなみにユズキは直立不動の執事体制で、ユズカの後ろに居たのだが…君も座ったらいいのに…。
「母さん、ただいま。皆、無事に戻って来たよ」
最近、妙に若返った感の強い母さんにそう声を掛けると、母さんが、
「お帰りなさい、トールちゃん。皆も無事でよかったわ。さあ、座って座って」
そう俺達に向かってまるで慈母の様に微笑んで言葉を返した。
俺と共にパンゲア大陸へと渡っていた面々も、母さんへと次々に挨拶をすべく駆け寄っていた。
※ 短くてすみません。
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