第1084話 心配だ…
「で?」
それらを目の前にした俺は、思わずモフリーナとボーディにそう声を掛けずにはいられなかった。
「「で? っと、言われましても…」」
めっちゃ挙動不審にモジモジソワソワする、ダンジョンマスターの2人。
それ達の目の前には、黒地ベースの着物姿の幼女と、白地をベースにした着物姿の幼女が、無表情で立っていた。
「いや、ミヤがここに居るのは何となくわかる。調整が済んだんだろうってな。何でミヤの色違いがもう1人居るんだ?」
どこからどう見ても、色違いの着物を着た双子の幼女。
とは言え、白地の着物の幼女は、目を閉じたまま…寝てるのか? なのだが。
ミヤの恐ろしいまでの戦闘力を知っている俺としては、確かにミヤが帰って来てくれたことは嬉しい…かもしれない。
だが、あの鬱陶しいまでの付きまとわれた日々を思い出すと、ちょっと鬱になる。
まあ、俺の前に連れて来たのだから、そこは完全に調整済みなのだろうが、何で1人増えた?
「あ、あのじゃな…ミヤの調整のついでに、同じ仕様でMark.1も仕上げたそうなのじゃよ…モフレンダが…」
実に言い辛そうに、ボーディがそっぽを向きつつそう言った。
「何故に同じ仕様にした? ってか、そっちの子は目を閉じてるんだけど、もしかして目覚めてない?」
「え~っと…ミヤの時と同様に、エネルギーチャージと名付けをお願いしたいのですけれども…」
これまた言い辛そうにモフリーナがそう告げる。
ミヤの時ってアレか? 俺の指をふやけるまでチュパチュパしてた、アレなのか?
「また、アレを俺にやれと?」
気持ちが良いとか悪いとかの問題じゃ無く、絵面的にかなり問題のあるあの行為を、もう一度俺にやれと仰るのか?
「ええ、まあ…」
俺はモフリーナの影に隠れる様に(身長のせいで丸見えだが)して立っているモフレンダに視線を移すが、そっぽ向かれた。
「嫌だぞ、絶対に俺は嫌だぞ! あ、そうだ! 別に起動しなくてもいいんじゃね? このまま寝かせておいても…」
そうだ、名案だ! 別に我が家の戦力的にはミヤだけいれば十分だ。
Mark.1を起動させ無くたって、全然問題ないじゃないか!
「うんうん、起動はまたいつの日か、気が向いたらって事で…」
そう言って逃げようとした瞬間、ミヤが俺の足にヒッシと縋りついた。
「…お姉ちゃん、起こして…」
う、潤んだ目で上目遣い…だと? どこでそんな高度なおねだりテクを身に付けたのだ!?
いや、待て…こいつ、今なんて言った?
「お姉ちゃん?」
「うん、お姉ちゃん…」
ミヤはそうはっきりと言った。
確かにミヤはMark.2なんだし、Mark.1が姉でもおかしくない…のかもしれない。
起動したのはミヤが先だから、むしろミヤの方が姉なのでは?
ん? そう言えば青と赤の人造人間も、次男の方が先に目覚めてた気がする。
確か長男の方が欠点が少なかったよな? 次男は、どっかの笛の音で良心の回路に変調が…。
すると、ミヤとMark.1の関係も一緒なのか? Mark.1は、あの好き勝手死放題のミヤとは違って聞き分けが良いとか?
「………だめ?」
くっ…殺せ! じゃない、その涙で潤んだ瞳は反則だろう!?
「いや、駄目って事はないけど…、もしもこの子を目覚めさせたら、ミヤとこの子の出番は、半分半分になっちゃうぞ?」
だって、おんぶは同時に2人は出来ないからな、物理的に。
「…………………………それでも…いい…」
めっちゃ長い時間考えたな、ミヤ?
「目覚めさせても良いが、ちゃんと俺の言う事を2人は聞くんだろうな?」
俺の足に縋りつくミヤから、ボーディへと移して尋ねると、
「ああ、うん…大丈夫じゃと思うぞ?」
すっげぇ不安な答えを返して来た。
本当に目覚めさせても大丈夫なのか?
俺、嫁ーず達に殺されたりしないだろうな…心配だ…。
※ 妖精女王の騎士 ヴィー ≪Knight of the Fairy Queen、Vee ≫ 改訂版
https://kakuyomu.jp/works/16817330657187983790
旧作品の設定・文章等を見直して、再投稿始めました
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