第1044話  高速ジャンピング土下座

 まさかのモフレンダ!

「え、そんな裏技あんの!?」

 そりゃ誰だっれ驚くってもんでしょうよ!

 天上天下唯我独尊…じゃないな、独立独歩…もちょっと違う、とにかく誰の言う事も聞かず好き勝手に行動していたミヤの事を、モフレンダはたった一言で止めてしまった!

「そ、そうじゃ! モフレンダよ、お主…そんな方法があるならあると、何故妾に教えてくれなかったのじゃ!」

「そうですよ、モフレンダさん! 私も聞いてません!」

 おいおい、ミヤの共同制作者でじゃないのかよ、ボーディにモフリーナも。

 その2人にも言ってないって、ちょっとあんまりにもあんまりじゃね?

「わ、わたくちもちりまちぇんでちた…」「同じく…」

 ほら見ろ! ちびっこのもふりん&カジマギーも軽く落ち込んでんぞ!?

「…説明…面倒…」

 いや、そんなこと言ったら…。

「「「重要な事は言え!」」」「…でち!」

 ほら、誰だって怒るって…。

 まあ、何を言われたところで、モフレンダの表情筋は1ミリも動いて無いけどさ。


 さて、動きを止めたミヤ(流石に可愛そうだったので、ちゃんとソファーに寝かせた)を見ながら、全員でお話タイム。

 問題は、何故ミヤが俺の言う事だけでなく、製作者たるダンジョンマスターの言う事まで聞かないのか…だ。

「トールヴァルドよ。お主は、こ奴の性能を試したかや?」

 真面目な顔でミヤを凝視しながら、そうボーディが聞いて来たので、

「そりゃ試したさ。ちょっと俺の想定外の性能だったけど、ちゃんとやったぞ。テストしたのは………」

 昨日のテストの事を、憶えている限りの内容ではあるが説明した。

 もちろん、嫁ーずのLシリーズに関しても、ちゃんと話しておいた。

「うぅむ…所定の性能は出ておる様じゃのぉ…」

 俺の説明を聞いたボーディは、小さく唸るりながらミヤを見つめた。

「Lシリーズは、皆さんの言う事を聞いているのですよねぇ…おかしいですねえ…」

 モフリーナも同様に、黙ってミヤを見つめる。

「おかちいでちゅねぇ…」「壊れた?」

 もふりんも首を捻り、カジマギーは怖い事を言う。

「っと言うかじゃ。何でモフレンダの命令は聞いたのじゃ?」

 ミヤを凝視していたボーディが、不意にモフレンダへと視線を向けた。

 確かにそうだとも言えるけど、あれって言う事を聞いたって事になるのか?


「あっ、思い出した!」

 すると、突然モフリーナが叫んだ。

 何だ何だ?

「このミヤのソフトの設計者は、モフレンダでした!」

「「「あっ!」」」

 いや、ボーディももふりんもカジマギーも、そんな大事な事を忘れてたのかよ!

「そう…設計者は、私…」

 何故にドヤ顔なんだ、モフレンダよ。

「いや、確かにソフトはお主に組ませたが…あんなおかしな要件定義はしておらんかったじゃろ?」

「そ、そうです! 仕様書ではちゃんと指示に従う様にと…」

 ボーディとモフリーナが詰め寄るが、

「…人格と個性を持たせろって言ったのは2人。そうしたら、こうなった…」 


 モフレンダの言い分はこうだ。

 Lガール製造は、ハード面(肉体等の製造)は、モフリーナとボーディで、ソフト面(LガールのOS的な物)の設計と構築はモフレンダと、役割を分けていた。

 元々の仕様では、嫁ーず達のLシリーズと同様、没個性で使用者の言う事に従う設定であり、使用時以外は基本的には自動で待機状態になる。

 兵器なんだから、当たり前といえば当たり前の事。

 しかし、モフリーナとボーディが、せっかく人型に仕上げたんだから、人格や個性を持たせるのも面白いといい出したらしい。

 ほぼ完成状態の決戦用特殊兵装・重戦機Lガールに、後付けで人格と個性を持たせろというのは、かなり無茶な要求。

 前世でもソフトウエア開発現場はのブラックが多いって良く聞いたな…。

 モフレンダは頑張ったらしい。それはそれは頑張ったらしい。

 頑張った結果、無理やり人格や個性を出すためのアレヤコレを無理やりLガールの脳に詰め込んだ結果がこれだとか…。

 つまりは、最終的に起動してエネルギー補充をしたら、バグ…つまり誤作動発生。

 誤作動の原因は、元々人格や個性など付ける予定では無かったソフトに、個性を無理やり付けたためと考えられるらしい。


「よーっくわかった。つまりは、その誤作動の原因の元を作ったのは、モフリーナとボーディって事って事だな?」

 モフレンダの長い説明を聞いた俺には、そうとしか思えなかった。

「え…っとじゃな…」「え~っと…」

 ボーディとモフリーナが、俺と視線を合わせない様に…いや、そっぽ向きやがった、こいつら! 

「お・ま・え・ら・が、原因なんだよな!?」

「「すいませんでしたーーーーー!!!」」

 俺が怒鳴った瞬間、目の前でダンジョンマスターの2人が、高速ジャンピング土下座したのであった。



※ 妖精女王の騎士 ヴィー ≪Knight of the Fairy Queen、Vee ≫ 改訂版

  https://kakuyomu.jp/works/16817330657187983790

  旧作品の設定・文章等を見直して、再投稿始めました

 

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