第1002話 ボッチの原因
さて、そんじゃ始めますかね。
父さん達を乗せたワイト・オルター号が、ゆっくりと空に舞い上がり、空の彼方へと消えていったのを見届けた俺は、邸中に残ろ全員を食堂へと集めた。
そして、今回俺達の前に立ちふさがるであろう、過去最大の…多分、この世界だけでなく、ありとあらゆる次元…いや、全宇宙で最も手ごわいと思われる敵について語る事にした。
前世の事は、話すつもりはない。
いや、ある程度は話すよ? だが、微に入り細に入り話すつもりはないって事。
それに、何だか話したら話したで、余計な揉め事が起きそうな気がするんだよね…だから、話さない。
いずれ時が来たら話すかもしれないが、それは今じゃないと俺は思ってる。
だから、今は俺達の目の前に立ちふさがるであろう、最強にして最恐の敵、管理局長について話すのだ。
この場には、メリルを除く嫁ーずと、ドワーフメイド衆、ナディア達妖精族と、妖精&もっちくん達いっぱい、邸中の全ペット達、そしてダンジョンマスター3人にもふりんとカジマギーが居る。
まずは、ダンジョンマスターに今回の敵について説明してもらう。
ここでボーディ達が長々と説明した内容を話しても仕方がないのでそこは割愛する。
宇宙や次元という概念が存在しないこの世界の皆に、それを説明するのにかなりの苦労したのは仕方がない。
そりゃ、ちゃんと理解してもらうに越したことはないんだが、今は大体の事が伝わればいいや。
だが、押さえておくべきポイントは、きっちりと伝える事が出来た。
それは、輪廻転生管理局という全宇宙に跨る巨大な組織とその局長が、俺の明確な敵であるという点だ。
局長の陰謀を説明する途中で、ボーディが俺に対して、
「そうそう、お主には幼馴染とか親友と呼べる存在がおらぬじゃろう? それも局長の陰謀の1つなのじゃ」
などと言い出した。
「ちなみに、お主の幼馴染は? 親友の名は?」
こいつ、俺をボッチだと思ってやがるな?
「幼馴染はミルシェがいるぞ! 親友は…………ブレンダーとクイーン?」
そんな事はない! と言いたかったが、俺ってもしかして親友いない?
「阿保かお主は! ミルシェとはお主の妻の1人じゃろうが。それに、ブレンダーとクイーンはペットじゃろうが!」
えっと…幼馴染がミルシェだけじゃだめなのか? そんで、やっぱ俺ってボッチなの?
「良いか、よく聞くのじゃ。お主が産まれてから今この時まで、お主の周囲の縁そのものを管理局がコントロールしておるのじゃ。じゃから物理的に近い存在や、将来的に切る事が出来ない縁は残っておるが、そう重要ではない縁に関しては管理局が切りまくっておる。親友などと呼ばれる存在は、結構面倒くさい存在となるで、お主が誰かと縁を繋がぬ様に最初からしておるのじゃ」
そう言えば、前世では学校や仕事関係でも友達がいたけど、こっちではそんな存在居ない気が…え、俺ってやっぱボッチ!?
しかも、その原因が管理局にあるだとー!?
「トール様…友達すらできない様にされてたなんて…」
マチルダさん、その泣く仕草…やけに芝居がかって無いですか?
「だ、大丈夫ですよ、トール様。私は幼馴染であり親友であり、貴方の妻です」
ミルシェよ…そう言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱそれって俺がミルシェ以外には幼馴染とか居ないって事じゃね?
「と、トール様は…その…孤高の存在ですから…」
孤高ってミレーラよ、完全にボッチの格好良い言い方だよね?
「はっはっは! では敵を切り伏せれば、我が愛しの旦那様にも友達が出来るって事じゃないか! 簡単だな!」
イネス、豪快だな…。てか、俺に友達作れな寂しい奴みたいな言い方は止めて!
俺自身、ボッチだと改めて認識しちゃったよ!
そして、まさかのボッチの原因が管理局にあるとは、許さん!
ぜってーに、管理局はぶち壊してやる!
さて、次は俺が前世のある程度の記憶を持って生まれ変わったと言う事も説明。
まあ、誤魔化すために、前世で最後に大型の馬車に轢かれて息絶えた、そのショックで細かな記憶は持ってない…程度の話しかしてないけどな。
最初は俺の前世の記憶があるという事だけで、食堂は騒然としたのだが、前世での俺の死について話したら、一気にしーんとしてしまった。
まあ、実は俺も前世の最後の瞬間なんて覚えてないんだ。
気づいた時には、あの転生前の魂が列をなしていた空間に居たんだから、あんまり憐れまれてもね。
記憶がないんだから、同情されるのも違うと思うし。
んで、俺の魂は特別な物であるという説明なのだが、どう説明しようか迷ったのだが、結局はストレートに伝える事にしたんだ。
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