第987話 ヘルプ ミー!
ミレーラには、取りあえず極秘に家族に薬を飲ませる様に指示をした。
期間は特に定めてはいない。
「そんなにゆっくりしていて…敵の襲撃に…間に合うの…ですか?」
そう不安そうに訴えてきたが、急いては事を仕損じると言うことわざもあるのだから、急かすつもりは毛頭ない。
いや、俺の頭には髪の毛は有るぞ? そこは文字通り受け取ったりすんなよ?
将来はどうせ禿げる? 諦めが悪い?
やかましーわ! 俺の毛根さんは、何時までも元気元気だわ!
それはさておき、焦らずにサラとリリアさんの動向を見つつ、慎重に作戦を遂行してもらう様に頼んだ。
無論、薬を飲ませて数分後には、これまでの事を話しても大丈夫になるので、そうすると作戦実行人数が増える。
ネズミ算的に作戦実行可能な人数が増えるのだから、焦る必要は全然無いんだと丁寧に説明をするとミレーラは納得したのか、俺の指示に黙って頷いて執務室を後にした。
ミレーラが執務室の扉を閉めたのを確認した俺は、早速モフリーナへと連絡を取って、先程懸念した事を訊ねた。
結果として、そこまで心配しなくても良いとは思われるが、確かに懸念している事は理解できたので、赤ん坊用に調整した物を準備してくれる事となった。
まあ、完成まで数日は掛かると言う事なので、それまでの間は、赤ん坊が寝ている時に色々と話せばいいだろう。
今頃、ミレーラは人目を忍び俺の寝室のベッドの下を漁って…あ、やっば! 俺の秘蔵の妹物のエロい本が!
「ちょ、ミレーラーーー! 待ってくれーーー!」
慌てて執務室を飛び出し、メリルの後を追いかけたのだが…遅きに失したのであった。
見事に薬の箱は隠したまま、俺の秘蔵の超レアな妹LOVE本がベッドの上に並べられておりました。
そして…薬の事はまだ内密にしつつ、俺の秘蔵のお宝本は嫁ーずの前のテーブルにに並べられ白日の下に曝された。
執務室の中で、正座した俺を見下ろす、嫁ーず全員集合の絶対零度の極寒の視線の中、長くきついお説教の嵐。
嫁ーず以外…特にコルネちゃんとユリアちゃんがこの場に居ないのは、武士の情けなのかもしれない。
メリルとミルシェだけは、お説教の嵐吹く最中ではあるが、苦笑いでソファーに座った。
許してくれたのかな?
だが、マチルダとイネスの怒りは収まらなかった。
何故かミレーラも途中で許してくれた様だが、この違いは何だろうか?
…決して年齢などと口走っては…いや考えてもいけない。
きっと二人の怒りの炎に油を注ぐ結果になってしまうのは必至だから。
なので、嵐が過ぎるのをじっと俺は待つ。
雨雲レーダーによると、多分…そろそろ雷雲は通り過ぎるはず。
だから、ただただじっとこの嵐が通り過ぎるのを待つのだ、俺!
「聞いているのですか、トール様!」
聞いてますとも、マチルダさん。
「まさか妹に欲情するとは思わなかったぞ?」
それは誤解です、イネスさん。
「返事も無いですね…これは間違いなく聞いてないですね!?」
いえいえ、そんな事は有りませんよ、マチルダさん。
「これは、今夜も寝ずに説教が必要だな、マチルダ!」
イネスさん、この説教は徹夜で続くんですか?
「そうですね、イネスさん。ミレーラにももう一晩付き合ってもらわねばなりませんね」
今、何と仰いましたか、マチルダさん?
「あ、わ…私…、あ! はい、お付き合いします!」
ミレーラさんや、何故にそんなに嬉しそうなんですかいのぉ?
「まあ、もう一晩と言わず、何日でも構いませんわよ。ねぇ、ミルシェさん?」
メリル…おま、何言ってんだ?
「そうですね。私達は当分の間、激しい運動は駄目ですからね。トール様がコルネリアさんやユリアーネさんにその欲情を向けない様、全て搾り取って尊昭が起きない様にしてくささい、みなさん」
ミルシェ、お前までそんな事を言のか!?
「あ、そうそう。3人共、頑張って搾り取って、早く妊娠してくださいね」
おい、メリル! 何を焚き付けてんだよ!
「「はいっ!」」「最後の一滴まで!」
ミレーラ、マチルダー! 何でそんあに元気良い返事なんだよ!
イネス、最後の一滴って、俺死ぬんじゃないだろうな!?
「では、解散としましょう」
勝手に占めるなよ、メリル!
「「「「お疲れさまでしたー!」」」」
お前等疲れてないだろうーが! むしろ俺の足が痺れて動けねーわ!
俺が立てず痺れた足を抱えてにごろんと転がるのを後目に、メリル、ミルシェ、マチルダ、イネスと順に執務室を後にした。
おい、誰か何か言ってくれよ! 助けてくれよーーー!
「…トール様…では…今夜、作戦決行です…」
ミレーラさんや…やっぱ助けてくれるのは最年少で妹属性の君だけだー!
作戦って、例の薬を飲ませるって作戦だよな!
やっぱ頼れるのは君だけだよぉぉぉぉぉぉ…!
「…では、今夜…しっかりと…」
「おう! しっかりと!」
「最後の一滴まで絞り取らさせていただきます!!」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
助けてくれるんじゃないの?
ちょ、天を向いた俺の痺れた足をツンツン突っつくの止めれ!
ニッコリと悪い笑顔になったミレーラは、ちょこっと手を振り執務室を…出た!?
ちょ、ミレーラ! ヘルプ! ヘルプ ミーーーーーーーーーーーー!!!
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