第756話 何の話だっけ?
呪法具の開発は、とてもゆっくりとだが着々と前進していた。
成果としての試作品も、ユズキが続々とリリース。
まあ、中には世に出してはいけない物もあったりはしたが…それは厳重に封印をした。
どんな物なんだって?
うん、ユズキが実は隠れミリヲタである事が発覚したとだけ言っておこう。
こんな物を世に出したら、色々なバランスが崩壊する事間違いなしだ。
例えるなら、原始人が初めて石器を手にした様な…おっと、これ以上はいけない。
地球人であれば、その開発した呪法具は、良くテレビなんかで目にする事もあるであろうという事だけは言っておこう。
もちろん、とても素晴らしい試作品も完成した。
先の電子レンジ風の調理器具だけでなく、電動ミシン風の縫製機械や、電卓風の計算機などが代表例だ。
これらは、間違いなく文明を加速させつつ世のため人のためになる事、間違いないだろうと、改良を指示した物だ。
ドライヤーやヘアアイロン(ユズカに使い方を教えてもらった)、シャワー付きトイレなどは、原価計算したが庶民にはとても手が届かない物になりそうなので、一時保留。
しかもシャワー付きトイレは、すでにこの世に存在する。
この世界、紙が庶民でも購入できる価格で流通しているとはいえ、A4の紙1枚で数百円もするのだから、トイレットペーパーなど使い捨てになんて出来るはずも無く、もっぱら用を足したあとはボロ布でお尻を拭いている。
ちなみに、とっても肌触りが悪い。
時々、おしりが痛くなったり痒くなったりしたりもするのは、庶民でも貴族でも同じなのだ。
そこで登場するのが、ちょっとお高いけど世に出回っている魔道具の出番。
使い捨てにしている、おしりふき用のボロ布だってただじゃない。
同じ金がかかるなら、魔道具で代用できないだろうか? っと考えた人が居たって不思議じゃない。
どっかの異世界ファンタジーの様に、『クリーン!』っと唱えると綺麗になる…なんていう、原理が分からない魔法なんてものは、この世界に存在しない。
だったら、どうする?
そう、身体を洗うように、お尻もピンポイントで洗えばいいじゃん! って思いついた人が過去に居るって事なのだ。
そこでお尻を洗うための魔石が組み込まれた便座が開発されたのだ。
開発したのは、実は俺だが…。
だって、マジでボロ布でお尻拭いてたら痒くなったり痛くなったりして散々だったんだもん!
俺が子供の頃は貧乏貴族家だったから、ボロ布だって1回で捨てられない…つまりは洗って再利用してたんだよ!
想像してみろ! お尻拭いたボロ布が、トイレの隅っこの甕の中に入ってるんだぞ? それを日毎に回収して洗うんだ。
洗う使用人だって、触りたくも無いから、その甕に水を入れて、木の棒でぐーるぐーる掻きまわして、何度も水を入れ替えて、最後はゴザに並べて干して、乾いたら取り込む…これ、また使うんだぞ? 不衛生だろ? それ以上に、使いたくないだろ?
どうだ、何か言いたい奴はいるか?
地球だって、昔は角の無い石だの葉っぱだったり、塩水とか酢のついた海綿付きの棒とかで、お尻を拭いてたりしてたんだぜ。
中世ヨーロッパだとボロ布だけど、排泄物はその辺に垂れ流してたんだぞ?」
信じられるか? う〇こを窓から捨ててたんだぞ?
ハイヒールってのは、そんな汚物を踏みたくないから、地面に接する面積を減らそうと考えられたとか言われてるんだぞ?
どうだ、きちゃないだろう! でもそれが事実なんだぞ! 思い知ったか!
はぁはぁはぁ…つい力が入ってしまった…。
必要は発明の母…良い言葉だ。
つまりは、こうした歴史がこの世界にもあったので、俺が開発したのがシャワー付きトイレなんだ。
とは言っても、この世界の庶民の間で広まったのは、地球でお馴染の便座と一体型とかじゃない。
ポータブル式シャワー洗浄機とでもいう様な物で、つまりはお尻を洗うためのシャワーが出る棒を売りに出したのだ。
衛生的にもお尻拭きの布の使い回しなんてNGだと思った俺は、原価に10%ほど利益を乗せた薄利多売方式で売り出したおかげで、この世界のお尻…女性ではゴニョゴニョ…の衛生面では格段に向上している。
なにせ、ほぼ一家に一台という程に売れたからな。
貴族用に、それを組み込んだ便座も売りに出したりもした。
つまりは、シャワー付き便座はこの世界にあるのだ!
あれ、何の話だっけ?
お尻の話だったっけ?
あれ?
※こっそり新作投稿しています。
姫様はおかたいのがお好き
https://kakuyomu.jp/works/16817139558018401730
不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!
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