第716話 正式名称ですか?
もちもち真ん丸の羽付き妖精君…君? 性別ってあるんだろうか?
真っ白だったので今まで良く見えなかったのだが、妖精達から俺に群がって来たんで、1匹とっ捕まえてドアップでその姿をよ~く観察してみた。
今まで顔と思しき所には、点とか線しか見えなかったが…うん、顔で合ってる様だ。
真っ白なんで、黒い点と線ばかりが目立っていたが、その間にある本体? が『ω』の形に盛り上がっている。
いやさ、完璧なまでに顔文字だよね、こいつ。
だって、両手で捕まえてマジマジと観察している俺にびっくりしているのか、( ・ω・` )? って変化した。
言葉は話せない様だが、顔文字で意思疎通は出来そうな感じだなぁ。
ってか、顔文字って結構優秀だな!
前世では、あんまり使う機会が無かったけど、こうして見ると良く出来てると感心する。
そう言えば、前世で離婚前に娘がゲーセンのクレーンゲームでこんなぬいぐるみっぽいの取ってたな。
娘の部屋に何個か並んでた記憶が蘇って来た。
あれも何だかモチモチしてて、よく娘が手でフニフニしてたよなあ。
元は白かったぬいぐるみが、手垢でだんだん薄汚れてきて、最後には捨てられてたの思い出したよ。
あ、いや…もっち君を捨てたりはしないからな?
∑(´・ω・|||) それ、ガーーン! って顔だろ? 捨てたりはしないから安心しろ。
でも、何でこのもっち君の表情が顔文字なんだろう?
まあ、色々な謎は残るが、取りあえずもっち君の処遇は俺に一任された。
その処遇だが…まず、実家の巨乳メイドさん達から、是非とも何匹かは手元に置いておきたいと要望が上がった。
何でも、抱っこすると、とっても癒されるモチモチ感や、ふとした時にスリスリしてくるのが可愛いとか。
いや、あんた達には、その胸部に似た様な物が…あ、いえ…ごめんなさい…4匹ですね、了解しました。
残り6匹は俺の屋敷に来る事に。
嫁ーずに5匹と、ドワーフメイド衆4人に1匹付いてもらう事にした。
なんせ、背後からのプレッシャーがもの凄くてね。
滅茶苦茶ワクワクした顔で、もっち君を見つめて控えていた嫁ーずを納得させる為なんだよ。
いや、このもっち君が癒しになってくれるのであれば、俺の夜のお勤めも緩和される可能性が大じゃなかろうか?
お、そう考えると、このもっち君が量産できるのであれば、母さんや妹達にあげても良いかも!
何たってこの世界ってば、何やかんやと疲れる事が多すぎる。
癒しが欲しい気持ちは、よ~~~っく分かる。
だって、俺も欲しいもん。
あれ? ちょっと待てよ…このもっち君には、俺の考えが読めてないか? いや、伝わってる?
『やっと気が付いたのですか、マスター?』
どういう事、ナディア?
『いえ、先程からマスターが考えている事は、このもっち君…これ、正式名称ですか? 妖精達に全て伝わってますけど』
た、確かに! 捨てた想い出とかの時に、がーーん! って顔してたもんな。
あの時、間違いなく俺は言葉にしてなかった。
『ですから、妖精としての基本性能は全て備えているとお伝えしたはずなのですが…』
そ、そうか、念話か!
『ええ、そうです。普段は、何か問題が起きない限り私かアーデ達を通しておりますが、直接マスターとも妖精達は念話でのやり取りが可能なのですよ?』
そうだった…忘れとった!
何だ、もっち君のその顔は! (¬ω¬*) 絶対に俺を馬鹿にしてるだろ!
ちくそー!
そう言えばナディア?
『何でしょうか、マスター』
もう大樹のエネルギー問題は解決したの?
『まだ少々余剰分がございますので、普通の妖精でしたら生み出せます』
もしかして、狙ってもっち君を生み出す事は出来るのか?
『アーデ、アーム、アーフェンに大樹を管理させていれば可能ではあります。エネルギー量とタイミングを見誤らなければ…ですけど』
ふむ…なるほど。
『マスター、もっとこの妖精が欲しいんですか?』
おお、アーフェンか。
欲しいかどうかと問われると、ちょっと欲しいかも。
『でしたら、マスターがエネルギーを注ぎ込めば可能です』
ほっほ~!
なら、帰りにちょっとエネルギー注ぎ込んで何匹か生み出してもらおうかな。
そしたら王都の母さん達にも…あ、王都には普通の妖精達が居るんだっけ。
『はい、王都のお屋敷には現在かなりの数の妖精達が滞在しております』
ん~~、んじゃ、もっち君と交代でもいいかな。
帰って来た妖精さん達には、例の嫁ーず提案のブライダルプランの手伝いさせても良いし。
うん、何か…禍を転じて福と為す、って感じにまとまって来た!
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