第518話 不潔…
その後も様々な話をした後、滞りなく? 内緒の会議は終わった。
地下室を後にした俺達は、遅くなった夕食を食べ、ゆっくりと風呂で身体を休め、そして我が屋敷自慢の特製ベッドで就寝してもらった。
ユリアちゃんに夜更かしは辛かったらしく、コルネちゃんと早々に部屋に引っ込んだ。今夜は姉妹で一緒に寝るそうだ。
それ、兄妹で一緒に寝ちゃだめかなあ? そう考えた俺を誰か責めれよう! いや、誰に咎められる事も無いはずだ!
『あんた、妹に何する気やねん!』
失礼な! 何もしないぞ、サラ! ただぎゅっと抱擁するだけだ。
『やはり貴方様の腐った性質は、死ななきゃ治らない様ですね』
リリアさんも、大概失礼だよな。この純真無垢な心根のトール君に対して、不当すぎる評価だ! 断固抗議する!
『あの…マスター。コルネリア様の寝室にだけは近づかないでください』
なぬっ!? ナディアよ、それはどういう意味なのだ?
兄が妹の寝姿を堪能する事の、どこに問題があるというのだ? こんな機会は滅多と無いのだぞ!
『『『マスター、キモイです』』』
さ、3人共…ストレートすぎる表現をありがとう…じゃなくて、どこがキモイんだよ!
『『『『『『全部です!』』』』』』
ううう…しくしくしく…
1人うなだれていると、嫁達に拉致されて寝室に引きずり込まれました…
まるで、弱っているインパラの子供を、雌のライオンが集団で狩りをする様に…そして、物理的に喰われましたとも…
俺ってこのアルテアン伯爵家の家長なはずなんだけどなあ。
明けて、翌朝。
俺と嫁達が一緒に食堂に行くと、父さんだけが不在だった。
どうやら父さんは、通信の呪法具で…相手は国王陛下…かな? と、長時間戦争に関して話しているようだった。
俺達が席に着き、朝食の配膳が終わった時、大まかな方針が決定したらしく、通信を終えた父さんは食堂に入って来た。
そして入ってくるなり、俺に向かって、
「トール、王都に帰るから、お前も一緒に来い」
だ、そうだ。
そりゃ、戦争の為の対案を陛下や国に対して献策するっていうの? 具申するっていうの? 正式には何ていうのかは知らないが、要するにこの戦争の対策本部みたいな所で話すそうだ。
「何時出発?」
時期が決まって無ければ、何とも答えられん。
まだユズユズも御守りの呪法具の完成を急いでいる所なんだから、俺がいなくちゃまずいだろうし。
「出来れば早い方が良いんだが…」
何とも煮え切らない言い方だな、父さん。
まあ、それなら俺が決めてあげましょうかね。
「んじゃ、3日後の朝食後に出発って事で。明日は父さんの屋敷と街にも顔を出さなきゃならないでしょ? 騎士さん達だって戻る準備が必要だろうし、明後日は準備の日って事で」
勝手に決めたけど、文句は言わせない。
「ああ、それでいい。だが…あの屋敷も含めて、今はお前がこの領地の領主代行はお前なんだからな? 街にはお前も顔出せよ。最近、あっちの街に顔出してるか?」
うっ! それを言われると、辛い物がある。
忘れてたわけじゃ無いけど、あっちは何だか父さんと領地って感じがして、どうにも遠慮してしまうというか…。
本当はそれじゃ駄目なんだろうけど、ついつい疎遠になってしまってるのは、本当だ。
「屋敷を管理してくれてるメイド達や領民達からも、たまには顔を出してくれって言われてるからな…俺もトールも。仕事だけお前の屋敷で熟したって駄目だぞ。ちゃんと顔も出しておけ。と、いう事で明日は一緒に街な」
父さんを論破出来る様な材料があるはずも無く、正論の前に撃沈しました。
仕方ないので、領都リーカへの訪問はお付き合いしましょう。
あんまり放置しすぎて、おかしな輩が跋扈したりしても駄目だし、これからは定期的に顔出しが必要かなあ。
そう言えば、父さんの屋敷って、独身の巨乳メイドさんが何人かいたよな。
今後の訪問は、俺だけで行くのもアリだな。
もしかしてラッキースケベがあったりするかもしれない。
待てよ、もしかしたらメイドさん達は、「トール様…抱いて♡」とか思ってたりするかも…何ちゃって何ちゃって!
「トール様。何か不埒な事を考えてませんか?」
「ばっ! な、何を言い出すんだ、メリル。俺は今後の施政に関して考えていただけだ」
まさか、顔に出てたのか?
「トール様の心が興奮していましたよ? きっと下品な事だと思います、メリルさん」
「ミルシェも何を言うんだ! 下品とか、失礼すぎるだろう!」
やはり、ミルシェは超能力者か?
「えっと…きっと、御義父さまの屋敷にいる…メイドさん達のお姿を考えてたんじゃ…ないでしょうか?」
ミレーラ、正解! じゃなくて、何でそこまで分かるんだよ!
「流石はミレーラさん。正確な分析です。ですが、それだけでは無いですね。明らかに顔が変態でしたから、スケベな事ですね」
「ミレーラもマチルダも、何言っちゃってんの? メイドさん? 何それ、そんな事考えて無いよ!」
危険だ…我が家の超感覚派と頭脳派の嫁達は、超危険だ。
安心できるのは、お馬鹿で脳筋のイネスぐらいなもんかな。
「はっはっは! トール様は、昨晩あれだけ絞り出したというのに、まだまだ元気だな! これは今晩も期待できそうだ!」
「イネスーーー! 何をばらしてんだよ! 今晩って何だよ! 何を期待してんだよ!」
お馬鹿はお馬鹿だったよ! 安心なんて出来なかったよ! ってか、まだ搾り取るつもりかよ!
「あらあら、トールちゃんってば、お盛んね。これならすぐに初孫の顔も見れるかもしれないわね」
「母さんまで何言い出すんだよ! もう俺の事はそっとしておいてくれ!」
そういうのは神様の贈り物なの! 期待されても、コウノトリさんが来てくれなきゃダメなの!
「お兄ちゃん…不潔…」「おにいちゃん、ばっちいばっちいなの?」
がびーーーーーーーん! コルネちゃん…ユリアちゃん…そ、そんな!
コルネちゃんをイメージして創造したユリアちゃんだけあって、完璧に瓜二つ。
声までそっくりなこの2人の可愛い妹に、そんな事言われたら…俺…俺…
「コルネリア、子作りは貴族に取って責務なのだ。そうトールを責めてやるな。ユリアーネ、トールは別にばっちくは無いぞ。それでトールよ。孫の顔は何時見れる?」
もうマジでほっといてくれーーー!
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