第445話 一晩たって、どうなった?
昨日同様に、俺とサラとリリアさんで、またまたダンジョンにやって来た。
まだ緊急連絡も入ってない事だし、慌てる必要も無いのだが、どうも俺自身の気が急いている様だ。
昨日見た、あの子供達の事が心配でたまらなかったのだ。
実は俺は子供が好きだ。変な意味じゃ無いぞ? 純粋無垢な子供達が好きなんだ。
どんな種族の子供達だろうと、笑っていて欲しい。
前世の空手道場でも、子供達が一生懸命に型練習とかしてるのを指導したりしてる時間が一番楽しかった。
どんな神の悪戯かしらないが…いや、システムバグというか管理局の人為的ミスなんだろうけど、そのせいで親と離れ離れになった子供達が可哀想だ。きっと今頃は、寂しくて泣いている事だろう。
大人は知った事ではないが、自分独りでで生きて行く事が出来ない子供達を放っておく事など出来るはずが無い!
特に、あの幼稚園児のあいちゃん(4歳)は個人的に保護せねば…何てことは考えて無いよ? ホントダッテバ!
第9番ダンジョンへと到着した俺達は、モフリーナと共に、早速もふりんの待つダンジョン管理室へと跳んだ。
管理室内に無数に並ぶ大陸内の転移者を監視するモニターは、現在は綺麗に整理されており、保護対象者を移しているモニターと、危険な転移者を移すモニター、恐怖の大王専用のモニターと分けられていた。
保護対象者の内、主に子供に関しては、すでに誘導が完了していた。
なんと昨日の内に、もふりんはこの管理ルームのある塔型ダンジョンの地下1~2階に、子供達専用の特別な保護スペースを造るべく、ダンジョンを魔改造していたのだ。
ついでにお世話用のスライムも、まるで保母さんの如く人型となっており、驚くべきことに種族毎に多種多様なスライム保母さんが完成し、すでに配置されて子供の相手をしていたのだ。
もふりん、実はかなり出来る子であった事が判明した瞬間だった。いや、良く考えたらモフリーナと繋がってるんだから、優秀なのはモフリーナの方か? まあ、今はそんな事はどうでもいいや。
とにかく昨夜の様子をもふりんに聞くと、子供達は最初のうちは泣いて大変だった様である。さもありなん。
いきなり親から引き離されて、こんな訳の分からない世界にたった独りにされたんだから、そりゃ泣くだろう。
しかし、子供達の記憶を探り、実の母親に近い姿でお世話スライムを進化させて生れたスライム保母さんのおかげで、何とか落ち着いたそうである。
ご飯を食べさせて、お風呂に入れた所で、バタンキューだったそうで、ちょっと一安心。
ご老人たちは、結構たくましくて、自分で魔物を倒(された様に見せかただけ)して食料を確保して生き延びているとか。
うん、見知らぬご老人だが、生きていけるなら、当分はほっとくか。
中には転移直後から動く事すら出来ない、持病や怪我、足腰の弱っているお年寄りも居たそうだが、その人達に関しては保護して治療しているらしい。
言ってみれば、ダンジョン塔の地下1階は生活が困難な高齢者の住まう特別養護老人ホームで、地下2階は保育園と幼稚園を兼ねた孤児院って感じだな。
保護対象者が全体の7割と言ったが、そこそこ健康で動ける高齢者や、年齢的に中学生以上の子供に関しては、当分個々に頑張って貰う予定だ。
中卒のユズ&ユズだって、いきなり異世界に放り出されても、何とか独力で生き抜いて来たんだからな。
結局のところ、もふりんが保護したのは子供が2千人、老人が2千人ほどだったらしい。
ダンジョン領域内で生きてくれてるだけでも、ダンジョン的には収支がプラスなのだから、このまま保護は続行していく予定だ。
さて、問題の危険な奴らなんだが…まだ環境に戸惑っているのか、それとも警戒しているからなのか、ほとんどがセーフティーゾーンにすら来てないらしい。
イノセント型モンスターの監視で、逐一動向は追っているのだが、大半に目だった動きが無い。
例外的に、ごく一部の奴らは魔物を食べようとしたりしてたみたいなんだが、魔物は倒せばドロップ品を残して消えてしまう事に納得いかないのかどうかは分からないのだが、積極的に魔物を追いかけてる様だ。
ま、危険な行動をしない限りは、こっちも当面は放置でいいかな。
さてさて、問題の恐怖の大王はっと…あれは、一体何してんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます