第376話 熱狂!
まあ、この超絶テクノロジーで創られたホワイト・オルター号の着陸ごときで事故など起こる訳も無く、どっかのアホ管理局員の戯言の様な墜落など、どこ吹く風とばかりに父さんの屋敷の前に軟着陸をした俺達を出迎えたのは、大勢の領民だった。
本日、この時間に帰宅する事はすでに伝えてあったので、父さんの屋敷の優秀な巨乳メイドさん達が、各街や村に伝えてくれてたそうだ。
なるほどと、納得できる出迎えだ。
父さんの領地は発展著しく、街もどんどん拡大し、村と名乗るのも憚れる様な規模の村々も多い。
その街や村から、領主の息子の結婚の祝いにと集まってくれた人達が、この目の前の人々だ。
ざっとその数、数千人以上…かな? もう父さんの屋敷が、民衆で囲まれちゃってるよ。
タラップに俺達が姿を見せると、その熱は最高潮に高まった。
そして、これだけ領民が集まったのであれば、当然だが父さんの一言が必要になる。
黙ってたら、そのうち暴動にでも発展しそうだからな。
ってなわけで、ホワイト・オルター号に搭載してある拡声器で、父さんから一言頂きましょう! 父さん、どうぞ~!
『え~ゴホン! 我がアルテアンの民よ、今日は我が息子と嫁達のために良くぞ集まってくれた。礼を言う』
わーーー!! っという大歓声と、盛大な拍手が巻き起こる。あまりの音量で、耳が痛いぐらいだ。
『この度、我が息子である、トールヴァルド・デ・アルテアン伯爵は、5人の妻を持つ事となった』
わーーー! いちいち盛り上がるのね、皆さん…。
『そして私も侯爵位を賜り、この領地はトールヴァルド伯爵を代官と定める事とした』
おーー………お? お、皆ちょっと混乱してるかな?
『私の領地ではあるが、この地を治めるのは実質トールヴァルド伯爵となる』
おーーーー! あ、皆理解したみたい。
『我が領地の発展は、他領と比較しすべくもない。それはこのトールヴァルド伯爵の発明した数々の品々によるものだと言う事は、ここに集まった皆にとっては言うまでも無い事だろう』
おぉ~~~~!! ちょっと恥ずかしいぞ、父さん。
『この領地を育てたトールヴァルドが治めるこの土地は、この先益々発展していくだろう!』
おおーーーーーー!!!! プレッシャー掛けるなよなあ…
『皆よ、その恩恵は須らく、領民の生活をより良くしてくれるだろう! しかし、その功績は全てアルテアン家だけのものでは無い! 隣人と手を取り合い、日々汗を流し勤勉に働く、皆の努力によるものだ! 誇るが良い! 自分自身を!』
おおおおおおおおお!!! ちょっと良い事言ってないか、父さん…やるなあ!
『アルテアンは、皆が輝ける場所を提供しよう! 皆が生き生きと生活出来る場所を提供しよう! 皆が共に未来を見る事が出来る場所を提供しよう! 親、友人、恋人、妻に夫に子供達。全てに誇れる仕事を提供しよう! 我と共に、未来を切り拓くのだ! 明るい未来のため、トールヴァルド伯爵を、皆で支えて欲しい!』
わぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁあああぁぁぁぁぁ!! 父さん、絶好調だな。
『では、トールヴァルド伯爵より、一言頂こう』
ここで俺にフルのか! 目の前に居並ぶ熱狂した群衆の前で!? もうどっかのフェスの聴衆みたいになってんぞ!?
「ホレ、トール。さっさと挨拶しろ」
そう言って、父さんが俺に場を譲る。
ホワイト・オルター号のスピーカーに繋がるマイク(っぽいもの)を俺に手渡すと、良い笑顔でサムズアップする。
仕方ねえなあ…簡単にしめるか。
『皆さん、トールヴァルド・デ・アルテアンです。この度、伯爵位を賜りました。先の侯爵の話にもありましたが、今後は私がこの領地の代官となります』
おおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 声が…声で地鳴りがしてるぞ!?
『え~先日、私はここに居ります5人と王城にて結婚式を挙げさせていただきました』
ほぉ~~~~~!! パチパチパチパチ!! いまいち反応悪いな…もしかして、リア充爆ぜろ! とか思ってんのかな?
『我が妻達には、それぞれこの地の政策に携わって貰い、私を支えてもらう所存です。そして、先ほど侯爵も申しておりましたが、この地をより一層発展させていきたいと思います。悔しくて眠れない日もあったでしょう。怖くて震えた夜もあった事でしょう。人知れず流した涙もあった事でしょう。ですが、皆さんはそんな辛く苦しい、いくつもの日々を超えてきました。そしてたどり着いた今があるのです。だから迷わずに進めばいいのです!』
わわあぁあぁあぁああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!
乗ってきたぞーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
『さあ! 共に栄光の架け橋を渡ろうではありませんか! 輝ける未来をその手に!』
おおおぉぉぉおおぉおおぉぉぉぉおおぉぉぉぉおおおおおおおおおぉぉ!!!!!
くぅぅ~! 気持ち良い~!
『大河さん大河さん…それって某歌謡曲のパクリですよね?』
サラ、何を言う! これはオリジナルなのだ!
『我が家にも似た名前の使用人夫婦がいますけど、滅茶苦茶こっち見てますよ?』
お、オマージュなのだ!
『ご安心ください。私が通報しておきました』
リリアさん、止めてくれー!
『『盗作疑惑では無く、明らかな盗作ですから、無理です!』』
ごめんなさーーーーーい!
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