第365話  いよいよ明日! 

 いらん事はするもんじゃない。

 帰ってから、母さんを揶揄いつつ昔話を…と目論んで、チュッ! の辺りを話してみた所、見事に母さんの逆襲にあいました。

 具体的には、俺の子供の頃からの恥ずかしい話を、婚約者~ずとその親族の集まりの場で、色々と暴露されました。

 え、内容? この場では、絶対に言えません! 

 晩御飯後のリラックスしたお茶タイムで、俺の恥ずかしい暴露話で大いに盛り上がられてしまった。

 昇爵まであと1日、結婚まであと2日だというのに、この緊張感の無さって…。

 おっさん連中は、父さんのラブコメを肴に、酒盛りしてました。

 父さんと俺は、翌日のためにさっさと自室に引っ込んだけど。


 翌日は、ひたすら納税のための手続きで忙殺された。

 気が付くと、カラスが鳴くお時間となっていまして、父さんと2人でしみじみ領が大きくなったなあと実感する事に成った。

 一昔前だと、半日ほどで終わってたんだけどなあ…この仕事も。


 またまた、おっさん連中は夜が更けるまで酒盛りに興じてたらしい。

 翌朝…つまり本日は昇爵の日なのだが、食堂は酒の匂いで酷かった。

 呆れつつも、他の少し小さめの食堂を使って、朝食を頂く。

 もちろんだが、おっさん連中はまだ寝たまんまだ。

 父さんも酒盛りに参加してたようだが、母さんが冷たい目で睨んだ瞬間に、すごすごと部屋に戻ったそうだ。

 さすがは母さん、我が家のラスボス!

 まさか陛下の前に酒臭い父さんを連れて行くわけにも行かないからな。 

 父さんと2人して身支度を整え、皆に見送られながら王城へ馬車で向かう。


 昇爵のための謁見って、普通は謁見の間で貴族とかがいっぱい居る前で行われるって思うでしょう?

 もちろんそれをする事も有るんだけど、そこそこ数が纏まっちゃうと、さすがに大変だし時間もかかる。

 なので初めて爵位を貰う…つまり、新貴族の叙爵だけを陛下が執り行って、その他は書類だけで済ます…つまり、以下同文的に終わらせちゃうみたい。

 初めての人は、陛下に剣で肩をぽんぽんしてもらうのは、もの凄く嬉しいし記念になるだろうからって事で、省略せずにやるんだけど…何度もやってる奴は、もう感動も糞もねえだろって事と、陛下も官僚も面倒くさいってのがあるらしい。

 俺だって面倒だから、楽ちん簡単な方が良い。

 厳かな式をぼう~っと眺めて、新貴族の肩ぽんぽんが終わったら、残りの代表で父さんが肩ぽんぽん。

 今回、昇爵する貴族の中で一番爵位が上になるからね。

 実は、王女と結婚する俺は、メリルが公爵家を興せば公爵となる事も出来るらしいが、それはメリルが頑なに断ってた。

 爵位なんてどうでもいい、皆で俺のところに一緒に嫁入りするんだ! って気持ちだからだとか。

 メリルがゴッド母ちゃん2号になる未来しか見えないのは、決して俺の気のせいでは無いはずだ……。


 兎にも角にもこれで結婚式前の連続イベントは終了。

 明日はいよいよ王城での結婚式。

 今夜は、さっさと寝ないとな。

 寝不足な顔で式に出るわけにいかないし、式の最中に居眠りでもしようものなら、後々何を言われるか…ぶるぶる…。


 あれ? そう言えば、ここ2日ほどとても平和なんだが…あいつらは何してんだ? 

 お~い、サラ~! リリアさ~ん! 生きてる~?

『…生きて…ます…』『死に…ました…』

 おう、元気そうだな、2人共。

『ど、どこがですか! いたたたたた…いつまでコレ続くんです…?』 

 うん、知らん。頑張れ、サラ。

『あ、貴方にも…チ〇ルシー…あげたい…』

 リリアさん…それは違うと思う。ってか、また懐かしいCM出して来たな…

 まあ、そんだけ重要な内容なんだろ? 我慢してくれ。

 全部終わったら、1週間程の休暇と小遣いあげるから、温泉街でのんびりしていいから。

『しょ…しょたもほしぃ…』『ま…まぞびしょう…じょも…つけて…ください…』

 苦しんでても、欲望に忠実だな、お前ら…それは休暇中に勝手に探してくれ。


 温泉街、いや俺の領地に、緊急警報出す様にお留守番中のドワーフ娘達に連絡入れておこう…性獣出没注意って。

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