第313話  いらん事を言うな!

 恐ろしい…この世界の遺伝子は、マジで恐ろしい。

 異種族間の交配の真実を知ってしまったら、途端にこの世界の真の顔が分かった気がした。

 とは言っても、現状では人魚さん達だけが、何らかの理由で男性が産まれなくなってしまったため、異種族の男性を求めているだけらしいので、ちょっと安心。

 異種族間での恋愛が流行ると、この星は女性ばっかりになっちゃって、滅亡の危機だからな。

 異種族間で愛を育んだ結果、滅亡する…悲しい要因だな。

 そうならない様に陰ながら同種族間での恋愛を推奨しよう!


 だがひとつ理解できた事がある。

 この世界では女性の遺伝子が強烈だという事と、それ故に女性が強いという事。

 父さんが母さんに頭が上がらないのは、遥か古の時から遺伝子に刻み込まれた、男性が女性に持つ畏怖とか恐怖とか本能的な何かのせいかもな。

 だってなあ…異種族の男を襲う女が存在する可能性があるんだもんなぁ…怖いよなあ…特殊な性癖を持ってる男なら、それはそれで嬉しいのかもしれないが、俺はヤダなあ。


 まあ、俺はどっちが主導権あるとか関係なく、やっぱイチャラブがいいなあ。

『大河さん…いい歳こいたおっさんが、イチャラブとか…キモいです』

 キモいとか言うな! それにこの世界では、俺はまだ15歳だ!

『いえ、マスター。私もちょっとヒキました…』

 マジかぁ…でも、種の存続とか繁栄の為だけに、ごにょごにょするのはなあ…

『大河さん、それはあくまでも男女比が極端な種族である人魚さんだからですよ? 普通は同種族間で繁殖してますからね?』

 繁殖って…本当に生々しいな、おい。でも、そうだよな。そう聞いて、ちょっと安心した。

『あ、ちなみに私と大河さんでは、子供は出来ませんので、安心して励んでください』

 励まねーよ! あれ? お前って妊娠できないのか?

『ええ。このアバターは、あくまでもこの世界で大河さんをサポートするために造物されたものですから』

 そう言やお前の身体はアバターだったな。まあ、サラの事なんてどうでもいいや。

『ひっど!』

『マスター、それでは、私とではどうなのでしょう?』

 な、ナディア君…ち、ちみは何を言っているのだね?

『確か、私は子供を生す事が可能な肉体であると認識しておりましたが』

『ええ、ナディアは子供産めますね』

 おま、サラ! いらん事を言うな!

『『『マスター、私たちもですか?』』』

 アーデ、アーム、アーフェン…お前たちまで…

『ええ、産めますよ』

 サラーーーー! いらん事を言うなー!

『とすると、マスターと私の間に出来た子供は…私と同じ妖精族ですね』

『『『私たちの場合は天鬼族ですね』』』

 ぐっ! ま、まあ…そうなるの…かな…

『『『『種の存続と繁栄の為に、マスターの種を搾取しなければ!』』』』

 お、俺は嫌だからな! 本当に嫌だからな! ってか搾取って何だよ!

『ナディア、アーデ、アーム、アーフェン。いいですか、大河さんの居た世界には、こんな諺が有ります』

 またサラは何を言い出すつもりだ?

『『『『ごくりっ!』』』』

『嫌よ嫌よも良いの内!』

 ぶっ!

『『『『ほっほ~!!』』』』

 お前ら、何を喜んでるんだよ!

『痛いのは最初だけだよ…だんだん良くなる法華の太鼓と言うじゃまいか!』

『『『『おおー!!』』』』

 違う、絶対に違う!

『天井のシミを数えている間に終わるよ…』

『『『『なるほど!!』』』』

 完全にダメな奴だろ! ってか、諺でもなんでもねーよ! ってか、納得すんな!

『というわけで、大河さんはツンデレなのです!』

『『『『了解しました!!』』』』

 誰がツンデレか! ってか了解すんな!

『近々デレるはずですから、じっくりねっとりと攻めましょう!』

『『『『はい!!』』』』

 もう、ヤダ…こいつら…。

 俺って創造主だよね? 何で言う事を聞いてくれないのさ…

『マスターが学習機能を付けてくれましたので、色々と知識を蓄積し学習した結果です。有難うございます』

 絶対にサラのいらん知識だろ! それも、お笑いとエロ方面に偏った知識!

『大河さん。朱に交われば赤くなるものですよ』

 くっそ! その諺の使い方は正しいじゃねーか!

 自分が朱だって自覚あるんだな、クソサラ!

『もちろんです! いつでもどこでも桃色思考のサラちゃんですから!』

 こいつだけは、いつか絶対に泣かしてやる! 


 俺のメンタルがズタボロになるのもお構いなしに、ホワイト・オルター号は、あの恐怖の大王と戦った盆地に向かって、静かに星空の中を飛び続けるのであった。

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