第311話  衝撃的な事実(おかしいよなあ)

 べダム首長との会談も無事に終え、不思議少女ポリンちゃんも教会関係者に引き渡し完了し、俺はやっとこホワイト・オルター号で一息つくことができた。

 はあ、肩こった…

 地方の小貴族で小心者の俺なのに、ここ最近あちこちで偉いさんと話す機会多いよなあ。


『誰が小心者ですか?』

 俺ですが、何か言いたいことでもあるのか、サラよ。

『小心者なわりに、大胆に世界を欺く大嘘をついての自業自得ですよね』

 んぁ? 大嘘って何ぞや?

『ネスとか太陽神とか月神とかでっちあげて、自ら神の眷属とか、大嘘じゃないですか?』

 まあ、それは否定せんが…

『そのせいで国の重鎮とかと会うことになったんですから、まさに自業自得と言わずして何と言う?』 

 ぐ…その通りだ…俺が自ら招いた事だったな…

『そうです、その通りです! 反省してください!』

 ああ、そうだな…って、何故にお前に言われて反省せにゃいかんのだ!

『大河さんが色々と各国を飛び回るせいで、サラちゃんは疲れるのです!』

 知るかよ! 基本的にお前、何にもしないじゃねーか!

『精神的に多大なストレスがかかってます!』

 そうかよ。

『そのせいで、私の成長が止まってます!』

 そりゃ前々からだ! 文句は輪廻転生管理局に言え!


 サラとの会話は、俺の精神に負担がめっちゃかかる…

 俺、死んだ後にあいつと何億年も一緒に仕事しなきゃならんのだよな。

 死ぬまでに何か対策を考えないとな。

 ま、少なくともあと40年は生きてるだろうから、ゆっくりと考えよう。


 そんなこんなのアーテリオス神国滞在だったが、俺の一服終わったと同時に、あの巨大盆地に向けてとんぼ返りだ。離陸させちゃえば、あとはオートパイロットなので楽ちんなんだけどな。


 晩御飯は俺の希望通り、白いご飯と味噌汁。おかずはステーキなので、ちょっと微妙。ドワーフのお母さんの作った、純和食風って表現もおかしいのだが、あのご飯が食べたかった。

 旅先で我儘なんて言えないので、我慢我慢。

 ところで我儘と我慢って漢字は似てるよなあ。どうでもいいけど。


 明日の昼すぎに到着できるように、ちょっとオートパイロットの速度をアップ。

 さっさと我が家に帰らないと、またドワーフさんが倒れる事態になっちゃうもんな~、なんて考えてると、ナディアから、

『マスター、また人魚様達に依頼すればよろしいのでは?』

 いや~…借りが増えちゃいそうで、一括精算を求められると怖いんだよなあ…

『精算…ですか?』

 そうそう、精算。男をいっぱい紹介しろー! って言われても、実はあんまそっち方面にはコネが無いしさ。

『なるほど。ですが、前々から疑問だったのですが、人魚様達は全くの異種族と交配して、種が保てるのでしょうか? 混血だらけになる気がするのですが…』

 あ、それは俺も思ってた。

 お~い、サラえも~ん! そこんとこどうなの?

『誰が身長体重バストウエストヒップがオール129.3cmの青いネコ型ロボットですか!』

 ああ、すまん…そこまでじゃないよな…スリーサイズが同じ数値なだけだったな。

『ちーがーいーまーすー! ちゃんと艶めかしいラインをしていーまーすー!』

 滑らかなライン…ぷっ!

『うっきーーー!』 

『マスターもサラもその辺で。話が進みませんから』

 いや、確かにそうだ。すまんサラ。多少は凸凹があるのは認めよう。

『…どことなく悪意を感じる言葉ですが、まあ良いでしょう。それで何でしたっけ?』

『人魚様方が異種族と交配して、種を保つことが出来るのかという疑問です』

 ナディアは素直だよな。俺もそれは考えたんだが、どうも異世界物で定番の『くっ…殺せ!』が頭に有るから、異種族交配はこの世界に普通に有るもんだと思ってた。

 だが、生物学的に考えてもちょっとおかしいよなあ…


『ああ、それは簡単です。この世界は、人と分類される種族であれば、どの種族とも交配可能ですから』

 サラが軽い調子で語り始めた内容は、衝撃的な事実だった。

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