第310話  神国での会談

 さて、ポリンちゃんなのだが、ホワイト・オルター号を着地させ、タラップを降ろした時、アーデ、アーム、アーフェンが連行してきた。

 その様子は、まるで某R〇-93のファ〇ネルの四角錐型の対ビーム・バリアーの様に、三人で正三角形の結界を三角錐型に組み合わせ、ポリンちゃんを中に取り込んでいた。

 う~む…動く三角錐の結界を見ると、超常現象や古代文明やUMAなんかを長年追い続けている、怪しい雑誌ム〇を思い出してしまった。

 まさか、ピラミッドパワーで覚醒したりせんよな、ポリンちゃん。三角錐だから大丈夫かな?

 本人は中から結界をバンバン叩いて出してくれと叫んでた様だが、俺は見ざる・聞かざる・言わざるを通させてもらった。

 あ、あれも古代のエジプトだとかアンコールワットが起源だとか、色々言われてたよなあ。

 いや、話と全く関係ないんだが、ちょっと頭に浮かんだのだ…ム〇の読者だったから、こんなミステリーも懐かしく感じる。

 兎にも角にも、太陽神教会関係者と聖騎士さん達が三角錐の周囲を取り囲んだのを確認し、アーデ達に結界を解除させた。

 予想通りというか何というか、途端に俺の方に向かって走り出そうとするポリン嬢だが、背後からナディアが俺の前に透明な結界の壁を作ったため、見事に無防備に衝突し、気を失った。おでこのタンコブ痛そうだな…。

 教会の人達の用意した馬車に放り込まれ、そのままドナドナされていった。

 悲しい目をしていたかは知らん! おでこは赤くなっていたが、目まで見てない。何せ絶賛気絶中だったからな。

 こうして我が家にやってきた闇の刺客は、成敗されたのであった。


 お堅い会談内容の詳細は、割愛させて頂きます。

 だって定型句での挨拶に始まり、似た様な話をクドクド堅苦しい言葉遣いで話してるだけだからね。

 護衛で付いて来てた父さんなんて、場もわきまえずこっくりこっくり船漕いでたし。いや、油断しすぎじゃね? ナディアが結界張ってくれてるから、何が起きても大丈夫だけどさ。


 んじゃ、決定事項だけ。

 あの地からの移住者のために、神国の一地区を解放し割り当ててくれ、新たな村とする事となった。

 村として自立できるまで、当面の衣食住は神国が援助を行い、移住後10年間は納税義務の免除も約束された。

 この地区に関しては、神国の庇護下ではあるが自治区的な扱いとし、月神に関する布教も認められた。

 あの不思議ちゃんは、太陽神の教会でみっちりと教育を施される事となった。

 全寮制の女性神官の寮へ住み、日々勉強してもらうつもりだ。

 彼女は月神の巫女候補ではあるが、太陽神と月神に関しての教義は、基本的に共通するところが多い(俺が勝手にそう決めた!)ため、問題なく調きょ…もとい躾け…いや、教育してもらえるだろう。

 ポリン嬢の教育期間中に、月神教会の建設も行ってくれる事となった。

 将来的には、太陽神と月神の二大宗教を、神国の柱にする所までべダム首長と話は弾んだが、まだ気が早いだろうって事で保留している。あの娘が本当にちゃんと聖職者になれるのか、めっちゃ不安だからな。

 こんな感じで、事前に通信の呪法具でべダムさんと話した通り、特に問題も起きず、スムーズに会談は終了した。


 はぁ~疲れたぁ~。


 どこに行ってもそうだが、ここ神国でも晩餐会のお誘いはあったのだが…精神的に色々と疲れてたので、丁寧にお断りさせてもらった。

 ドワーフさん達のその後も気になったしな。

 さ、ホワイト・オルター号で皆が待ってるから、帰ろうかな。

 ああ、ユズキの味噌汁が飲みたい。

『大河さん…なかなか女性に手を出さないと思ったら…やはりそっち方面の趣味でしたか…』

 え? 

『ユズキとのカップリング…ユズキの鬼畜攻めと大河さんの俺様受は鉄板でしょうか? いやいや、それよりも喰われノンケ設定の大河さんにユズキの尽くし攻というのも味があるのでは? まてよ、それよりも…………』

 は? 待て待て待て! 俺にそんな趣味はねーからな!?

『ユズキ…お前の作った味噌汁が飲みたい…2人で過ごした熱い夜の明くる朝に…では無いのですか?』

 何でだよ! 料理スキルが異様に高いユズキの日本食が【喰いたい】だけだよ!

『そうですか、【喰いたい】と。それは隠語ですね?』

 違うわ! 単なる作者の誤変換だ! いや、作者って何だよ! 混乱してきた!

『誤魔化そうとしても無駄です。ほ~らあなたはだんだん良くなってくる~良くなってくる~……』

 頭の中に響く念話で催眠術やめれ! 絶対に俺は♂×♂は拒否するからな!

『あとで婚約者~ずに伝えておかねば…まずはメリルに…』

 マジでヤメロよ! フリじゃないぞ! 絶対にいらんこと言うなよ!

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