第249話  探査チーム発進!

 最終確認…俺には、どうしても気になっている事がある。

 サラ、どうせ見てるんだろ? 今更だが、ちょっと確認したい。

『どうかしましたか、大河さん?』

 恐怖の大王に関してだ…あいつは、魂のエネルギーを吸収しているはずだよな?

『ええ。転生局に送られていた魂のエネルギーの余波をっと言うのが正しいと思いますが』

 妖精達や俺達の装備なんかは、全部ガチャ玉で創ったものだ。

『そうですね』

 ガチャ玉での創造の対価は、俺の魂のエネルギーのはずだが、恐怖の大王に吸収されたりしないのか?

『それは大丈夫です。魂のエネルギーを対価にして創造したのであって、魂のエネルギーその物が装備とか妖精になった訳ではありませんから』

 では、精霊さんは? 元々は魔素だったものが、魂のエネルギーで変質し進化したんだよな?

『そうです。変質ですから魂のエネルギーが切っ掛けですが、別に魂のエネルギーをもしもカズムに吸収されたとしても、魔素に戻ったりはしませんよ』

 シールドは? 魂のエネルギー注入したりしてるけど…

『全然平気です。大河さんが心配しているのも良くわかりますが、カズムは形になってしまっている魂のエネルギーを吸収する手段は持っていません。自然界に漂うエネルギーや、転生局に送られるエネルギーの余波なら吸収できるのですが、そもそも魂のエネルギーその物を効率よく吸収出来る存在では無いのです』

 そなの?

『例を挙げるとすると、惑星SR3〇8で発見された浮遊生命体メト〇イドも、結局は生命体から直接エネルギーを効率よく瞬時に吸収する事は出来ませんでした』

 うん? どっか記憶の片隅で聞いた事があるような無いような…

『エネルギー吸収能力と高い耐久性を誇るメ〇ロイドでしたが、吸収量にも上限がありましたし、弱点もありました』

 んんん? 何だっけ…絶対に記憶にあったぞ…

『カズムはそれが大規模になったと考えればよろしいかと。分裂したり、過剰量のエネルギー攻撃が弱点であるのも似てますね』

 あ! 思いだした! それ、ニン〇ンドーのゲームじゃねーか! いくら何でもゲームと一緒にすな!

『似た様なもんです。転生局が大河さんに許可して創造させた物を、カズムが簡単に吸収できません。その為に多くの認証プロセスを経て、転生局が創造の許可を出してるんですから』

 あ、そなのね。そんじゃあんまり心配しなくてもいいのか…精霊さん以外は…

『ええ、精霊だけはどうなるか、私も想像がつきません』

 うむ、分った。

 ってわけで、精霊さんは十分に気を付ける様に。妖精さんは精霊さんの様子を常にチェックして、異常が見受けられれば即座に戻ってくるようにね。

 みんな、おっけー?

 それでは、妖精さん&精霊さんの合同探査チーム発進! あ、そこの窓からどうぞ。


『でも大河さん、あの決戦兵器はメ〇ロイドの中の兵器がアイデアの元だと、私は思ってましたけど?』

 あ~そうだなぁ…確かに記憶の片隅にあったと思う。名前までははっきり思いだせなかったけどな。

 それだけじゃ無くて、ポケ〇ンとか超人ロ〇クとか昔サラに聞いた例の通販商品とがミックスされてるんだが…

『ニ〇テンドーに偏ってますね。ファミ○ン大好きだったでしょう、大河さん!』

 うん、否定する要素が見つからない。子供の頃、並んで買ったもんだよ…

 当時は本体が品薄でなあ…クソゲーと抱き合わせで売ってやがったんだよ! 今では違法行為だけどさ。


 いや、それはどうでもいい。カズムと直接戦っても大丈夫なんだったら、もう憂いはない。

 後は探査チームの報告待ちだ!

 っとか言ってる内に、全チーム戻ってきたな。

「早かったなぁ…んでは、早速報告をお願い」

 ふむふむ…(仮称)ミニ恐怖の大王は、腐った人とか獣の死体だったと。んで、そこに恐怖の大王の分体が寄生しているっぽいのか。

 なるほど、妖精さん、ありがとう。

何々…周辺の空気も土地も恐怖の大王が居座っているオアシスの水も澱んでいるか。ふ~む…腐ってんのかな?

 うちのお腐れ女子と、どっちが腐ってるか勝負させてみよう! とか言ったら、後が怖いので言いません。

 そこに生身の人が言っても大丈夫だろうか?

 短時間なら大丈夫って? どれぐらい居たらやばい? 1時間ぐらいかあ…

 そうなると変身セットの無い父さんには厳しいか。

 よし、最終的な攻め方も大凡決まってきたな。

 ところで、周辺ってか付近に生きてる人とか動物はいた?

 ここには居ないとな? ほっほー! それは好都合。


 そっかあ、べダムさんの予想通り、滅亡しちゃってたのかあ。

 でもさ、農地としてはそこそこ優秀だったんだよね、この土地って。

 見る限り不毛の土地にしか見えないんだが。 

 一体、何を栽培してたんだろう…見る限り、ほぼ砂漠化してるのに?

 もしや、この世界にだけ存在する、不思議植物でもあったんだろうか?

『大河さん、大河さん。この土地の数十m地下に巨大な空間が有りました! 生命反応もかなりの数を確認しました』

 なっ!? 本物の地下都市があるのか!

『どうやら、その様です。戦禍と厳しい気候から逃れる為、人々が地下に潜ったのか、それとも元から地下に住んでいたのかは不明ですが…』

 う~~~ん、そっかあ。地下なら萌やしか茸でも栽培してんのかな?

『萌やしも茸もとても優秀な食材ですが、日持ちしませんね』

 もしや周辺の国は、萌やしや茸が欲しかったとか?

 いや、それは無いな…。

 まあ、戦場に人が居ないならいいか。

 全てが終わったら、会いに行ってみよう。


 ところで妖精さん、精霊さん何してるの?

 見てきた物をスケッチ? 相変わらず、絵が上手いねえ…

 ねえ、それ何の絵? 恐怖の大王って、それが?

 ふむふむ、恐怖の大王はこいつなのか。

 偵察隊の見てきた(仮称)ミニ恐怖の大王の配下ってのも、俺には正体わかっちゃったよ…こいつが本体ならば…

 って事は、やっぱ地下で栽培してるのって、これなのかな?


 でも、こいつと戦うの嫌だなあ…

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