第171話 業務連絡です
結局、もう一日みんなの監視付きでベッドに看護と言う名の拘束をされたのだが、何とか翌日には体調が完全に元に戻った。
魔族の治癒師さんの持って来てくれた薬も効いたのかもしれない。
うん、薬の材料になる薬草の栽培を公的事業として始めても良いかもしれないな。
健康第一! 領内に変な病気が流行る前に、しっかりと対策を取らねば。
うん、まずは温室でも造るかね。
まあ、それはそれとして…溜まった書類を、マチルダさんと手分けしてスローペースながら終わらせた。
遅い昼食を食べた後、居間に婚約者~ず、マチルダさん、イネスさん、ユズ&ユズ、サラとドワーフメイド4人衆を集めて大事なお話をします。
「え~みなさん、本日はお集まりくださりありがとうございます」
みんな、なぜか冷たい目…
「居間に集まる様に言われたのは、トール様ですけど…」
うん、メリル君、そこはスルーしてくれ。
「実は大事なお話があります。ユズ&ユズ…前に」
執事服のユズキとメイド服のユズカが一歩前に出た。
2人共、一体何の話でごぜ~ますか? って顔。まあ、何も説明してないんだけど。
「皆さんには、なぜ俺がこの2人を王都の父さんの屋敷から引き抜いたかの理由をまだ説明してませんでしたね」
ユズ&ユズとサラ以外の面々は、うんうんと頷く。
「実は、ネス様よりこの2人を引き抜くように神託が内密にくだっていたのです」
「「「おおー!」」」
うん、いいリアクション!
「神託によると、2人はネス様と波長が合うそうです。コルネちゃんの様にね。なので来る恐怖の大王との決戦に備えて、ネス様の御膝元で保護するようにとの事でした」
「なる程…それでトール様は2人に稽古をつけていらしてたんですね」
メリル、ナイスアシスト!
「その通り! そして2人は無事にネス様より神具を賜る事が出来ました。我が家の者以外には神具の事は秘密なので、誰にも見られる事の無い、地下室ででも見せてもらってね」
みんなめっちゃ高速でコクコク頷いてる…なんか動きがシンクロしてておもろい。
「さらにベッドで寝ている間に、ネス様より新たな神託がくだりました。内容は新たな理によって動く魔道具の様な物に関してです。その理に関しては危険な物も含まれているので極秘事項とします。ただし、みんなの生活に役立つ物や恐怖の大王との決戦に役立つ物、人道的に問題ない物などは世に広めたいと思います」
う~む…だんだん話に付いてこられ無くなってきたかな? ドワーフメイド衆はあくびし始めたし。
「その新たな理で動く道具の開発に、ユズ&ユズにも協力をして貰います。その為の知識は、すでにネス様から2人は授かっています」
ユズ&ユズが、『????』って顔してるけど、話を合わせとけ!
「と言う訳で、業務連絡です。今後は俺の事務仕事もユズキとユズカの通常の仕事も午前中までとし、午後からは道具開発に協力してもらいますので、みんなそのつもりでお願いします」
「「「「はい!」」」」
我が家のメンバーは、ネス様からの~って言っておけば、大抵の事は納得してくれるから楽でいいや。
「さてそれではこの後、ユズキとユズカは僕の執務室に来てください。では以上、解散!」
うん、動き始めたのはドワーフメイド衆とマチルダさん、イネスさんぐらいだね。サラは働けよ! 何をのんびりお茶してんだ!
あ…ドワーフメイドの一人がサラの首根っこ掴んで引きずっていった…ロリっ子なのに結構な力持ちなのね…
「んじゃ2人共、行こうか」
俺の執務室で、ユズキとユズカを応接セットに並んで座らせて、対面に俺が座る。
まあ、元日本人なら多分すぐに俺の考えた言霊を使った道具開発は出来るだろう。
「実はネス様から、新たな魔道具に変わる呪法具の造り方を教わったんだよ。どう説明したらいいんだろか…ぶっちゃけて言うと、呪法具を動かすためのプログラムに使用する言語が、日本で使ってる漢字なんだよ」
「「漢字?」」
まあ、驚くわな。
「そ、漢字。漢字は表意文字って言って、それ自体が意味を持ってるのは分かるよな? 2人はアニメなんかでよく見る魔法陣ってイメージ出来るだろ? あれには魔法言語ってのが使われてるって設定だったりするじゃん。その言語を漢字に置き換えたって事。文字数を圧縮できるから、漢字はかなり優秀な言語なんだよ。ってことで、この世界で漢字を知ってる2人に、色んな道具を作る協力をして貰いたいって事」
「なるほど…つまり子爵様は、生活の役に立つ漢字を模様として利用するが、危険な漢字は使わない方向なんですね」
おぉ! さすがはユズキ! 話が早い! ユズカ…理解できないなら、あとでユズキに説明してもらえ。
「うむ! まずは漢字の組み合わせ方の法則を教えていくんで、それを覚えてくれ」
ユズカ、げっ! とか言うな! 異世界でも勉強は必要なんだ。日々是勉強だ!
こうして俺達異世界組は、呪法具製作準備を着々と進めるのであった。
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