第142話 これは流石に…
『しかし、ちゃんと婚約者達との時間も作ってるんですね。大河さんを少し見直しました』
何だ何だ、いきなりどうした?
『いや~ミルシェは別として、メリルとミレーラは、大河さんの意思とは無関係に押し付けられた婚約者じゃないですか』
まあ、そうだけど…それが?
『いやいやながら受け入れたんだとばかり思ってましたが、何やかんやでちゃんと婚約者してるんですね』
実は、最初はちょっと嫌だったよ。
ミルシェちゃんとは、将来結婚するんだろうな~ぐらいは考えてたけどさ。
メリルなんて王族だし、ミレーラなんて敵国の姫巫女だったんだぞ? 婚約とか想像すらしてなかったよ。
『まあ、実際いきなりでしたからねえ~。それで、三人とも愛してますか?』
受け入れた時から、愛するつもりではいたよ。
これだけ一緒に居たら 情もわくってもんで、実際のところ、みんな美少女だしさ、嫌いじゃ無かったよ。
まあ、親愛の情って感じだったね。大事な人だけど、何か足りない感じだった。
でも、この前の社会をひっくり返すって話をした時にさ、彼女達からの返事と共に「あなたを誰よりも愛してますから、あなたが世界を敵にまわすというのならば、私達はあなたについて行くのは当然です」
って言われて、ああ、3人は俺を心から支えてくれてるなって、愛してくれてるんだって、ちゃんと実感できたんだ。
今まで愛する覚悟はあったけど、その時から覚悟じゃ無くて、ようやく「俺も愛してる」って言えるようになったって感じかな。
自分の事なのに、上手く説明できなくて、ごめんな。
『聞いてて、なんか体中が痒くなってきたんですけど! あ…口から砂糖吐きそう…』
何だよ! お前が聞いて来たんだろ! 俺だって、クソ恥ずかしいんだよ!
どうせお前に思考を読まれたらバレバレだから、正直に話したってのに!
『そんな蕁麻疹が出そうな思考は読みませんよ?』
お前の能力は信用できるが、そんな言葉は絶対に信用しない!
『おぉ! 私を信用していると?』
いや、お前の能力だけだぞ?
『またまた~! とうとう、大河さんも私の魅力に気づいちゃいましたね! もうメロメロですね!』
いや…ゲロゲロだけど…
『いつでも食べちゃって良いんですよ?』
腹を下しそう…ゲリピー確定だな。
『正露〇飲みますか?』
飲まねーよ!
▲
さてと…緊急時にいきなり見せたら、面倒くせー事になりそうなんで、ホワイト・オルター号の披露&試乗と行きますか。
我が家の全員、湖畔に面した館の裏庭に集合!
おう…もう皆集まったのか?
シュバババババッ!って集まって来たけど、全員ニンジャなの?
婚約者~ずは、何でそんなに素早いの? あ、庭園でお茶してたのね。
あ、イネスさんも一緒だったのね。
「子爵様をお待たせするわけにはいきませんから」
マチルダさん、そんなに待ってないぞ…
「いや、そんな急がなくてもいいんだけど」
「いえいえ、子爵様の貴重な時間を無駄にするわけにはいきません! それで、今日はどんなお料理を?」
「ご飯じゃないわ!」
え? って顔すんな! マチルダさん、だんだんキャラ崩壊してきてないか?
あのクールで出来る女って雰囲気は、どこへいった?
「では子爵さま、一体どのようなご用件でしょうか?」
うむ、ユズキよ、良くぞ聞いてくれた!
「実はネス様から新たな神具を賜ったので、皆に披露したいと思ってな」
「「「「「「「「「「おおー!」」」」」」」」」」
皆、驚いてるな? いや、喜んでるのか? めっちゃワクワクした顔してるな。
「では、登場してもらいましょう! ホワイト・オルター号、発進!」
静かな湖面が騒めき立ち、遥か彼方で水面が盛り上がってゆく。
やがてその盛り上がりは、ゆっくりと大きく球状のまま持ちあがり、半透明の膜に囲まれた真っ白な飛行船が宙に浮かんだ。
透明なシールドを解除すると、陽の光に照らされた美しい船体が、皆の目に映る。
そして、ホワイト・オルター号は、ゆっくりと俺達の方に向かって進み始めた。
「く…クイーン・エ〇ラルダス…」
やっぱユズカがツッコんだか。
ちゃんと訂正しておかねばな。
「皆、これがホワイト・オルター号だ!」
ユズカ、こっちじっと見てる…めっちゃ疑ってるな。
「真実はいつもひとつ!」
ユズカは、コ〇ン君かよ! って、ツッコみたいけど我慢我慢…
「いやあ…子爵さま、これは流石に…」
ユズキもかよ!
2人共、見てみろ! あの無邪気に喜ぶ、皆の姿を!
お前達は、見たまま全てを素直に受け入れて称賛するっていう、ピュアなハートを無くしてしまったのか!?
「「だって、まんまだもん」」
ちくしょー! ハモんなよ!
「あれはホワイト・オルター号だ! 異論も反論も受け付けません!」
うっわー! 2人共、めっちゃジト目!
「「ふ~~~~~~~~~ん」」
うん、ごめん…後でちゃんと話すから…そのジト目止めて…
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