第141話  いまさらですが、気になりました

 そう言えば、この国って季節感があんまり無いな…

 夏っぽくちょっと暑くなったり、冬っぽく微妙に肌寒くなるけど。


『あ~それはですね、この星の地軸に関係しています。完全な球体であるこの星ですが、地軸の傾きはほとんどありません』

 なるへそ…地球は23.4°傾いてるんだったよな?

『ええ。地球は太陽の公転軌道上で傾きつつ自転している天体ですから、公転時期により日照角度と日照時間が南北半球で違いますので、気温の変動が起きるのです』

 ほむほむ。

『しかし、この星では地軸が傾いていないため、ほぼ一年を通して日照角度と日照時間に変動がありません。しいて気温の変動の原因をあげるとすると、海水温度の変化でしょうか?』

 ん? なんで日照角度と時間が変わらないのに、海面温が変わるんだ?

『海面温度ではなく、海水温度です。公転軌道が微妙に楕円なので、この星の核が太陽の潮汐力で微妙に歪みます。その為、マグマが地表近くまで上がって来る事があり、海溝深くでは水温が上昇します』

 え?? 地核って歪むの? まあ、流動体なんだろうから、そういう事もあるか…

『海水温の上昇により、気温も上昇をして、夏になります。ちなみに逆半球であっても、同じ時期に同じ季節になりますよ』


 今まで特に疑問に感じなかったけど、この星って地球ぐらいの大きさなん?

『いえいえ。この星は、ちょうど地球で言う月よりちょっと小さいぐらいです。地球の環境に準拠していますので、地球のミニチュアですね』

 う~ん…大きいんだか小さいんだか、よくわからん。

『この星の直径は3,379Kmです。まあ、この星の法則に色々と手を入れてますので、重力は0.97Gと、ほぼ地球と同ぐらいに調整していますが』

 ふ~ん…ってことは、公転周期も自転周期も地球に合わせて調整してるって事か。

『その通りです! 良くできました。花丸をあげましょう!』

 いや、いらんけどな。


 結局は、これって転生の時に聞いてた通り、完全な実験星って事だな。

 俺達は、きっと神様の手の平の上で踊らされてるんだろうなあ。


 この国と隣の国ぐらいしか知らんけど、他にも大陸とかあるの?

『ありません。この星には、この大陸だけですね。大体、オーストラリア大陸の3倍ぐらいの大きさですね』

 うん、全然イメージ出来ん。まあ、それなりにでかいんだろうとしか…

『その他、小さな島は沢山ありますが、人間の住む土地は、この大陸と周辺の小島程度です』

 ふ~~~ん。

『この大陸は、おおよそ半径2,700Kmのほぼ円状大陸です。なので、面積は約2,290万平方kmですので、オーストラリア大陸の約3倍になります』

 あら、丸いのか?

『ええ、丸いです』

 そりゃまた、地図を作るのが簡単で良いな。

『この星の有史以来、誰も作った事がありませんけれどもね』

 伊能忠敬なんて17年で40,000Kmも歩いて日本地図作ったらしいけど…誰も歩きたくねーよな。

『大河さんが、ホワイト・オルター号とブレンダー達のマッピング機能を使って、地図を作ればいいんじゃないですか?』

 やだよ、面倒くさい。どうせ丸い大陸なんだから、どこにどんな国が有るか分かればいいや。

『所詮は丸ですからねえ』

 だろ? 地図があっても、庶民の暮らしに影響せんし。

 もし、野心のある国の中枢に渡ったら、侵略戦争とか起こしそうじゃん。

 そうなったら、困るのは庶民だからな。

『もう、いっその事、大河さんがこの大陸を支配したらいいんじゃないですか?』

 もっと面倒臭せーよ! 俺はのんびり暮らしたいの!

『のんびり暮らしたい人が、革命の計画たててるとか…』

 それは、俺の心の安寧の為だよ! 心身ともにのんびりしたいの!

 心が落ち着かなきゃ、のんびり出来ないだろ? その為の努力って奴だよ。

『ふ~ん…まあ、好きにして下さい』

 何か、微妙に引っかかるんだが…

『気にしないでください』

 めっちゃ気になる…

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