第77話  王都に凱旋

 馬車に揺られて国境の大河から王都へ向かって早7日。

 やっとこさ王都までたどり着きました。いや~長かった!

 この道中はちょっと精神的に疲れたよ……みんなが使徒様使徒様って常に纏わりつくからさ。

 何もトイレまで付いてこなくても良いと思うの……1人でゆっくりさせてくれよ、マジで。


 あの茶番劇が終わったあと、真アーテリオス神聖国の首都では、ほぼ革命みたいな勢いで宗主や側近など39名の処刑が行われたのは先日聞いたのだけど、暫定首長として聖騎士団長べダムさんが国を纏める事になったんだって。

 最初観た時はただの鎧着たゴリラかと思ったけど、よくよく見ると筋肉質ではあるが、なかなかイケメンな30代半ばの紳士だった。

 聖騎士団長なんてやってるぐらいだから、信仰も篤く清廉潔白な人で国民の評判も良いらしい。

 とりあえずはべダムさんが一旦は国の代表となって落ち着かせてから、改めて選挙でもするみたい。

 うん……、ほぼ専制君主制みたいな国が革命のせいで民主化が進んでしまった感じなんだが……いいのかなコレ。

 革命(?)からここまで決めるのにわずか1日というスピードだったが、よほど太陽神様の怒りを早く鎮めたかったからなのか、その辺の心理よく分からないが、まあ実質あれやこれやとちょっかいかけて来てた迷惑な国が変わったんだから、良い事だったと思っておこう。

 べダムさんが代表になったって聞いた時に、すぐさまうさ耳ロリ巫女の太陽神を真アーテリオス神聖国の首都上空にでかでかと映し出して、今後は同じ過ちを犯さぬ様にときつく説教させたから、まあ今後は友好国としてお付き合いできるだろう。


 俺達の王都帰還に、べダムさんも同行しているのは仕方ない。

 うちの国王様にちゃんと謝罪と今後の事を話しに行かないといけないからね。

 もちろん予定通り真アーテリオス神聖への変な報復をさせない様に、ネス&うさ耳ロリによるご神託を出して、べダムさん達に変な物言いが付かない様にアフターケアもするつもりだ。

 俺ってなんていい奴!褒章は爵位なんざいらないから、金にして頂きたい物ですな……ぐへへ! これでまた街の開発が進むぜ!

 さあ、王都に凱旋だー! 凱旋でいいのかな?

 

 ▲


 王都の城壁をくぐり抜けた俺達の長い馬車の列は、大勢の市民の歓声に出迎えられた。

 何故か市民が手にして振っている旗は、グーダイド王国の国旗とネスの姿の描かれた物があったが……気にしないでおこう。

 俺と父さんは王都に入る前に、王子様の馬車に移る様に言われて同乗している。

「さあ、卿達も市民に手を振ってあげてください」

 王子様が窓から手を振りながら、俺達にこんな事を言ってきたが目立ちたくないなあ。いらんフラグ立てちゃったみたいだな……凱旋パレードになってるよ。

 父さんは喜々として手を振っていたけど、俺は顔を出すだけにしておいた。

 だって、俺を見て手を合わせて跪く人がいっぱいで、居心地悪いんだよ。

 しかもそれがお年寄りばっかりだから、俺の良心がズキズキ痛むんだよ……ストレスだよ!

 自分の領地と金のためにネスの使徒とかやり始めたけど、お年寄りを騙すつもりはなかったんだよぉぉぉ!

 あ、あのおばあちゃん、俺の顔見て涙流してる…………。

 

 心臓を締め付ける様な痛みも王城の門を抜けると、やっとこさ治まってきた。

 ここからは、王族・貴族・官僚その他諸々の陰謀渦巻く伏魔殿。

 気を引き締めて行いくど!

 話しかけないでください! あなたのことが嫌いです! って言えたら簡単なんだけどなあ。ま〇いちゃんって、心臓に剛毛生えてるよな。

『小学生でセクハラされまくりなのに、嫌がってない所を見ると、単にツンデレM属性なのでは?』

 う~む……歳の割には発育が良いらしいからなあ。

『私はセクハラいつでもどーんと来いですよ?』

 発育がなあ……。

『小学生よりはあります!』

 …………。

『触って確認してください!』

 撫〇ちゃんレベル以上じゃないと、食指が動きません。

『トールヴァルドお兄ちゃんはもう大人だから……、サラの裸を見て、いやらしい気持ちになったりは、しないんだよね?』

 うん、全くこれっぽっちもしません。

『そ、そうだね……だったらサラ、がんばってエロくなる!』

 うん、エロだけはすでに人並み以上だよな?

『く……殺せ!』

 ヤダ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る