第49話  湖造りの下準備

 王城へ俺の領主邸の大きさの確認をしたが、返答に1ヶ月以上を要した。

 まあ馬車で片道14日だから仕方ない。

 基本的に大きさに制限はないそうだが、王城や上位貴族より大きいとあまり良い顔はされないらしい。

 王国のなんちゃらさんが、アドバイス込みでお返事をくれました。

 偉いさんでも名前なんて覚えてないし、覚える気もない。

 だって直接かかわる様な事もないし、はっきりいって面倒じゃん!

 まあ父さんの領主邸を参考にすべか。

 

 エルフ、ドワーフ、人魚さんの事を父さんと話しあった結果、やはり保護区とする方向で決まった。

 これも王城に連絡をしたが、アルテアン領が責任を持って対応してくれだと。

 幾らかの補助金は出してくれるらしいけど、要は金をやるからお前ら面倒見ろって事だな。

 まあ国も彼らに思う所が特にある訳でも無く、居ても居なくてもどっちでもいい存在らしいが、放置すると国際的に体面が悪いらしい。

 丸投げしてくれるのなら、都合がいい。

 彼らの住む森は完全に保護区として、俺の領地と切り離すが、アルテアン領である事は間違いない。

 なので領民として登録して、国からの補助金を彼らからの税金にしてしまえ!

 つまりは、俺の個人的な領地は保護区の手前までで決定。

 ちゅーことは、必然的に湖の位置も決まったな。

 

 彼らの住む森は俺の領地を通らなければ行けないように、完全に防壁とシールドで覆ってしまう予定。

 この1ヶ月で色々と彼らから聞き取りをし、森を調査した結果、彼らの行動範囲は半径5~15kmほど。

 最大で考えると面積は約700平方KMほどで、東京23区よりちょっと広いぐらい。

 うん、森の中だし移動は徒歩だから、十分だよな。

 これならあのクソデカい樹に、シールド発生装置を設置すれば何とかなる。

 シールドの設定を変えて、【許可を得ない‟人間”は通れない】結界にする。

 あの3種族の他に、動物、空気、雨と何でも通るけど、許可証を持たない‟人間”

は結界がやんわり拒否するから、この自然も彼らの生活も護れるはずだ。

 もちろん許可は3種族と俺のみが出せる様にする。

 どんな形の許可にするかは、またゆっくり考えよう。


 防壁はやっぱり万里の長城がモデル。

 アルテアン領と隣の何とか伯爵だったかな? の領境の目印としてちょうどいい。

 あちこちに『この先アルテアン領につき、無断立ち入り禁止!』って看板を立ててやるぜ!


 ▲


 ごねて拗ねて涙目で追いすがるミルシェちゃんを残して、今日はサラを連れて森まで来た。

 もう大変だったんだよ! ミルシェちゃんが俺とサラの仲を疑いまくって!

 しかもサラが煽りまくるから、拗れまくって説得まで一昼夜かかった。

 昨夜は……一緒に寝るって事で、やっと許してもらった。

『もすもす警察ですか? ここに犯罪者がいます!』

 おいサラ! こらバカ通報すんな!

 誓って俺は何にもしてないぞ!

 っちゅーか、いままで散々俺にセクハラかましてきたお前はいいのかよ!


 まあ、そんなドタバタした結果、森までサラとやって来たんだ……疲れる。

 でもこの秘密は打ち明けられないし、仕方ないな。

 

 事前にブレンダーとクイーンが製作していた地図を元に湖の形は決めていた。

 あんまり綺麗な円だとおかしいので、地形を考慮していびつな形に。

 俺の領主邸を立てるための地続きの出島をダンジョン側の岸に。

 保護区側は高い崖になる様な場所を選定して、簡単に行けないようにした。

 サラと相談した結果、あの光の弱いガチャ玉がとうとう出番を迎えたってわけだ。


「ここが予定地ですか? まだ森ですけど」

 サラが不思議そうに聞いて来た。

 そうまだ全く手つかずの森のまま。

「うん。まあ見てなよ」 

 

 俺は森中の精霊さんを全力で呼んだ。

「精霊さん精霊さん、全員集合!隣三軒両隣にも声かけて~! とにかくいっぱい集まって~!」

 うん……すごい事になった。

 俺の周囲が色取り取りの光しか見えなくなっちゃったよ。

 これじゃ話も出来ないな……うん、そうだ。

「はい、精霊さん整列しますよ~。土の精霊さんはここ、風の精霊さんはここ、水の精霊さんはこっち、火の精霊さんははから、一列に並んでくださーい!」

 ありゃ? 見慣れない銀とか金とその他色々ちっこい……これは魔素か? もいるな。

「え~その他の魔素さんは、ここら辺に座って(?)ね」

 ふよふよ纏まってくれた。

 うん、こいつら何の属性か調べるのは後回しだな。


「え~まずこの地図をご覧ください。この線の中にある樹を切り倒してもらいます。なるべく綺麗に根元で切ってくださいね~。それで地図のこの場所に、切った樹を纏めてください。最後に樹が割れないように中の水分をゆっくり抜いてください。出来ますか?」

 列の先頭の精霊さんが相談してたが、やがて俺の前にビシッ! っと4属性並んだ。うん……出来る? 大丈夫?

 そうそう、この地図の中の樹だけね。あ、草とかはほっといていいから。

 んで……そうここに集めるの。

 おやつの時間? それは属性ごとに連絡を入れます。


 各属性ごとに地図が必要だな。

 複製して各属性の精霊さんのリーダーに渡すよ。

「クイーン、急いで複製だ!4枚!」

 言う前に、クイーンがサッと地図を4枚出して来たよ。

 優秀すぎるだろ……お前には予知能力があるのか?


 さて、準備も出来た事ですし、一丁始めますか!

 


 

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