第43話 エルフとドワーフをどうしよう
話によると、ドワーフの里では水田があるんだって。
もちろん麦も作っているんだけど、米の方が作付面積に対して収穫量が多いから、麦自体の収穫量は少量なんだって。
その他、豆類、葉物、根菜などもかなり手広くやっているらしい。
豆は主に大豆を作っているから、豆腐、味噌、醤油(地球のとは少し違うけど)もあった。
あと、父さんにお土産として日本酒をもらった。
正確には米酒っていうらしい。まあ麦酒、ぶどう酒って名前があるんだから、その名付けも当然か。
お風呂もいただいた。日本式のヒノキ風呂じゃなく、普通の洋風の湯船だったけど、気持ちよかった。
畳は無かった。イグサが無いみたいだから難しいのかな、畳は。
その日は客間をお借りしてベッドでぐっすり眠った。
俺、本当にドワーフの村に来れてよかったよ。
翌朝、日の出とともにクイーンに起こされた。
寝る前に頼んでおいたんだ。
寝坊とかして迷惑かけたくないじゃん。
だからさっと起きて着換えを済ませたら、居間にいる長に朝のごあいさつ。
「おはようございます」
『ああ、よくねむんなさったかね?』
「はい、とても良く眠れました。ありがとうございます」
まあ、ピンクでキ〇ィちゃんな部屋には慣れないけど……。
『んだば、あさめしもくっちゃりぃ。よういできとるで』
ええ、朝定食いただきましょう!
もうね、朝から泣かせないでほしい。
ご飯、大根の味噌汁、卵焼き、鮭かな? 切り身を焼いた物、漬物。
うん、もう十分です。ってか、養鶏してるの?
ご飯を美味しく頂きながら、長にちょっと聞いてみた。
「エルフの里では、ドワーフは鍛冶と建築をしていると聞いたんですが」
『あぁ~ゆきっこがふったらかじすっだ。いえはたてるときにれんがやいてつくとっるだよ』
そうか、農閑期に鍛冶仕事で、建築は必要な時にって事か。
父さんの街の話やダンジョンの話なんかを色々として、気がつくと良い時間だった。
「では、そろそろお暇します。大変お世話になりました。」
『きをつけていきなっせ。みちのことはぁ、むらではなししとくけぇの。またおいでなっせ』
「はい、必ずお伺いします。次は手土産をお持ちします!」
あんまり良い人すぎて、別れる時は涙が滲んだだよ。
庭でブレンダーと戯れている子供(?)とも、しばしの別れの挨拶をして、俺たちはまた海を目指した。
▲
エルフはちょっと変わっていたが、悪い人達では無かった。
ドワーフは良い人すぎた……詐欺に引っかかりそうなぐらい。
この森は未開の地と聞いていたのに、先住民族が住んでいた。
しかも王国史から姿を消した民族が。
これは余り無茶な開発は進められないなぁ。
実際の所、あんまりエルフの村には魅力を感じないけど、ドワーフは確保したい。
この世界で和食を普通に食べれるなら、いくら払っても構わない。
だって俺ってお金持ちだから~ふっふっふ!
だが両民族の安全確保が優先だな。
ドワーフは戦え無さそうだから、俺が周辺一帯をシールドで囲むのはどうだ?
森だからあんまり建造物を作って自然を壊したくない。
彼らもいきなり周辺の環境が変われば住みにくいだろう。
出入り口を何か所か作って、きちんと出入管理できればいいんじゃね?
ん~ドワーフの村にマッチョエルフの専属警備員を配置するってのはどうだ?
エルフ・セキュリティー株式会社、出資者100%俺。
きちんと高給・高待遇で話せばいけんじゃね?
あ、なんか見えて来た気がする。
そうだよ、元々エルフがドワーフ守ってたんなら、稼がせればいいんじゃん!
条約だかなんだかしらんが、そんな交換条件じゃなくてもいいわけだよな。
だってエルフの長は儲けたそうだったもんな。
仕事にしちゃえば金も稼げるし、最高のアイデアでは?(自画自賛)
そういえば昔テレビで、インドかどっかでガードマンになる為に村中で身体を鍛えてるマッチョな村とか見た気がする……あれを異世界でやりゃいいんだよ!
俺は観光事業や海産物の流通で儲ければいい。
無理に大儲けしなくてもいいんだ。
永続的に細く長く確実に儲けるなら、現地の人を採用するのは当然だもんな。
よし! 大枠で構想は出来た。
とか考えてると、これは潮の香り? 海が近いのか?
てか、木々の向こうにきらめく波間……海が見えた!
めっちゃめちゃ綺麗な砂浜が広がってる!
ああ、最高だぜ!良い波だぜ! サーフィンにもってこい!
した事ないけど……。
でも、あの懐かしくも軽妙なリズムをついつい口ずさんじゃうぜ!
「If everyb〇dy had an 〇cean~♪ Acr〇ss the U●S●A●~♪」
白い砂浜だ~!
「Everyb〇dy's g〇ne surfin' ~♪」
気分は最高潮!絶好調!
『Surfin U●S●A●~♪』
一番いいとこ取るなよ!ナビ!
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