第41話  今度はドワーフ……?

 危険は無さそうなので、説明してブレンダーとクイーンを呼んで紹介した。


 さあみなさんイメージして下さい、あなたの中にあるドワーフを。 

 では現実との比較を……ハイ、ドン! 

 

●ドワーフは背が低い⇒確かにこいつは背が低いです。俺とほぼ同じ135~140cmぐらいかな?

●ドワーフは筋骨隆々マッチョ⇒いやいやこいつは、スリムでなよなよしてて護ってあげたくなる。

●ドワーフはヒゲがある⇒ヒゲどころかムダ毛がないんじゃね? つるつるすべすべの肌してる。

●ドワーフは頑固で偏屈⇒めっちゃニコニコしながら呼んだブレンダーをモフってる。

●ドワーフの武器は斧⇒手に籠引っ掛けてお花とかキノコとか山菜を採ってます。

●ドワーフは……もういいや。


 何、このイメージ破壊! 全然違うじゃん!

 俺の常識って、何か間違ってるかなあ?

 

『常識を語る時はあくまでも一方向から見た偏見とも言えます。イメージと合わないと言うのは、あくまでもあなたの中のイメージや常識であって、この星の常識からすればあなたの中にあるイメージがおかしいのです。ある集合体において常識という物を思考的にメタ視すれば、それは相対的な物になるのですから、一方が他方を常識と違うという事は……』

 ああああ! ナビが割り込んできやがった!

 難しすぎるが、なんとなく言いたい事がわかるのが悔しい!

 そうだよ! 俺の常識がこの星に合ってないだけだよ!

 おっしゃる通りです、ごめんなさい。

 だから俺の思考を読み取ったり割り込んだりしないでください。

 まさか全部見てたのか?


『はい、ずっと見守っています。ありとあらゆる場面を、じっくりねっとりなぶる様に』

 クソ……ナビ……いやサラの奴、仕事もしないで俺を見てたのか!

『疾風の様に仕事をしているというのに……悔しいです!!』

 うっ……突っ込みたい……しかも懐かしいアニメと漫才師にかかってる!

 腕を上げよったな……こいつ、やりおる!


『あんのぉ~? このおおかみは、あんたさぁのおおかみさんなんかぁ?』

 おっとナビと遊んでたらドワーフさんがもふもふ満足したみたいだ。

「うん、僕の使い魔だよ。えっと……君は女の子?」

『やんだぁ~もぅ~おらはおとこだぁ~』

 マジか! どっからどうみても美少女なんだが。

『あんたさぁは、どっからきなさったね?』

 なんか方言があちこち混ざってる気がする。

「ここからずっと北の山の向こうから海を見に来たんだよ」

『うみ? あんたさぁは、あげなもんがみてえのんか?』

「僕の住んでいる国に海がないからね」

『ほぇ~そげなもんかねぇ~。そんじゃぁ、おらのむらさきなせぇ。おさがおるでよ』

 またこのパターンか。

 よそ者見つけたら村の長に引き合わせるのは、この世界での規定事項なのかもな。

「はい、ご挨拶させていただけたらと思います」

『すぐそこだけぇ、ついてきなっせ!』

 森の中をお花の入った籠を肘に掛けてスキップ……女の子にしか見えないよなぁ……。

 ブレンダーに跨って、ドワーフの後ろをとことこついて行った。

 もう地球のイメージは持っちゃだめだな……ドワーフの里……期待はしないぞ…………。


 ▲


 思ったよりもドワーフの村……普通でした。

 エルフの村とほぼ一緒で、レンガ造りの規格統一された綺麗な家々。

 ただ大きさはエルフの村にあった家の2/3程度かな。

 ちょっと小さい。

 そう言えばエルフが鍛冶や建築してるっていってたもんな。

 村ですれ違うドワーフを見てると、鍛冶より家事って感じの体格なんだけど。

 なんせ美少年少女しか居ない。


『トールヴァルド様、ぜひ2、3人連れて帰ってください……じゅるる……』 

 そう来ると思ったよ。

 絶対に連れ帰らないからな!

『大丈夫です。キャッチ&ベッドインの精神ですから、ぜひぜひ!』

 キャッチ&リリースだろ! 間違ってるぞ!

 いや、それもだめだからな! キャッチすな!

『安心してください、合法ですよ?』

 安心できるかー! もう黙れクソビッチメイドが!

 神様……どうかこの駄メイドを地獄に流してください。

『人を呪わば穴二つ……』

 はいはい。

 どうせ俺が死んだらお前と当分一緒なんだろ、なら同じ穴の貉だよ。

『上手い! 山〇君ざぶとん1枚あげて!』

 くっそ……何か負けた気がする……。

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