第39話  エルフ・・?

 さて、この世界でエルフさんと思わぬファースト・コンタクトをとる事が出来た。

 それは良かったのだが、やはり前世で観たアニメや映画、読んだ小説とのイメージの差にかなりの違和感を感じる。

 

 さっき初めて会話した時は、下草のせいで良くわからなかったが、めっちゃごついジャングルブーツ履いているし。

 しかも着ている服は単にオリーブグリーンの服に見えたんだが、同色の太いベルトにはナタが下がってるし、これって軽装だけど自衛隊のOD作業服なんじゃね?

 予備弾倉入れるベスト着てヘルメット被れば、完璧に女性自衛隊員(wac)

だぞ!

 いや、まさかそんなはずが無い……。

 自衛隊の装備でも、ちょっとマニアックすぎ?

 まあ、俺は一部マニアに人気の月刊誌【 アーム〇マガジン 】の愛読者だからな、ちゃんと知ってるけど。

 そうか、きっと機能を追求すると同じ形に行きつくのかもしれん・・しかし、美女なのに色気が無い。

 これじゃWACだよなあ。

いや勇ましい女性を屈服させるのも……ぐふふ……嫌いじゃないです。

 

 でもね、エルフですよ、エルフなんですよ!

 もっと、こう……スリムで儚げで森の妖精~って感じのアニメとか映画とかに出てくるイメージあるじゃん!

 理知的で排他的で弓が得意で精霊魔法とか使ってベジタリアンって、イメージあるでしょ! あるよね?

 この人の後ろからついて行ってるだけなんだけど、その姿観てると違うんだよ!

 弓は持ってるけどめっちゃごつい弓だし、スリムかと思ったらナタで藪漕ぎするし、なんかめっちゃパワフルで、実は細マッチョだと確信させるパワーだ。

 よく見たら手斧を腹のとこに差してたし、こんなエルフなんか嫌だなあ……。 

 しかも途中で立ち止まるから何かな~って思ったら、でっかいイノシシを担いだよ!

 ええ? 今日の獲物なんですか? ま、まあ弓持ってるもんね。

 ええ! 斧で頭をかち割ったんですか? 一撃!? そりゃすげえ!

 新鮮な肝臓は美味いって? そりゃ同意しますけど……レバ刺しとか好きだったしな。

 けど、エルフってベジタリアンじゃねーのかよ!

 はあ、そんなんじゃ力が出ないと……森で生き抜くにはパワーだと……。

 おっしゃる通りですけれども!

 

 そりゃこの世界は地球の劣化コピー&ファンタジーって神様に言われたけどね……あ、管理局の局長か。

 だけど劣化の方向性が残念すぎない?

 

 もしかしてドワーフとも仲が良かったりして……エルフ。

 ほうほう、ドワーフもいるんですか? おお! ご近所に村があるんだ!

 え? あいつら小さくて軟弱だから安全保障条約を結んでいると。

 なんだよそれ……不平等条約じゃねーだろーな? 

 ドワーフは器用だから、守る代わりに鍛冶や建築をさせていると。

 ……そこはイメージ通りなんだな。 


 やったぁ……うれしいなぁ~えるふだ~! どわーふだ~! わぁ~い……。

 って違うだろ局長!! もちょっと地球のファンタジーにイメージ寄せろよ!

 変えるにしても劣化の方向性考えよーぜ!

 まあ、言っても仕方ないけど。


 ▲


 どこをどう進んだか覚えてないけど、エルフの村に到着した。

 まあブレンダーかクイーンがマッピングしてくれてるはずだから、心配はない。

 

 ここエルフの村だよね? 立派な煉瓦造りの家だねぇ。 まあ予想はしてたよ。

 樹上の家とかちょっと期待したけど……予想を裏切らないね。

 めっちゃ規格化された家が立ち並んでる。

 気持悪いよ! こんなに同じ家が並んでたら! 建売規格住宅かよ!

 え? 家は統一していると建てるの簡単で、さらに量産でコストダウン?

 正論ごもっともです。

 さらにエルフのイメージダウンしちゃったよ……。 

 

 エルフの村の通りをブレンダーに乗って進むと、道行くエルフさんが驚いたり逃げ出したりする。

 ブレンダーでっかいからね、仕方ない。

 子供達は怖いもの知らずで、いっぱい寄ってきたけど。

 ん? あ~、なでても大丈夫だよ~。

 でも尻尾は引っ張らないでね、蹴られるよ。

 みんなやっぱりスリムじゃないな。

 子供なのに、めっちゃがっちりしてる。

 ってか男のエルフは、筋肉すごいんですけど!

 頭に派手な羽根飾りしてるけど……どう見てもネイティブ・アメリカンの儀式用だろ、それ!

 それにみんな浅黒い……ダークエルフではないから、日焼けか。

 マッチョで日焼けって、どこのボディービルダーだよ!

 もうこんなもんだと納得しよう……残念エルフ。


 エルフの村の一番奥にあるでっかい屋敷が、村長さんの家だそう。

 立派なレンガの屋敷の入り口には、やっぱり自衛隊のOD作業服みたいな服装のエルフさんが太い槍をもって立哨中。

 案内してくれたエルフさんが何やら伝えると、屋敷の中に入って行った。 

 まあ気を取り直して、エルフの長に会ってみましょうかね。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る