第4話 今の世界は
2166年。
世界は戦争もなく、平和だ――人間同士は。
国境も人種も貧富の差も関係なく、協力しあわないとならなくなっていたから。
三十年前に、何処からやって来るのかわからない、未知の生物が地球に降り立つようになった。
それは、大きかったり小さかったり、強かったり弱かったり。
形も様々で、人間と似た生物もいた。
でも、どれも凶悪だった。
世界にランダムに出現しはじめ、街や森、山を破壊し、人間を襲う。
最初はニュースとして頻繁に流され、そして大型の生物がアメリカ大陸に出現して、人類はパニックに陥った。
世界が初めて団結し、協力しあい、大型生物を攻撃。幸いにも、恐ろしい『核兵器』を使用せずに倒せた。
それから人間達は人間同士で争っている場合ではないと気付き、地球外生物の打破の為に各国が手を取り合ったのだ。
――そして、何処からともなくやって来る生物を『異世界生物』と呼び、研究を始め解決策を模作し続けている。
先月、隣の区にアメーバーのような成形のない生物が現れ、クラスメイトの一人が殺された。
覚えてる。
半透明なゲル状の化け物に覆い被され、溶けていく――
身近で、目を覆いたくなるリアルなことが起き出している……
紫姫は教室で一人、国から配付された対異世界生物用の銃をセットしながら、避難用シェルターの場所を再確認していた。
帰宅途中で異世界生物に万が一、遭遇しないと限らない。
ここ一年、生物は更に凶悪になり、特に日本によく出没するようになってきた。
それに加え、近くで起きた異世界生物の襲撃事件。
それからしばらくは自衛隊に守られての集団登下校だった。
ようやく解除になったが、こうした自衛は引き続き行うのは日本人の当たり前になっていた。
――人間同士、争わなくなったのに、争っていた時よりも物騒になった。
それが、今の日本であり、世界――
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