来訪者(2)(語り:タニア)
ペペ「それでですね。話は変わるんですが、今日お訪ねしたのは、これを見ていただきたかったからなのですよ」
ペペは雪だるまの形をした装置を差し出した。昨日ミシアの魔力量を測るのに使った測定器だ。
ミシア「これ…魔力を測ったやつだよね?」
ペペ「そうなんですが、お伝えした数値に誤りがありまして…」
ミシア「800だったっけ?確かに多すぎだよね。やっぱり間違いだったんだ?」
ミシアは苦笑した。
ペペ「いえ、それが…。今そこに出ているのが正しい値でして」
ミシア「?」
ミシアは渡された測定器に出ている数値を見た。
ミシア「…68000…?」
タニア「ええっ?!」
ペペ「昨日ミシアさんが見たときは、メーターの両端が溶けて、数字が隠れていたんですよ。一番左の6と一番右の0が。なので、800だと勘違いしてしまったのです」
ミシア「…えぇ~?!」
ミシア「いやいや、これも間違いなんじゃない?!いくら何でもおかしいって!」
魔力量の多い人間でも普通は100マットを少し超える程度であり、800マットでも多すぎだというのに。
ペペ「確かに、こんな値を測定したことは無いので、その可能性も否定は出来ませんが…」
ミシア「でしょ?!」
ペペ「しかし一応、測定器が正しいとして。ミシアさんが何故こんなに大量の魔力を持っているのか、とても不思議なのです。何か心当たりはありませんか?」
ミシア「うーん…。いやぁ、全然…。鍛え方だって、普通だと思うし。
測定器が…そのう…間違ってる可能性の方が高いんじゃないかな?」
ペペ「そうですか…」
タニアには心当たりがあった。きっと魔液を飲んだせいだ。
ミシアが寝たきりになっていた頃、身体を治せる薬だと言われて貰った物を、タニアはミシアに飲ませたことがある。しかし後から考えるに、それは魔液だった。
魔液は
ミシアが魔液を飲んだ後で、寝たきりだったミシアは手足を動かす魔法を使えるようになった。ただ、ミシア自身は、魔液ではなく薬を飲んだと思っている。だから魔力量が多いということには結びつかず、心当たりが無いと答えたのだろう。
しかしタニアはミシアに魔液を飲ませてしまったことは秘密にしているので、この場でも何も言わなかった。
ペペ「いずれにしても、測定器が68000という値を示していたという事実を、お知らせしたかったのです!」
ミシア「あ、そうですか…。うん…。ありがとうございました…」
ペペは話が終わると、嬉しそうに帰って行った。
タニア「…すごいですね、お姉さま」
ミシア「いや~、間違いなく間違いでしょ、これは…。なんか驚きすぎて疲れちゃったよ…」
ミシアはベッドに伏して倒れ込んだ。
タニアは、ミシアに魔液を飲ませてしまったという負い目を思い出して暗い顔をしていたが、ミシアがベッドに伏していたので、顔を見られずに済んだ。
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