来訪者(1)(語り:ミシア)

さっそく翌朝から、アーキル達は白い鳥の捜索を開始した。

全員で一緒に動くのは効率が悪いので、手分けすることにする。とは言え、1人ずつばらばらになると、何かあった時に対処できない。そのため、2人一組で行動することになった。

アーキルとコノハ組、ケニーとルディア組。

タニアは外に出ない方が良いという判断で、冒険者ギルドに居残り。ミシアが護衛につく。


という訳で、ミシアとタニアは、アーキル達を見送った後、部屋で待機していた。

ミシア「でもただ待ってるだけって、退屈だよねぇ~」

ベッドの上で転がるミシア。

タニア「そうかもしれませんけど、頑張ってくれている皆さまに失礼ですよ、お姉さま」


ミシア「それにさー、あんな小さな鳥さー。どこにでも隠れられるよねー」

タニア「それは…そう思いますけど…」

ミシア「むしろ、あっちから来るのを待った方が…いや、それじゃタニアが危ないか」

ミシアは窓の方を見た。

カーテンを引いて、外から見えないようにしてある。

タニア「…でも、その方がいいかもしれません。皆さまの手を煩わせるより、わたしが囮になった方が…」

ミシア「だめ、タニアが危険になるような事は、絶対許さないから!」

タニア「お姉さま…」

タニアは少し嬉しそうに微笑んだ。


・・・


だらだらと時間が過ぎ、ごろごろとミシアが転がっていた、あるとき。部屋の外からギシッという音がした。

ミシア「!?」

ミシアとタニアは驚いて息をひそめる。

音は扉の方から聞こえてくる。床の木がきしむような音だ。

ミシア「タニア、こっちへ」

ミシアは小さな声でタニアを呼び寄せ、ベッドの陰に隠して背後に匿う。

扉の外の廊下を誰かが近付いてきているような音だが、陽動かもしれない。ミシアは窓の方も警戒する。


扉の外で音が止まった。

ミシア「…」

様子を窺うミシア。


コンコン。

扉を叩く音がした。

ミシア「…?」

ペペ「ミシアさん、いらっしゃいますか?昨日お会いした、探し物屋のペペです」

扉を叩く音は、単なるノックだった。


念のため窓の方を見るが、特に変わった様子は無い。

ミシアはベッドを降りて扉に近付き、鍵を開けて扉を開いた。

そこに居たのは確かにペペだった。(他には誰も居なかった)

ミシア「ペペさん?どうしたの?」

ペペ「それが、ミシアさんに折り入ってお話がありまして」

ミシア「まぁ、どうぞ」

ミシアはペペを部屋に招きいれた。


タニア「まぁ、ペペさん。昨日はお世話になりました」

タニアはベッドの陰から出てきて、挨拶した。

ペペ「いえいえ、こちらこそ」


ミシア「どうしてここに?」

ペペ「ケニーさんからお話を聞いたのですよ」

ペペが言うには、朝一番にケニーとルディアが来店し、白い鳥の魔力の糸がどこから来ているかを突き止める手伝いを要請され、ペペは快諾したとのこと。

そのときにミシア達がどこに泊まっているか聞いていて、跳ねる亀亭を来訪したのだった。


ミシア「そうなんだ!ありがとうございます」

タニア「ありがとうございます」

姉妹は揃って頭を下げた。

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