帰還
アーキル達が遺跡から去っていくのを、離れた丘の上から見守る3人の人影があった。
ひとりは、仮面をかぶった男。
ひとりは、黒く長い髪に白い肌の女。
ひとりは、小柄な少女。
仮面の男「彼女は、見事に役割を果たしてくれた」
黒髪の女「はい」
仮面の男「悲しいか?」
黒髪の女「分かりません。ですが、胸に何か重いものが乗って潰されそうな…奇妙な感覚がします」
無表情なまま、黒髪の女は答えた。
仮面の男「それはきっと、苦しいとかつらいという感情だろう」
黒髪の女「そうですか…」
仮面の男「お前はどうだ?」
仮面の男は少女に問いかけた。
少女「ワタシには感情というモノはありませんので。荷運び役としてお供しただけですし。しかしながら……いえ、ナンでもありません」
仮面の男「そうか」
黒髪の女「博士こそ、大丈夫ですか?」
仮面の男「大丈夫だ。そのためにこの仮面を付けているのだからな」
男は、仮面に手を触れた。
そして、遺跡に横たわる老婆を見つめる。
仮面の男「さあ、彼女を迎えに行こう。連れて帰ってやらねばな」
仮面に夕陽が差し込む。
光の加減か、目元が光ったように見えた。
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