焼肉のセナン(語り:ケニー)
ワンパンダンから教えてもらったセナンの家は、金持ちというだけあってなかなか豪勢で大きな屋敷だった。
屋敷の門には槍を持って武装した門番まで居る。
ミシア「あのー、セナンさんに会いたいんだけど」
門番「なんだ、お前たちは?また焼肉チャンスか?」
ミシア「うん、そうだよ!」
ケニー「厳密には、焼肉を奢ってもらいに来たんじゃなくて、情報を聞きに来たので、焼肉チャンスの逆ですかね」
門番「まったく。一応聞くが、誰からその話を?」
ミシア「それは…」
門番「いや聞くまでもない。ワンパンダンの奴であろう。勝手に話を広めおってからに!
まあ、セナン様は迷惑がっているというか面白がっているというか…。焼肉チャンスの話を受け入れる反面、ワンパンダンの奴には絶対焼肉を奢らんと決めているようだがな」
ミシア「そうなんだ…」
ルディア「ワンパンダンさん、頑張っているのにちょっと可哀相ですね…」
コノハ「勝手に広めてるんじゃ、頑張っても駄目でしょ…」
門番「まあ、入るが良い。セナン様はお優しい方ゆえ、話を聞いてくださるだろう。焼肉をご馳走していただけるかどうかは、お前たちの話の内容次第だがな」
そう言いながら、門番はミシア達を中に入れてくれた。
・・・
セナンは白いひげを生やした年配のオラク人だった。応接間も華美でなく品のよい佇まいをしている。
セナン「儂がセナンじゃ」
ミシア「…焼肉の匂いはしないね?」
タニア「お姉さま!」
セナン「ほっほっほ。焼肉のセナンと呼んでいる者もおるようじゃが、いつも焼肉を食べているわけではないぞい。それで、用件は何かな?」
ケニー「実は…」
ケニーはタニアの具体的な事柄には触れず、呪いの魔法の話だけして、その痕跡を探せそうな人物について心当たりが無いか尋ねた。
セナン「ふむ…。魔力の感知に長けた人物なら、一人心当たりがあるのう」
ケニー「魔力の感知!まさにそういう人物を探していました。その人を紹介していただけないでしょうか?」
セナン「ふむ。しかし仮にも焼肉のセナンと呼ばれている身としては、
ミシア「だったら、焼肉をご馳走すればいい?」
ルディア「それくらいでしたらお安い御用です!」
アーキル「しかし普通の肉だったら食い飽きてるからダメだとか?」
コノハ「珍しい肉を獲ってこいと?」
ケニー「冒険者へ依頼するパターンとしては、無くは無い話ですね」
ミシア「ドラゴンの肉とかどう?」
ケニー「魔物は倒すと魔液に変わってしまうので、肉は取れませんよ」
ミシア「そうだった!じゃあ…」
セナン「あの…。お主ら、流れるように勝手に話を進めるでない」
ルディア「違うのでしょうか?」
アーキル「ちっ。金を要求されても、そんなには出せねえぜ?」
セナン「違うんじゃ。確かに珍しい肉には惹かれるものがあるが、焼肉を奢るのは儂の領分で、奢ってもらおうとは思わんわい。もちろん金でもない」
ケニー「では、どうすれば?」
セナン「ほっほっほ。簡単なことじゃ。お主らがどんな問題を抱えているのかは知らぬが、それが解決したら、何か面白い話を聞かせに来てくれればそれで良い」
タニア「そんなことで良いんですか?」
セナン「そうだとも。若い者の話を聞かせてもらうのが何より楽しみなんじゃよ。ほっほっほ」
ケニー「なら、それでお願いします。きっと面白い話をお聞かせしますよ。…僕以外の誰かが」
アーキル「お前じゃないんかい!」
コノハ「ケニーじゃ小難しい話しか出来ないから、合ってるんじゃないかしら…」
ケニー「魔法や歴史の話だったら色々出来ますが…」
セナン「ほっほっほ。それも一興じゃが、お主たちを見ておると、お主たち自身の話が一番面白そうじゃて。期待しておるよ」
そしてセナンは、ペペという人物を教えてくれた。
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