歴史研究室(語り:コノハ)

ミシア「それにしてもケニーって、魔物だけじゃなくて歴史にも詳しいんだね!」

魔物については冒険者になると決めてから勉強したと、以前ケニーが言っていた。

ケニー「ええ、歴史の研究室で、みっちりと教えられましたから…」

がっくりとうなだれるケニー。

ミシア「?」


コノハ「私たち3人、つまり私とケニーとルディアは、ヤーハ魔法学院で同じ研究室だったの。それが歴史を研究するところでね」

ヤーハ魔法学院は名前からして魔法だけを研究していそうだが、そうではない。魔法以外の研究も行っている。歴史の研究もそのひとつだ。

ルディアたちは、ヤーハ魔法学院で同じ研究室だったという縁で、冒険者のパーティー『エスウィング』を結成したのだ。

コノハ「私なんかは、正直どの研究室でも良かったんだけど」

ルディア「私は歴史を勉強したくてあの研究室に入れていただきました」

ケニー「僕は治癒魔法の勉強をしたかったんです。なのに配属されたのが何故か歴史の研究室で…」

コノハ「その割に、ケニーは真面目に勉強してたわよね」

ルディア「私は、お二人に出会えたので、あの研究室で良かったです!」

ケニー「そこについては僕も異存ないんですけどね。どういう因果なのやら…」


ミシア「それじゃ、アーキルはどうやって仲間になったの?」

アーキル「オレは、学院の用心棒をやってたんだ。そこをルディアにスカウトされた」

ミシア「へえ、そうなんだ~!魔法学院のおかげでエスウィングが出来たんだね!ボクも行ってみたいな~」

ケニー「勉強すれば、今からでも入れますよ」

ミシア「うえー、それは勘弁…!今のエスウィングで冒険するの好きだし!」


コノハ「そうね。そのためには、地道に森を歩いていくわよ」

ミシア「うあーー、そうだったぁー。ケニー、テレポートの魔法~」

ケニー「だから、それは無いんですってば」

ミシア「ケニーのけちー」

ケニー「そうじゃないって分かってますよね?」

ルディア「けちー」

ケニー「ルディアまで?!」

コノハ「けちー」

ケニー「…」

ケニーはアーキルを見上げる。

ケニー「まさかアーキルまで言わないでしょうね…?」

アーキルはにやりと笑った。

アーキル「けちー」

ケニー「…!」


アーキル「はっはっは、喋ってないで、とっとと行くぞ。地道にな」

ケニー「そうですよ、地道に行くんです!」

珍しくケニーが先頭に立つ。皆が笑いながらケニーに続いた。

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