サティのポリシー(語り:サティ)
『クラスタリア』は、この世界の名であり、この星の名でもある。
クラスタリア最大の大陸『ハイオズ大陸』の、中央から東部にかけて存在する大平原が『オラクルード地方』。
オラクルード地方には大きく7つの国があり、南西に位置するのが『普通の国スタンガルド』。
その北部の辺境、山の麓にある小さな村が、ミシアやサティの住む『ハルワルド村』だ。
そしてハルワルド村唯一の宿酒場が、ミシアが店長を務めている(ことになっている)『甘いはちみつ亭』である。サティから見れば、ミシアが店長らしいことをしているとは、とても思えないのだが。
甘いはちみつ亭の入り口を入ると、左側にはテーブルが並ぶスペースがあり、右側にはカウンター席がある。
カウンター席の向こう側には厨房がある。
そこでは、ライラが料理を作っていた。
ライラはミシアやタニアの保護者の女性で、サラム人。サラム人特有の肌の赤味は、ライラは薄い方だ。
ライラは黒い給仕服にエプロンという姿で、いつも右の腰におたまをぶら下げ、背中におなべのフタを背負っている。料理に使っているのは別のおたまで、サティは腰のおたまが使われているところを見たことが無かった。おなべのフタも同様だ。
サティはいつものごとく厨房に入り込み、ライラに近付いて軽く頭を下げる。
ライラ「あらあら~。いらっしゃい、サティちゃん~」
サティ「ご尊顔を拝し、恐悦至極にございますわ、ライラ様。ライラ様のお美しさは、ハルワルド村で一番ですわ!」
ライラ「まぁまぁ~。相変わらずなのね~サティちゃんは~」
サティ「もちろんですわ!」
そんなサティに、ミシアが声をかける。
ミシア「ご尊顔とか言いながら、顔じゃないところを見てるみたいだけどー?」
サティが凝視していたのは、ライラの胸だった。
サラム人は他の人種と比べて体格が大きい人間が多い。サラム人の男性は背が高く、筋肉も多い。サラム人の女性は背が高めで、胸も豊かだ。
サティ「お黙り、貧民!」
ミシア「はいはい、踊り子さんには手を触れないでくださーい」
ライラは言い争いの内容には関心を示さず、
ライラ「あらあら~。私は踊り子さんじゃないわよ~うふふ」
と言いながら、一回転。スカートがふわりと持ち上がった。
ミシアはアーキルたちの方に向きを変え、説明する。
ミシア「サティは重度の巨乳フェチなんだよ」
ケニー「え」
思わぬ単語を聞かされて、固まるエスウィング一行。
顔を真っ赤にして、思わずアーキルの耳を引っ張るコノハ。
コノハ「~!」
アーキル「いてえ!オレは何もしてないだろ!」
サティは厨房を出て、ミシアたちが居る所へ歩いてきた。
サティはふわりと広がった髪形で、もみあげは長くてくるくると巻いている。着ている服も他の村人と違って、町の雰囲気を取り入れている。
サティ「その変態みたいな言い方はやめてって、いつも言ってるでしょ。豊かな胸は女性の象徴なんだから、当然の感性ですのよ。
自分のお胸が貧相だからって、ひがむと根性まで貧相になりますわよ。それとも自分は男だとでも思ってるのかしら?」
アーキル「ああ、さっき言った貧民って、胸が貧乳って意味か」
そう言って、コノハに後頭部をチョップされるアーキル。
ミシア「分かってないなー、サティは。女かどうかは胸で決まるんじゃないんだよ」
サティ「じゃあ何で決まりますの?」
ミシア「そりゃ、きん○○の有無に決まってるじゃん!」
固まる一同。
タニア「お姉さま!そういうことは、
ミシア「えー。ここに居るのって、家族と、友達と、仲間。だから、みんな他人じゃないよ?」
タニア「そういうことじゃないんですぅ~」
ケニー「ミシアの常識って、どうなってるんですかね…」
コノハ「…常識を教えるのって、意外と難しいのよね…」
サティ「そうよ、ミシアは非常識なのよ!ライラ様には到底及ばないけど、せめてこれくらいは無いと女性として恥ずかしいんですのよ!」
サティは自分の胸を揺らしてみせる。年齢の割にはかなり大きい。
コノハ「いえ、その考えも非常識だと思うけど」
ケニー「類は友を呼ぶというやつでしょうか…」
ミシア「そういうのはサティやタニアに任せるよ。ボクはおっぱいは平らな方がいいよ。大きいと邪魔になるだけだし」
ミシアは空中にパンチの連打を華麗に繰り出してみせる。
サティはそれを見て、ため息をつく。
サティ「ミシアの場合、本気でそう思ってるから可愛げが無いんですわ。大人の絵本に出てくる貧乳キャラみたいに、口では強がりつつも裏ではこっそり「ぐすん」と嘆いたりするのが萌えポイントですのに、まったくミシアときたら、いくら挑発しても変わらないんだから」
ルディア「大人の絵本…?」
ミシア「ああ、大人の絵本っていうのはね、」
サティ「黙りなさい!それは秘密だって言ったでしょ!今日持ってきたやつ貸してあげないわよ!」
ミシア「…」
サティの剣幕に押されて慌てて黙り、口を押さえてこくこくと頷くミシア。
コノハ「…残念ながら、まったく秘密になってないわね…」
小さな声でつぶやくコノハであった。
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