第27話 会えないと恋しくて

 大阪でマユと過ごした翌日の月曜日。今日はいつも通り、大学の講義がある。そして、僕は少し憂鬱な気分だった。


「はぁ。マユはどうしてるかなあ……」


 講義が終わった後、ついついため息を吐いてしまう。


「雄太、おまえ、大丈夫か?調子悪そうだぞ?」


 大学の同期で、よくつるんでいる友達の健太けんたが心配してくれる。


「ああ、なんでもないよ。ただ、ちょっと遠距離恋愛の辛さを噛み締めてただけ」


 我ながら重症だと思う。


「最近出来た彼女のことか?気持ちはわかるが、ずっとそんなだと単位落とすぞ」


 本気で心配してくれている。いい奴だ。


「もう少し割り切れればいいんだけど。なかなか、ね」


 わかってはいるのだ。単位を落とすなどすれば、かえって付き合いに問題が出るだろうということは。


「俺も偉そうな事言えないけどよ。彼女のこと、あんま心配かけるなよ?」


「うん。わかってる……つもり」


 そう言って、帰宅する。あ、マユにもメッセージ送らなきゃ。


【さっき講義終わった。マユはどう?】


 送信したら、次の瞬間、メッセージが返ってきていた。


【私もさっき終わったとこやよ】


 一瞬で返ってきたけど、彼女も僕と同じような気持ちなのだろうか。


 家に帰ってから、講義の復習をしようとするけど、まるで手につかない。それどころか、趣味の電子工作もろくすっぽやる気が起きない始末。


(重症だなあ)


 そう思うのだけど、思い出すのは昨日一昨日、マユと一緒に過ごした時間。


 近くにいれば、こんな思いをせずに済むんだろうか、とも思う。


 しかし、このままじゃよくない。僕のためにもマユのためにも。


【今夜、ビデオチャットで話せる?】


 少しの間を置いて、返事が返ってきた。


【ええよー。いつも通り22:00でええか?】


 その返事に、「もっと早く会いたい」と思ってしまうが、ぐっとこらえる。


【うん。じゃあ、また後でね】


 そう返して、やっぱりため息をつく。付き合うことができたときは喜びの絶頂だったけど、まさかこんなにも気持ちがままならないなんて。


 それも、一昨日会うまではまだ良かったけど、会ったおかげでもっと深みにはまってしまっている。


(マユはどんな気持ちなんだろう)


 僕と同じような気持ちだろうか。それとも、会えない分は割り切っているんだろうか。そんなことを考えながら、彼女と話せる時間を待ったのだった。

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