第16話 決意

「ユータがあれだけきっぱり言ったんって、誰か好きな人がおるから?」


 そんなマユの質問に、僕は言葉を失う。どうしよう。ここで、告白するか?でも、さっきまでかおちゃんとくっつけようとしていた矢先に告白するのはどうだろう。


「マユはそれを聞いてどうしたいの?」


 質問に質問で返す。


「ユータとは昔から仲が良かったから。昔馴染みとして、やな」

「そっか」


 昔馴染みとして、ただ、気になるだけなのだろうか。ただ、いずれにしても、明日が終わってしまったら、また次に会えるのは早くても春休みだ。悠長にかまえていられるだろうか。


「ねえ。明日、一緒に遊ばない?二人で。なら、教えてあげるよ」


 せめて、明日、二人で遊べれば、何かが変わるかも知れない。そんな期待があった。


「カナやこーちゃん、かおちゃんが一緒やない理由は?」

「それも、明日、教えてあげるよ」

「……わかったわ。でも、必ず教えてもらうからな?約束やで?」

「うん。約束するよ」


 僕の意図に気づいただろうか。それはわからないけど、とりあえず明日の約束を取り付けることには成功した。


「それで、明日は、20:00新大阪くらいの予定だから、それまで遊びたいな」


 実は、特に予約はしていないのだけど、20:00の新幹線に乗れれば、我が家には、日が変わるまでにはたどり着けるだろう。


「ほんまに教えてくれるんやったら、付き合うよ」

「ありがとう」


 今夜中にどこを回るか考えておかないと。それも、ただ遊ぶのではなくて、彼女が楽しんでくれるような、それでいて、僕の気持ちが伝わるようなそんな場所を。


「明日は楽しみにしといて」

「何考えとるんかわからんけど。楽しみにしとるわ」


 そんな事を話していると、1時間も経っていた。部屋に戻ると、酔っ払っていたカナは床に寝転んで既に爆睡しているし、かおちゃんも、同様だった。


 ただ一人、こーちゃんが起きていて、部屋に二人で戻った僕たちは見つかってしまった。


「何やってたん?」

「いや、夜風を浴びてただけ」

「そうなんや」


 それ以上、何か追求してくる事はなかったが、僕が一人になった頃を見計らって、


「なあ、ユータ。ひょっとして、お前の好きな人って……」

「たぶん、想像の通りだよ」

「俺らはとんだ勘違いしとったわけやな」

「別にいいよ」


 僕もなんだかんだ疲れたので、床に寝転がると、少しずつ眠気が襲ってくる。明日の予定を考えないといけないので、少し早めに起きよう。


 そう思って、瞼を閉じたのだった。

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