第3話 成人式と再会
そんなこんなでUSJに行って、あれする何するとか話していると、いつの間にか成人式の会場に着いていた。2階建ての建物で、ざっと1000人は収容できそうだ。
「はー。おっきいもんやねー」
「成人式やったら、そんなもんやない?」
あくまで冷静なこーちゃん。
会場に入ると、まだ少し早かったのか、人がまばらだ。その中に、ぽつぽつと見覚えのある姿を見つける。
「あれ、
マユが遠くを指差す。言われてみれば、あいつのような気がする。小学校の頃、たびたび突っかかってきて、時にはイジメて来た奴だ。
「なんか、森下君はやたら突っかかって来てたよね」
「あいつ、ユータに
意外なことをカナが言った。
「嫉妬?」
「ユータは天然キャラで割と人気あったし。それが気に食わなかったんやろな」
「僕に人気があったとは……」
「そういうところが天然なんやで」
カナはそういうけど、そんなに人気なんてあった覚えが-
「ユータ、小学校の頃、いっつも半袖半ズボンやったよね。冬も」
思い出したようにマユがつぶやく。
「子どもは風の子とか無邪気に信じてた頃の話でしょ」
しゃべってて、時々標準語に戻ってしまうのが、どうにも混乱する。
「ああいうの見て、皆、ユータは天然やなあって言ってたんやで?」
「そ、そうだったのか……」
驚愕の事実だ。そんな事を思っていると、その当人である森下君がつかつかと近づいてくる。
「おお!難波やんけ。久しぶりやなあ!」
「あ、ああ。久しぶり」
こいつと仲が良かった覚えはないんだけど、やけにフランクに話しかけてくる。
「こんなとこで難波に会えるとは思わんかったわ。後で話そうや」
「あ、ああ。そうだね」
そんな会話を交わして立ち去る森下君。
「あれ、どういうこと?」
「森下にも色々あったんやろうけど……なんやろ?」
「ユータに突っかかってたの謝らんの印象悪いわ」
「気にしてもしゃあないよ」
カナとマユとこーちゃんがそう言う。三者三様の感想。マユはこういう時、やたら僕の事を気にしてくれるけど、それが嬉しくて、ちょっとだけ辛い。
「他には誰か……あ」
どこかに知り合いが居ないかなときょろきょろと見回していると、一人の女の子の姿が目に入った。忘れようもない。彼女だ。艷やかなロングの黒髪に、高めの背丈。そして、朗らかな表情。振り袖がとても似合っている。彼女は、僕の初恋の人だった。
(なあ、あれって、かおちゃんやない?)
(うん、そうだと思う)
同じく、彼女を見つけたマユが耳打ちしてくる。彼女の名前は、
話しかけるかどうか迷う。結局、あれから話していないし。
「久しぶり、ゆーちゃん!」
かおちゃんは、そう、屈託のない笑顔で話しかけて来たのだった。あれ?
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